3Dモデリングは、様々な分野での用途があり、特に建築デザインにおいてはその有用性は言うまでもありません。
Blenderは、この3Dモデリングを可能にする無料のソフトウェアであり、その中でも建築モデリングには多くの特長と機能があります。
この記事では、Blenderを使った建築モデリングの基本を初心者でも理解しやすいように解説します。
Blenderを使った建築モデリングに入門!
Blenderを使った建築モデリングに入門するには、まず建築モデリングの流れの簡単な流れを理解し、イメージを掴んでみると良いでしょう。
最初に基本の操作方法を習得し、インターフェースに慣れることが非常に重要となるでしょう。基本操作に慣れたら、建築物の設計図を元に、平面図から立体モデルを作成します。
次に、Blenderのモデリングツールを使って、壁や窓、ドアなどの基本的な要素を作成し正確に配置すること、テクスチャリングとレンダリング技術も習得し、詳細を追加することができるようになりましょう。
最終的には、完成したモデルをエクスポートして、他のソフトウェアやプラットフォームで利用できるようにします。
Blenderで建築モデリングをする手順
それでは、具体的にBlenderでの建築モデリングを手順を見ていきましょう。今回紹介する建築モデリングの流れは以下の通りです。
- 基本形状の作成
- 壁の作成
- 窓とドアの作成
- 屋根の作成
ここでは、一軒家を例にします。
今回は、無料アドオンArchimeshを利用し作成します。
Archimeshは、EditからAdd-Onを選択、Archimeshを選択してインストールできます。
建築モデリングをする手順1.基本形状の作成
- 最初に、家の基本的な形状を作成します。場合によっては、間取りを元に組み立てます。
- “Shift+A”でメッシュを追加し、”Cube”を選択して四角形のメッシュを作ります。
- その後、”S”キーで大きさを調整します。
建築モデリングをする手順2.壁の作成
- 次に壁を作成します。
- 壁を作るためには、まずキューブをエクストルードして壁の形状を作ります。
- “E”キーでキューブを押し出し、”S”キーで大きさを調整します。
建築モデリングをする手順3.窓とドアの作成
- 窓やドアは、壁に穴を開ける形で作ります。
- “Ctrl+R”でループカットを作り、その後に”X”キーで面を削除し、窓やドアの穴を作ります。
- その後、窓枠やドア枠を別のメッシュとして作成し、適切な位置に配置します。
- オブジェクトモードにして、Add→MeshからArchmeshが開けます。これで窓枠やドアを追加可能です。
建築モデリングをする手順4.屋根の作成
最後に、“Shift+A”で新たにメッシュを追加し、その形状を調整して屋根を作ります。
以上の手順により、初心者でも簡単にBlenderで建築モデリングを行うことが可能です。
Blenderでの建築モデリングで気を付けること
Blenderに限らず、建築モデリングでよく注意される、気を付けるべきことを3つ紹介します。
規模と比率の維持
リアルな建築物をモデル化する際には、実際の建築物と同じ比率と規模を保つことが最も重要です。
Blenderでは、単位設定を使用して、シーンのスケールを正確に設定することができます。
長さ(Length)で単位の固定が可能です。
適切なトポロジー
モデリングの際には、トポロジー、つまりモデルの形状を作るための頂点、エッジ、面の配置と流れを適切に管理することが重要です。
適切なトポロジーにより、モデルの見た目を向上させ、アーティファクト(モデリングやレンダリングの際の不具合)を減らすことができます。
光と影
建築モデリングはイラストと同じく、光と影が重要視されます。
これは、素材の選択と照明設定の二つの側面から考慮する必要があります。
適切な素材を設定することで、建築物の表面がどのように光を反射または吸収するかを制御可能です。
Blenderで建築図面を作成する方法
ここでは、Blenderを使って平面図や立面図などの2D図面を作成する手法を紹介します。
さらに、Blenderのグリッドスナップ機能を活用して、正確な寸法を持つ図面を作成する方法も解説します。
平面図や立面図の作成
Blenderを使って平面図や立面図などの2D図面を作成する方法を紹介します。
これは建築プロジェクトにおいて非常に役立ちます。
以下の手順に従って、簡単に2D図面を作成しましょう。
ステップ1.Blenderのスタートアップ
Blenderを起動したら、右下のドロップダウンメニューから「2Dアニメーション」を選択します。
これにより、2D図面の作成に適した設定に切り替わります。
ステップ2.平面の作成
3DビューポートでShift + A キーを押して、「平面」を選択し、必要なサイズにスケールします。
これが図面を描くキャンバスとなります。
ステップ3.グリッドスナップの有効化
「編集」モードに移行し、上部メニューから「スナップ」を選択します。
次に、「グリッドスナップ」を有効にします。
これにより、オブジェクトがグリッドにスナップするようになります。
ステップ4.線の描画
「線」ツールを選択し、2D図面の輪郭を描き始めます。
グリッドスナップが有効なため、直線や角度を正確に描くことができます。
ステップ5: 図形の編集
「編集」モードで、描いた線を必要に応じて調整します。
頂点を追加・削除したり、辺を移動させたりして図形を完成させます。
ステップ6: テキストや寸法の追加
必要に応じて、テキストや寸法を追加します。
これにより、図面に必要な情報を付加できます。
ステップ7: 図面の出力
図面が完成したら、ファイルメニューから「エクスポート」を選択し、適切なフォーマットで図面を出力します。
これで2D図面の作成が完了しました。
グリッドスナップを利用した正確な図面作成
Blenderのグリッドスナップ機能を活用して、より正確な寸法を持つ図面を作成する方法を解説します。
グリッドスナップを有効にしていると、図面のオブジェクトや線が自動的にグリッドにスナップされるため、手動での微調整が不要になります。
上記の手順で2D図面の作成を行う際、ステップ3でグリッドスナップを有効にします。
以下の手順に従って、Blenderでグリッドスナップを有効にすることが可能です。
- Blenderを起動し、3Dビューポートにオブジェクトを配置します。
- Dビューポート下部のツールバーにある「磁石」のアイコン(スナッピングオプション)をクリックして、ポップアップメニューを表示します。
- スナッピングオプションが表示されたら、「Toggle Snap」ボタン(マグネットアイコン)をクリックしてグリッドスナップを有効にします。
グリッドスナップの動作をカスタマイズする
「Snap Element」(スナップ対象)
グリッドスナップが適用される要素を選択します。例えば、「Vertex」を選択すると頂点がグリッドにスナップします。
「Snap Target」(スナップ先)
スナップ先の位置を選択します。例えば、「Increment」を選択すると、グリッドの単位で移動します。
グリッドスナップを使用して移動する
- オブジェクトを選択します。
- Gキーを押して移動モードに入ります。
- 移動する方向にマウスを動かし、グリッドに自動的にスナップします。これで、オブジェクトや頂点などがグリッドにスナップして移動することができます。
グリッドスナップを無効にするには、「Toggle Snap」ボタンをオフにします。
Blenderで建築モデルをレンダリング
Blenderを使った建築モデルのレンダリング方法を解説します。
建築モデルをリアルに、そして、より美しく表現するためのレンダリング技術を紹介します。
エンジンの選択と設定
BlenderにはEEVEEやCyclesなどのレンダリングエンジンがあります。
それぞれ特性が異なるため、レンダリングの目的に合わせて選択します。
EEVEE
リアルタイムレンダリングに適しており、プレビューやアニメーション制作に便利です。
レンダリング速度が速く、シンプルなシーンやモデルに適しています。
シャドウやリフレクションの表現が高速で実現できます。
Cycles
フォトリアルなリアルな表現を得ることができる高品質なレンダリングエンジンです。
レンダリングに時間がかかる場合がありますが、詳細な表現やリアリティを求める場合に適しています。
グローバルイルミネーション、リアルなシャドウ、フォトリアルなマテリアルなどが得意です。
エンジンの選択は「レンダリング」タブの「エンジン」で変更できます。
使用するエンジンに合わせた設定を行います。
マテリアルと照明の設定
建築モデルにリアルな質感を与えるために、マテリアルと照明の設定が重要です。
マテリアルの設定
オブジェクトに対して適切なマテリアルを割り当てます。
建築物の外壁や内部の床、天井などに応じてマテリアルを作成します。
マテリアルの設定では、テクスチャやノードを駆使して質感や色、反射率などを調整します。
照明の配置
レンダリング結果に大きな影響を与える照明を設定します。
建築モデルの目的や雰囲気に合わせて適切な照明を配置します。
EEVEEではリアルタイムライトプローブや環境マップを活用し、Cyclesではシーンに適した光源を慎重に配置します。
これらの設定により、建築モデルのレンダリングがより美しくリアルなものとなります。
おすすめの建築モデリングチュートリアル
初心者向けのBlender学習には、公式ドキュメントやチュートリアルがおすすめです。
以下に、初心者向けのBlender公式ドキュメントとチュートリアル、および他のオンラインチュートリアルと本の紹介をまとめます。
Blender公式ドキュメントとチュートリアル
分らないことがある時に役立つBlender公式ドキュメントと、チュートリアルを紹介します。
Blender公式サイトのドキュメント(日本語)
Blender公式サイトには、Blenderの操作方法や機能について丁寧に解説されたドキュメントがあります。
Blender公式YouTubeチャンネル
Blender公式YouTubeチャンネルには、公式の解説動画が多数公開されています。
ビギナー向けのチュートリアルもあります。
オンラインチュートリアル
1部有料ですが、オンラインチュートリアルもおすすめです。
CG WORLD オンラインチュートリアル「ゼロから学ぶ3DCG教室」
CG WORLDのチュートリアルは日本人講師による丁寧な解説で、建築物のモデリング方法やマテリアルの作成方法、HDRIの取り込みなど、基本的な技術を学ぶことができます。
Udemy オンラインチュートリアル
UdemyではBlenderの講座が豊富で、建築物の製作に特化したチュートリアルもあります。
英語の解説でも、Udemyの英訳機能を活用すれば内容を理解できるでしょう。
自分に合った教材を見つけて、楽しく学習してください。
Blenderで3Dモデリングに挑戦したい方はこちらの記事を参考にしてみてくださいませ!
Blenderのアドオン「建物ジェネレーター」とは?
建物ジェネレーターは、Blenderのアドオンやスクリプトを用いて自動的に建築モデルを生成するツールです。
これにより、手作業で建築物を作成する手間を省き、効率的に多様な建築モデルを生成することができます。
建物ジェネレーターの概要について以下に解説します。
自動生成ツールの利用方法
建物ジェネレーターを利用するためには、Blenderのアドオンやスクリプトをインストールする必要があります。
Blenderのアドオンは、Blenderの機能を拡張するためのプラグインです。
まず、建物ジェネレーターのアドオンをダウンロードし、Blenderにインストールします。
アドオンの導入方法は、Blenderのバージョンによって異なる場合がありますが、通常は「編集」→「設定」→「アドオン」からインストールできます。
建築の自動生成アドオンは、Building ToolsやBuildify がおすすめです。
Blenderにアドオンを使うと、機能の幅が広がりさらに使いやすくなります。この記事では、Blenderでのアドオンについて詳しく紹介しております。
知識をつかってBlenderで建築してみよう
Blenderを使った建築モデリングや図面作成、レンダリングについての基本的な方法と初心者向けの学習リソース、さらに建物ジェネレーターの概要について解説しました。
これらの知識を活用して、Blenderを使って建築のデザインやモデリングをスムーズに行いましょう。