スキルアップや資格取得を目指すとき、気になるのが「金額」と「時間」です。教育訓練給付制度は、厚生労働省が決めた講座を受講し修了した際に、国が受講金額の一部を支給する制度です。
本記事では、教育訓練給付制度の受給条件、対象となる資格・講座を紹介します。デメリットと対策、申請手続きの流れについてもまとめているので、キャリアアップや学び直しをしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
教育訓練給付制度とは?

教育訓練給付制度とは、会社員やパート・アルバイトとして雇用保険に入っている方が、スキルアップやキャリアチェンジのために国が認めた講座を完了すると、学習にかかった費用の一部を国から受け取れる支援制度です。
給付を受けるためには原則として一定期間以上の雇用保険加入が必要で、支給額や対象講座は3種類に分類されており、それぞれ給付率や上限額が異なります。
教育訓練給付制度の種類と支給額

教育訓練給付制度は、3つのコースがあり、どんな資格を目指すかによって制度の種類が異なります。
| 種類 | 給付率 | 追加給付額 | 上限金額 | 支給率 |
| ①専門実践教育訓練 | 50% | +10%~+20% |
|
80% |
| ②特定一般教育訓練 | 40% | +10% |
|
50% |
| ③一般教育訓練 | 20% | なし | 10万円 | 20% |
参考:厚生労働省
①専門実践教育訓練
専門実践教育訓練は、働く人の中長期的なキャリアをアップさせる制度です。国家資格のなかでも専門性が高く、数年単位の学習が必要な資格が中心です。
たとえば、医療現場で働く看護師・介護福祉士、子どもの成長を支える保育士、さらに専門学校の高度な課程や専門職大学院での学びも含まれます。
受講中半年ごとに経費の50%が支給されます。訓練修了後に資格を取得し、修了日の翌日から1年以内に被保険者として雇用されたときは、追加で20%が受け取れます。
②特定一般教育訓練
特定一般教育訓練は、再就職や早期キャリア形成に役立つ資格が対象で、士業系では税理士・社会保険労務士、運転系では大型・中型自動車免許など、即戦力として評価される資格講座が指定されています。
訓練修了後に教育訓練経費の40%が一括で支給され、上限額は20万円です。
受講が完了したあとに対象資格を取得し、修了日の翌日から1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合、追加で10%受け取れます。合計で教育訓練経費の50%まで給付を受けることができます。
③一般教育訓練
一般教育訓練は、雇用の安定や就職支援につながるさまざまな講座が利用可能です。ビジネスパーソンが取得を目指す人気資格も多数含まれています。
経理スキルを証明する簿記検定、不動産業界で必須の宅建士、お金の専門家であるファイナンシャルプランナー、英語力を測るTOEICなど、仕事の幅を広げる資格講座が揃っています。
給付額は教育訓練経費の20%で、上限は10万円です。また、追加給付の制度はなく、訓練修了後に一括で受け取ることができます。
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教育訓練給付制度の受給条件

教育訓練給付制度の受給条件は、雇用保険の被保険者期間や受講開始時点の雇用状況、過去の受給履歴などによって定められています。受給条件を以下で詳しく見ていきましょう。
- 基本的な受給条件
- 初回受給の特例
- 対象者と対象外になる人
①基本的な受給条件
教育訓練給付制度は、講座を始める前日までに雇用保険に通算3年以上入っていることが必要です。転職していても期間は合算できるので、複数の会社で働いた経験がある方も対象になります。
専門実践教育訓練の場合は2年以上、特定一般教育訓練および一般教育訓練の場合は通算して1年以上となります。また、受講修了後には修了証明書の提出が必須で、支給申請は修了日から1年以内に行わなければなりません。
②初回受給の特例
一度も給付を受けたことがない場合は、被保険者期間に関する要件が緩和され、一般教育訓練であれば1年以上、特定一般教育訓練および専門実践教育訓練でも原則の期間より1年短縮された条件で給付を受けられます。
③対象者と対象外になる人
教育訓練給付制度は、雇用保険加入者で、受給要件を満たす方を対象としています。下記では対象者と対象外になる人を詳しく紹介します。
対象者
厚生労働省が指定する講座を受講し、所定の要件を満たす雇用保険の被保険者が対象です。被保険者期間の要件をクリアし、かつ修了証明書を取得して申請期限内に手続きを行うことで給付を受ける権利が生じます。
対象外になる人
教育訓練給付制度は、雇用保険加入者向けのため、個人事業主やフリーランスの方は対象外です。また、公務員の方(市役所職員や学校の先生など)も独自の制度があるため利用できません。
さらに、求職者支援訓練を受けている最中の方も重複利用は認められていません。給付対象講座になっていない講座を受講した場合や、修了証明書を提出できない場合も給付を受けることはできないので、注意が必要です。
教育訓練給付金がもらえる資格・講座

ここでは、「専門実践教育訓練」と「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」に分けて、対象資格・講座について詳しく解説します。
専門実践教育訓練の対象資格
専門実践教育訓練の対象には、業務独占資格や名称独占資格に該当する国家資格を取得できる講座が幅広く含まれています。たとえば、看護師や准看護師、介護福祉士、臨床工学技士、保育士、栄養士など、医療・福祉分野の専門職養成課程が代表的です。
これに加えて、4年制大学や短期大学の専門職大学院や専門学校の高度専門士・職業実践専門課程も対象になっているので、実践的な専門スキルを習得したい方におすすめです。
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特定・一般教育訓練の対象となる講座
特定一般教育訓練および一般教育訓練は、就職やキャリアアップに直結しやすい実務系講座が多く指定されています。特定一般教育訓練には、税理士や社会保険労務士、司法書士などの士業取得を目指す講座が対象になっていることが多いです。
また、大型自動車免許やフォークリフト技能講習、ITパスポートや基本情報技術者試験対策などのIT関連資格講座も含まれます。一般教育訓練では、簿記検定、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、TOEICやMOSなどビジネススキルや語学などの講座が指定されています。
教育訓練給付金を利用してE資格の知識を身につけたい方は「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」がおすすめです。JDLA認定プログラムとして修了後にE資格受験資格を短期間で取得できる講座です。教育訓練給付制度(一般教育訓練)給付対象となるため、負担を抑えて最新AIスキルを習得できます。
| セミナー名 | E資格対策ディープラーニング短期集中講座 |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 54,780円〜 |
| 開催期間 | 4日間 |
| 受講形式 | 対面(東京)・ライブウェビナー・eラーニング |
| JDLA認定プログラム修了報告期限 | 2026年2月4日(水)23:59まで |
教育訓練給付制度のデメリット

教育訓練給付制度は学び直しの強力な支援策ですが、利用にあたってはいくつかのデメリットや注意点があります。ここでは、デメリットや注意点について解説します。
- 一時的な自己負担が発生
- 途中で挫折すると給付金なし
- 手続きが複雑
- 対象外費用の発生
- 不正受給のペナルティ
①一時的な自己負担が発生
給付金は受講費用の一部を後払いで支給する仕組みのため、受講開始時には全額を自己負担で支払う必要があります。まとまった資金を一時的に用意しなければならず、自己資金に余裕がない場合は、受講を始めることが困難になる可能性があります。
②途中で挫折すると給付金なし
修了要件を満たさないまま講座を中途退学した場合、給付金は一切支給されません。自己負担がかさんだうえに、学習の継続や再開にも制限が生じるため、計画的な学習スケジュールと強いモチベーションが求められます。
③手続きが複雑
給付申請にはキャリアコンサルティングの受講(特定一般・専門実践のみ)、修了証明書の取得、各種書類の準備・提出など多くのステップが必要です。申請期限や提出先も厳格に定められており、不備があると給付が遅延または却下されるリスクがあります。
④対象外費用の発生
受講料以外にもテキスト代や教材費、交通費、実習費などが別途必要となる場合があり、これらは給付対象外となります。特に実習機会の多い講座では実費負担が大きくなることがあるため、受講前に見積もりを確認し、全体の費用を把握しておくことが重要です。
⑤不正受給のペナルティ
申請内容に虚偽があった場合や、給付金目的で講座を受講せずに修了証明書を偽造した場合、返還命令や追加納付命令、場合によっては罰則が科されることがあります。不正受給が発覚すると将来的な制度利用が制限されるため、正しい手続きを遵守することが必要です。
教育訓練給付制度申請手続きの流れ
教育訓練給付制度の申請手続きは、受講開始前から給付金の支給申請後まで、複数のステップを順序立てて進める必要があります。以下では、手続きの全体の流れを分かりやすく解説します。
- 受講前の準備
- 対象講座の選定
- 必要書類の準備
- 講座受講・修了
- 給付金支給申請
- 制度利用時の注意事項
①受講前の準備
まず、受講費用を自己負担で支払うための資金計画を立てます。同時に、雇用保険の被保険者期間が要件を満たしているかを確認し、過去の受給履歴や加入状況をハローワークで照会しておきましょう。
受講開始日の前日までに必要要件をクリアしていることが給付申請の前提となるため、早めに確認を行うことが重要です。
②対象講座の選定
次に、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」を利用して、自身のキャリアプランに合致する指定講座を探します。オンライン講座や夜間・土日開講のコースも多数あるため、勤務シフトや育児・家事の都合に合わせて受講形式を選択すると、仕事や家庭との両立が図りやすくなります。
③必要書類の準備
下記の書類は、申請時にすべて提出が必要となるため、申請前に不足がないかを再度確認しましょう。
- 雇用保険被保険者証の写し
- 受講料領収書(原本)
- 修了証明書交付申請用紙
- 受講修了証明書(講座事業者発行)
- キャリアコンサルティング受講証明書(特定一般・専門実践のみ)
- 口座番号が確認できる通帳の写しまたはキャッシュカードの写し
④講座受講・修了
指定講座を受講し、すべての課程を修了すると、講座事業者から修了証明書が発行されます。専門実践教育訓練や特定一般教育訓練受講時には、受講前に受けたキャリアコンサルティングの証明書もあわせて取得しておきます。
修了要件を満たさないと給付金は支給されないため、出席率や課題提出など、講座要件を十分に確認して受講を続けてください。
⑤給付金支給申請
修了日以降、速やかにハローワークで給付金支給申請を行います。申請書類に不備があると審査に時間がかかるため、提出前に再チェックを行いましょう。
申請期限
修了日の翌日から起算して1年以内が申請期限です。期限を過ぎると給付金を受け取ることができないため、余裕をもって手続きを進めましょう。
申請場所
最寄りのハローワーク窓口で申請を行います。申請前にオンライン予約が可能な窓口もあるため、混雑状況を確認して訪問日時を調整するとスムーズです。
提出書類一覧
申請には、受講前に準備した雇用保険被保険者証や受講料領収書、修了証明書、キャリアコンサルティング証明書などをすべて提出します。不足書類があると手続きが保留となるため、提出直前に再度チェックリストを用いて確認してください。
書類審査と結果通知
ハローワークによる書類審査は通常2~4週間程度かかります。審査が完了すると、指定した銀行口座に給付金が振り込まれます。結果は郵送で通知されるため、通知書の到着を待って、振込履歴を確認しましょう。
⑥制度利用時の注意事項
教育訓練給付制度を利用する際は、以下の2点に注意が必要です。
最新情報を公式サイトで確認する
自分が受講を希望する講座が教育訓練給付制度の対象となっているかは、厚生労働省の「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム」で確認できます。講座名や資格名、実施地域などの条件を指定して検索することができ、「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」のいずれのカテゴリーに該当するかも確認可能です。
制度内容や対象講座は改定される場合があるため、制度を利用する際は厚生労働省の公式サイトで最新情報を確認してください。
指定期間内の受講開始を確認する
掲載されている指定講座は、指定期間中に受講を開始した場合に給付の対象となります。受講開始日が当該講座の指定期間内かどうかを、給付手続き予定のハローワークと受講予定の教育訓練施設の両方に必ず確認してください。
教育訓練給付制度まとめ
教育訓練給付制度を活用すれば、自己負担を抑えつつ最新スキルや資格取得が可能です。まずは厚生労働省の講座検索システムで対象講座を確認し、ハローワークで申請手続きを行いましょう。教育訓練給付制度を活用してキャリアアップを目指しましょう。