「RhinocerosとArchicadどちらを使用するべき?」「それぞれどのような課題に適している?」と悩む方も多いでしょう。似たようなソフトではありますが、設計に何を求めるのか、で使い分けをする必要があります。
そこで本記事では、
- RhinocerosとArchicadの違い
- 業務における課題別の選び方
- RhinocerosのデータをArchicadにインポートする方法
について解説します。また、Rhinocerosを学ぶ際におすすめのセミナーも紹介していますので、最後までご覧ください。
Rhinocerosとは

Rhinocerosとは、設計業務においてモデルのデザイン性を重視した汎用3Dモデリングソフトです。建築以外にも自動車・工業デザイン・プロダクト設計など幅広い分野で使われ、高精度な自由曲面「NURBS」機能を搭載しています。建築専用CADと異なり、精度上の制限がなく、複雑な有機形状を自在に作成できるのが特徴です。
ファイル互換性も豊富で、DXF/DWGはもちろんIGESやSTEPにも対応し、他CADとのデータ交換も可能。プラグイン「Grasshopper」を用いればパラメトリック設計やアルゴリズム設計ができ、デザイン性の高いモデルの作成ができます。
Archicadとは

Archicadは、Graphisoft社が開発した建築専用BIMソフトウェアです。BIMに対応し、「建築家による建築家のためのBIM」と言われるほど建築分野での設計に強いソフトです。設計から施工図、ドキュメント作成まで一貫したワークフローを実現。直感的なユーザーインターフェイスで、壁やスラブ、柱などの建築部材を入力するだけで3Dモデルを生成できるのが特徴です。
また、チームでの同時作業ができる「チームワーク機能」や、高品質レンダリング機能、IFCを用いた他ソフトとのデータ連携機能も備えています。ArchicadはWindowsとMacの両方で動作するほか、大規模プロジェクトにも耐えるスケール対応力と、ドキュメント生成や数量計算などの建築業務支援機能を持っているため、公共建築や構造設計でも利用されています。
RhinocerosとArchicadの違い
RhinocerosとArchicadの違いを表でまとめてみました。それぞれの用途や強みなどを記載していますので、参考にしてください。
| 比較項目 | Rhinoceros | Archicad |
| ソフト種別 | 汎用3Dモデリングソフト | 建築専用BIMソフトウェア |
| モデリング形式 | NURBS曲面による自由曲面モデリング | 壁・床・柱・梁など建築部材によるモデリング |
| 主な用途 |
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| 強み | Grasshopper連携でパラメトリックかつ複雑な形状を自在に設計できる | 自動生成される図面・数量計算やチーム連携など建築業務支援機能が豊富 |
| 図面生成 | 2D図面作成は基本的に手動 | モデルから自動生成 |
| 価格 |
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Rhinocerosは、自由な形状をモデリングできる点に優れており、建築の初期デザインや造形的なアイデアを具現化する場面に適しています。ただし、図面の自動作成や設計全体の流れを一貫して管理するには、別途ツールが必要です。
一方でArchicadは、BIM機能が豊富に備わっており、設計から施工図、数量の集計まで一括で対応できるため、実務レベルでの設計やチームでのプロジェクト管理に向いています。価格面ではRhinocerosの方が比較的安価なため、個人の設計者や小規模事務所でも導入しやすい点が魅力です。
以下の記事では、RhinocerosとAutoCADの違いについても解説しています。
RhinocerosとArchicadの選び方

ここまで違いや用途などを解説しましたが、「結局どちらを選ぶべき?」と悩む方もいるでしょう。そこで選び方を3つご紹介します。
- 自社の課題で選ぶ
- 使いやすさや操作性で選ぶ
- プロジェクトの規模で選ぶ
選び方①自社の課題で選ぶ
まずは、自社がどのような業務を中心に行っているのかを明確にしましょう。「どんな設計が求められているか」「社内で対応したい作業の範囲はどこまでか」といった観点から、必要な機能や適したソフトが変わってきます。
例えば、建築における造形表現やデザイン性を重視する場合には、Rhinocerosがおすすめです。RhinoはNURBS曲面をベースにした自由度の高いモデリング機能を備えており、曲面建築、複雑なファサード、非直線的な構造物なども自在に設計可能です。
一方で、法規制への準拠や施工段階までを見据えた設計管理が求められる場合には、Archicadが良いでしょう。Archicadは、建築上の規定をシステム上で一元的に管理でき、建築確認や施工者との連携にもスムーズに対応できます。加えて、図面の自動生成機能や数量集計機能によって、設計業務から見積、施工準備に至るまでのプロセスを効率化できるため、公共施設や中・大規模案件を扱う企業に最適です。
選び方②使いやすさや操作性で選ぶ
ソフトの性能が高くても、操作が難しければ現場で使いこなすことはできません。そのため、導入時や運用時の操作性や使いやすさも、選定時に確認すべきポイントです。
使用する人やこれまで使用してきたCADから「どちらが使いやすい」というのは変わりますが、Rhinocerosの操作性は、建築以外の分野でも広く使用されていることから、使用しやすいでしょう。ただし、CADや3Dモデリングに不慣れな人にとっては、操作方法の習得に時間がかかる場合があります。
Archicadの操作性は、建築設計に特化したインターフェイスが整っており、壁・床・屋根などの建築要素を選んで描くだけで3Dモデルが自動生成される仕組みです。建築分野で設計経験がある方であれば、比較的スムーズに使い始めることができます。
選び方③プロジェクトの規模で選ぶ
プロジェクトの規模でどちらのソフトを選ぶかも方法の1つです。結論から言うと、
- 小〜中規模プロジェクト「Rhinoceros」
- 大規模プロジェクト「Archicad」
がおすすめです。理由として、Rhinocerosはモデリングの自由度が高く、操作も比較的軽いため、少人数でもスピーディにデザイン検討が進められるからです。コンセプト設計など初期フェーズに特化して活用しやすく、個人設計者や小規模事務所に導入しやすい価格帯である点も魅力です。
一方で、ArchicadはBIM機能を活用して設計から施工、数量管理まで一貫して対応できるため、複数人が関わる大規模プロジェクトとの相性が良いです。チームで共同作業やデータ共有がしやすく、全体の進行管理を効率化できることから、組織的な設計体制に向いています。
RhinocerosのデータをArchicadにインポートする3つのステップ

RhinocerosのデータをArchicadにインポートは可能です。3つのステップで解説します。
- RhinocerosのモデルをArchicadにインポートする
- インポートしたモデルの表示を調整する
- GDLコンバータでネイティブオブジェクト化する
ステップ①RhinocerosのモデルをArchicadにインポートする
Rhinocerosで作成した3DモデルをArchicadで利用するには、まずArchicad側でインポート作業を行います。Archicadバージョン20以降にはRhinoとの互換機能が標準で搭載されており、別途アドオンをインストールする必要はありません。
Archicadの上部メニューからファイル→相互運用性→結合を選択し、.3dm形式のRhinoファイルを指定するだけで読み込みが可能です。Rhinoで作成した自由曲面や複雑な形状を、Archicad上にそのまま取り込むことができます。
ステップ②インポートしたモデルの表示を調整する
Rhinoからインポートされたモデルは、Archicad上では「モーフ」という形式で扱われ、ポリゴンメッシュとして配置されます。ただし、読み込み直後は3Dビューに反映されない場合があるため注意が必要です。この場合は、オブジェクト上で右クリックし、「3Dで全て表示」を選択することでモデル全体が正しく表示されるようになります。
モーフは通常の建築部材とは異なるため、初期状態では壁や床のようには見えませんが、あくまで形状確認や参考モデルとして使う際には十分でしょう。
ステップ③GDLコンバータでネイティブオブジェクト化する
最後は、Graphisoft社が提供する「Rhinoceros–GDLコンバータ」を利用して、Rhinoの.3dmファイルをArchicadネイティブ形式のライブラリパーツや、ライブラリコンテナに変換するのがおすすめです。これは、Rhinoで作成したオブジェクトを建築部材として再利用でき、材質の変更やパラメータの調整が可能になりるためです。
例えば、形状はRhinoで設計し、属性情報や配置条件はArchicadで管理するといった分業も実現できます。ただし、GDLコンバータはWindows版でのみ動作するため、Macユーザーは注意が必要です。
Rhinocerosを学ぶならセミナーの受講がおすすめ

「Rhinoceros基礎セミナー」は、初心者が基本から応用までを段階的に学べる講座です。1日目は、Rhinocerosの操作方法や座標系の理解、基本形状の作成を通じて、NURBSやSubDといったRhinoceros独自のモデリング技術を習得します。
2日目は、レンダリングやマテリアル設定を含むインテリアパース作成や、家電製品を題材にしたサーフェスモデリング、Grasshopperを用いたパラメトリックデザインの実践など、より高度な3D表現に挑戦します。実務で活かせる操作スキルと設計思考をバランスよく習得できる内容となっており、受講者には復習用のオリジナル教材も配布されます。
| セミナー名 | Rhinoceros基礎セミナー講習 |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 27,500円〜 |
| 開催期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
RhinocerosとArchicadの違いについてのまとめ
RhinocerosとArchicadは、どちらも建築設計において便利なソフトですが、用途や目的によって選ぶべきポイントが異なります。
自由な造形やデザイン性を重視する場合には、柔軟なモデリングが可能なRhinocerosが最適であり、法規対応や施工フェーズまでを見据えた実務設計を行うなら、BIM機能が充実したArchicadが適しています。どちらを導入するべきか迷っている方は、本記事を参考にしてください。