AutoCADは、設計業界でトップシェアの2D/3D CADソフトウェアですが、高価であることやサブスクリプション方式になったことなどから、他社製の互換ソフトに切り替えるユーザーも増えています。今回は、AutoCADと互換性のあるソフトをご紹介します。
それでは早速AutoCADと互換性のあるソフトを紹介していきます。
DraftSightは、AutoCADと同じDWG/DXFフォーマットに対応した2次元汎用CADソフトウェアです。機械設計、建築、エンジニアリング、製造業など、さまざまな分野で使用されています。このソフトは、使いやすさと高い機能性を備えており、プロフェッショナルな設計ニーズに対応しているのが特徴です。DraftSightでは、線や円、多角形などの基本的な図形の作成から始めることができます。また、寸法の追加やテキストの挿入、ベクトルイメージをインポートしたりすることも可能です。さらに、レイヤーやブロック、ブロックの参照など、設計を効率化するための機能も備えています。
AutoCADとの互換性が高く、操作性も馴染みやすいため、AutoCADからの移行も簡単です。また、AutoCADとのデータ交換もスムーズにおこなえます。豊富なプラグインやマクロ機能も提供されており、さまざまなカスタマイズオプションが利用できます。DraftSightは、使いやすいインターフェースと高度な設計機能を組み合わせた優れたCADソフトです。設計者やエンジニアがプロジェクトを効率的かつ正確に実行するための強力なツールとして活用されています。
IJCADは、国内のCAD市場で主要なシェアを持つAutoCAD互換のCADソフトウェアです。建築や土木工学などの分野で幅広く使用されており、AutoCADとのDWG/DXFデータの互換性や機能の互換性を提供しています。IJCADは、高性能で使いやすさを追求し、日本のCAD利用者のニーズに合わせた機能が特徴的です。AutoCADユーザーがスムーズに移行できるように、コマンドやダイアログデザインをAutoCADに似せて作られています。そのため、他の互換CADソフトウェアにありがちな「設定方法が分からない」「上手く使えない」といった戸惑いを感じることがほとんどありません。AutoCADユーザーであれば、すぐに使いこなすことができるでしょう。
IJCADには、LT版とStandard版、Pro版の3つのバージョンがあります。LT版は、2次元図面作成のための基本的な機能に絞っており、最も低いグレードとなります。Standard版は、LT版よりも利用できる機能が多いですが、3D機能やLispなどの高度な機能は利用できません。Pro版では3D機能やLispに加えて、PDFのインポートやエクスポート、BIM対応などの機能も利用可能です。Pro版であってもAutoCADよりも低価格で提供されています。低コストでAutoCADと同等の機能を提供するIJCADは、2次元および3次元の汎用CADソフトウェアとしておすすめです。
BricsCADは、2Dおよび3DのCAD設計に使用される強力なソフトウェアです。AutoCADとの高い互換性を備えており、さまざまな業界や分野で広く利用されています。BricsCADは、使いやすさ、高速性、信頼性に重点を置いて開発されているのが特徴です。BricsCADでは、2D図面の作成から始めることができます。直感的なインターフェースと豊富な作図ツールを備えており、線、円、多角形などの図形の作成や、寸法の追加、テキストの編集などが容易におこなえます。さらに、3D設計にも対応しており、立体的なモデルの作成や編集、レンダリングなどが可能です。
BricsCADは、DWG形式のファイルをサポートしており、AutoCADとの互換性が非常に高いです。そのため、既存のAutoCADプロジェクトや図面を簡単にインポートし、共有することができます。また、LISPやGRXなどのプログラミング言語にも対応しており、カスタマイズや自動化をおこなうことも可能です。
CorelCADは、2D作図、3D設計、3D印刷に対応したCADソフトです。AutoCADと同じDWG/DXFフォーマットに対応し、高い互換性を持ちます。CorelDRAWやCorel DESIGNERとも連携可能であり、グラフィックスとCADの間のワークフローを円滑にできるのが特徴です。直感的なインターフェースと豊富なツールセットを提供し、設計やドラフティング作業を容易にします。2D図面の作成や編集はもちろん、3Dモデリングやレンダリングもサポートしています。強力なカスタマイズ機能も備えており、LISPやVSTAなどのプログラミング言語を使用して、ユーザー固有のニーズに合わせた拡張や自動化をおこなうことが可能です。
CorelCADは、Windows版とMac版があります。Windows版は、CorelDRAW(.CDR形式)および Corel DESIGNER(.DES形式)からのインポート・エクスポートにも対応しています。Mac版は、Apple PencilやTouch BarなどのMac専用機能にも対応しているのが特徴的です。
ARESは、デスクトップ版、モバイル版、クラウド版の3種類のソフトで図面データの作図・編集・共有ができる2次元汎用CADソフトです。ARESは、Open Design Alliance (ODA)の創立メンバーであるGraebert社が開発した製品で、ODAはAutoCAD DWG互換の第2ソースとして承認されています。ARESは、AutoCADに似せて作られているのが特徴です。AutoCADとほとんど同一の操作性を持ち、コマンドやショートカットキー、オブジェクトスナップなども同様に利用できます。
ARESは、デスクトップ版(ARES Commander)、モバイル版(ARES Touch)、クラウド版(ARES Kudo)の3種類があります。デスクトップ版は基本的な作図機能を備えています。モバイル版はスマートフォンやタブレットで図面データを閲覧・編集・共有できるソフトです。クラウド版はWebブラウザ上で図面データを閲覧・編集・共有できる機能が備わっています。
Vectorworksは、建築やインテリアなどの分野に特化した2次元/3次元汎用CADソフトです。Vectorworksは、Adobe製品とも連携しやすく、グラフィックスとCADの間のワークフローを円滑にします。DWG/DXFフォーマットに対応しているため、AutoCADとの互換性も問題ありません。Vectorworksは、使いやすさと柔軟性を両立させたユーザーフレンドリーなインターフェースが特徴的です。ツールや機能は、特定のプロジェクトや業種に合わせてカスタマイズでき、効率的な作業を可能にします。また、2Dと3Dのデザインモードをシームレスに切り替えることができ、プロジェクト全体のビジュアルイメージをリアルタイムで確認可能です。
Vectorworksの機能には、直感的なスマートオブジェクト、豊富なライブラリ、高度なビジュアライゼーションツール、強力なレンダリングエンジンなどがあります。BIM(建築情報モデリング)の機能も備えており、プロジェクトのデータと情報を統合し、共有することができます。また、ユーザーコミュニティやサポートリソースも充実しており、熟練したプロフェッショナルから学ぶこともできます。
AutoCADで利用できる拡張子には、主に以下のものがあります。
オートデスク社AutoCADシリーズの標準図面ファイル形式です。AutoCADで作成、編集、保存することができます。
他のCADソフトウェアとのファイル交換が可能なファイル交換形式です。AutoCADで読み込み、保存することができます。
AutoCADや他のオートデスク製品で作成された図面を表示、印刷、マークアップするためのファイル形式です。Design Review CAD ビューア ソフトウェアやDWG TrueViewを使って開くことができます。
MicroStation DGNファイルです。
ポータブル文書フォーマットです。
そのほかにも、3D Studio、ACIS、Autodesk Inventor、CATIA V4/V5、IGES、JT、Parasolid、Pro/ENGINEER、Rhino、SolidWorks、メタファイル、STEPなどのファイル形式をAutoCADでインポートすることができます。
AutoCADと互換性のあるソフトウェアは、AutoCADで作成した図面を問題なく利用可能です。また、操作性や機能面でもAutoCADに似ているため、移行作業も円滑におこなえます。ただし、AutoCAD互換ソフトには独自の特徴やメリット・デメリットなどがあります。自身の設計業務に最適なCADソフトを選ぶことが非常に重要です。