AutoCADをすばやく操作できるようになるために、練習を始めたいと考えている人も多いでしょう。しかし、具体的にどのような練習をすべきかよくわからない人もいるはずです。
そこでこの記事では、AutoCADを利用した建築・土木・機械従事者向けの練習方法をわかりやすくまとめました。初心者向けの作図レッスンを解説しているので、ぜひAutoCADの練習問題を解いてみてください。
AutoCAD初心者が練習で気をつけたいこと
AutoCADを使いこなせるようになりたいなら、とにかくAutoCADの基礎を学ぶことが重要だと覚えておきましょう。なぜなら豊富な機能が搭載されたAutoCADは、汎用型の作図ソフトであり、その人にとって必要な機能・不要な機能があるためです。
例えば、一般的な作図機能はどの業界でも利用しますが、なかには特定の業種向けの機能もあり使わないケースも少なくありません。
関係のないAutoCADの機能まで覚えるのは非常に大変です。
また、練習しても使う機会がないことがほとんどでしょう。
そのため、本記事内では各業種向けのAutoCAD練習レッスンを掲載しています。
各業界でよく利用する参考図面をもとに、実際の作成手順を画像付きで解説しているので、自分と同じ業種におけるAutoCADの作図レッスンをチェックしてみてください。
またAutoCADとは何なのか、ソフトの概要から知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
他CADソフトとの違いも紹介しています。
建築向けのAutoCAD練習レッスン

AutoCADを利用した建築の仕事ではよく、建物の間取りの図面(平面図)を作成します。
参考として、国土交通省が公開している上画像と同じ図面を実際に作図してみましょう。
なお、寸法の表記がないため、以下の条件で図面を作成します。
項目 | 寸法 |
柱 | サイズは200×200mm 間隔は中心点より2,000mm |
壁 | 厚み50mm |
以下より、詳しいAutoCADの作図手順を紹介します。
柱を配置する
まずは「ホーム>作成>長方形」のコマンドを起動して、柱を配置していきましょう。
左クリックで始点を選んだら、画面下側にあるコマンドラインの「サイズ(D)」を選択し、長さの項目で200を入力してEnterキー、幅の項目でも同じように200と入力してください。これで、次のように200mm×200mmの柱が完成しました。
次に、柱を2,000mmピッチで格子状に配置していきます。
まずは「ホーム>作成>構築線」を選択して、最初に用意した四角形に垂直・水平線を設けましょう。コマンドラインの水平や垂直をクリックすれば、簡単に構築線を配置できます。
構築線を1本ずつ用意したら「ホーム>修正>オフセット」を利用して、等間隔で構築線を並べましょう。コマンドを起動したら、まずコマンドラインに2,000と入力してEnterキーを押します。その後、オフセットしたい線を左クリックしてEnterキーを押せば、オフセットが可能です。
最後に、オフセットして交差している部分に、柱を複写しましょう。
最初に挿入した柱を選択し、右クリックすると複写機能があるので、下画像のように配置してください。
これで柱の配置は完了しました。
壁を配置する
続いて、柱を囲うように、壁を配置していきましょう。
なお、壁の配置は「ホーム>作図>ポリライン」を利用するだけです。
柱の端部をクリックしたら、全体を囲うようにつなげていきましょう。
ここでは赤色の線を利用して、ポリラインを配置しました。
次に「ホーム>修正>オフセット」を利用して囲った内側に線を追加し、壁に厚みをもたせましょう。前項で紹介したやり方で50mmの厚みをもたせました。
これで、周囲の壁の配置も完了しました。
不要な線を消して情報を書き込む
最後に、不要な線を削除するために「ホーム>修正>トリム」を起動しましょう。
上画像のようにカーソルを合わせたときに×印が表示されていれば、交差している線の位置まで削除できます。
また、作成した図面の寸法がわかりやすいように「ホーム>注釈>長さ寸法」を利用して、正しい寸法になっているのかを表示しました。
これで建築図面の間取り図が完成しました。
寸法や形状を変えながら、自分でもAutoCADで練習してみてください。
土木向けのAutoCAD練習レッスン

土木向けの作図練習として、ここでは土留めをする際によく利用する重力式擁壁の図面を作成します。参考図面は国土交通省が公開している上の図面を用いてAutoCADの練習をします。
なお、表示されているBの値は400mmとします。
重力式擁壁を作図する
まずは重力式擁壁本体を作図していきましょう。
基本的には「ホーム>作図>線分」もしくは「ホーム>作図>ポリライン」を利用して書き込みが可能です。寸法情報を参考にしながら上画像のような図面を作成しましょう。
続いて、基礎材を書き込む練習をします。
わかりやすいように赤色で寸法に合わせて図面を作成しました。
なお、基礎材は砕石を利用します。
わかりやすいようにAutoCADのハッチング機能を利用してデザインを追加すると次のように表示できます。
ハッチングには複数の種類があるので、ぜひ練習に活用してみてください。
寸法を表記する
最後に、作図練習で挿入した図形が正しく表示されているのかを確認するために、寸法を記入しましょう。参考として、よく利用する寸法挿入機能を以下にまとめました。
寸法挿入機能 | 用途 |
長さ寸法 | 任意の始点・終点の長さを表示する |
平行寸法 | 水平垂直の平行方向に寸法を表示する |
直列寸法記入 | 直線に挿入した寸法に対し、直列に新しい寸法を挿入する |
上画像の寸法はすべて、3つの寸法挿入機能で対応しています。
ぜひAutoCADで練習してみてください。
機械向けのAutoCAD練習レッスン
機械関連の設計図面を作成する練習として、配管の縦断面図の作図レッスンをまとめました。
なお、作図の条件は次の通りです。
- 配管の内径は100mm
- 配管の外径は150mm
以下よりAutoCADを使った作成手順を紹介します。
寸法に合わせて配管の表示を決める
まずは上画像のように、配管の中心となる線を挿入しましょう。
その後「ホーム>修正>オフセット」を起動したら、次のように平行線を追加していきます。
- 内径の線をつくるときはオフセットの値を50mmとする
- 外径の線をつくるときは内径の位置から25mmとする
これで配管の枠が完成しました。
配管の断面を表示する
次に、間の断面をわかりやすく表示するために楕円ツールを利用し、断面を表示します。
まず線分ツールを使って、配管に直角方向の線を引きましょう。
次に「ホーム>作成>円弧(始点、終点、角度)」を起動し、中心線・外径の交差点を選択して、最後に90度で楕円を挿入すれば、上画像と同じ図面ができます。
ただし、飛び出ている線画あるため「ホーム>修正>トリム」でいらない範囲の線を削除します。これで以下のような断面表示ができました。
最後に寸法機能を使い、配管の径を表示すれば、参考図面と同じ図面の完成です。
また、機械系の設計でよく利用する3Dモデリングについて詳しく知りたい方は、以下の記事がおすすめです。AutoCADを使った3Dモデリングを練習する参考にしてください。
AutoCADを無料で練習する方法
前述したAutoCADの練習レッスン以外の方法で、作図を学びたいという人も多いでしょう。
とはいえ、なるべくお金をかけずに学習したい人もいるはずです。
以下より、AutoCADを無料で練習する方法について紹介しているので、自分に合う方法で練習をスタートしてみてください。
対象物を自分で計測して図面に起こす
まずは、自分の身近にあるものをAutoCADで図面化する練習がおすすめです。
例えば、今手元にあるスマートフォンやパソコンのサイズを細かく測り、図面化していくだけでも作図の練習になるでしょう。
角ばったもの、曲線のあるもの、幾何学的な形状のものなど、練習に役立つ材料はすぐ目の前にあります。無料の練習材料はすぐ手に入るので、定規やメジャーを使って寸法を図りつつ、AutoCADを使った作図の練習をスタートしてみてください。
国や自治体の資料や標準図を使う
実際に業務で利用する製品や構造物、建築物を使って作図をしたいなら、国や自治体がWeb上で公開している図面資料や標準図を見ながら練習するのがおすすめです。
なかでも標準図は無料であり、かつ実際に設計業務で利用する図面がまとまっています。
寸法情報も詳しく掲載されているので、自分が対応している業務の種類に合わせて、AutoCADの練習に役立ちそうな図面を探してみてはいかがでしょうか。
AutoCADをセミナー講習で練習しよう
「AutoCADの練習に行き詰っている」「ひとりだと練習できない」とお悩みなら、セミナー講習に参加してAutoCADを学ぶのがおすすめです。
例えば「実践的に学べるAutoCADセミナー講習」に参加いただけば、AutoCADの練習に役立つ題材を用いながら、基本操作や使い方を詳しく学べます。講師が操作する画面を見ながらAutoCADの練習ができることも含め、初心者におすすめの学習方法です。
会場受講、ライブウェビナー、eラーニングを利用してAutoCADを練習できるため、詳しくは以下のリンクをチェックしてみてください。
AutoCADの練習についてまとめ
AutoCADを練習して実務で活かしていきたいなら、自身の業種にあてはまる練習教材を使いながら、何度も繰り返し作図にチャレンジすることが重要です。
なお、自分ひとりでもAutoCADの練習はできますが、独学が苦手だという方も多いでしょう。
それならセミナー講習なども開催されているので、AutoCADの無料体験版を準備したうえで参加を検討してみてはいかがでしょうか。
