AutocCADでは、書いた線や図形の寸法を表示させることができます。ただ、場合によっては、寸法の文字サイズが合っていないことがあります。その場合は、文字サイズを変更しなければなりません。では、寸法の文字サイズはどのように変更するのか、文字サイズの設定変更をする方法や、コマンド呼び出しの方法と共に解説していきます。
AutoCADで寸法の文字サイズを変更する方法は以下の通りです。
AutoCADで、寸法ごとの文字サイズを変えるためには、オブジェクトプロパティ管理機能を使用します。リボンメニューにある「表示」タブをクリックして、「パレット」パネルの中にある「オブジェクトプロパティ管理」を選択してください。そうすると、オブジェクトプロパティ管理が実行されて、プロパティパネルが表示されます。また、作業領域内にあるオブジェクトを右クリックして、オブジェクトプロパティ管理を開くことも可能です。
オブジェクトプロパティ管理が実行されたら、その状態で、文字サイズを変更したい寸法をクリックしてください。ダブルクリックをするとより細かな編集ができますが、文字サイズの変更には不要な編集なので、クリックだけで問題ありません。また、右クリックでオブジェクトプロパティ管理を実行した場合、すでに寸法が選択された状態になっているはずです。
オブジェクトプロパティの管理で寸法を変えるためは、プロパティパネルのカテゴリを変更する必要があります。ただ単にオブジェクトプロパティ管理を実行しただけの状態だと、カテゴリの表示は「線分」や「円」などになっているかもしれません。それをマウスで「文字」カテゴリに変更してください。
「文字」カテゴリを開いたら、色や文字スタイルなど、寸法に関する情報が一覧となって表示されるはずです。そこにある「文字高さ」の数値をクリックしてみましょう。そうすると、数値を変更できるようになります。その数値を上下させることで、文字サイズが変わります。変更は、作業領域にある寸法にそのまま反映されるので、それを見ながらちょうど良いサイズに調整しましょう。文字高さは、標準では2.5に設定してありますが、これは1:1の縮尺で2.5mmの高さということです。1:10の縮尺だと、0.25mmになってしまいます。したがって、縮尺に応じて、桁を増やすことも考えましょう。
AutoCADの寸法文字サイズを、ひとつひとつ変更するのは現実的ではないため、まとめて変更することが望ましいです。そのためには、寸法の文字サイズ設定を変更します。
AutoCADで寸法の文字サイズの設定を変更する場合、寸法スタイル管理画面を開く必要があります。メニューバーにある「形式」から、「寸法スタイル管理」を選択しましょう。また、注釈タブから寸法スタイル管理画面を開くことも可能です。注釈タブを選択した後、寸法記入パネルの右下にある矢印をクリックすると、寸法スタイル管理画面を開けるボタンが出てきます。いずれの場合も、同じ寸法スタイル管理画面が開けるので、使いやすい方を選択して問題ありません。
寸法スタイル管理画面を開けたら、「修正」ボタンを押してください。そうすると修正画面に移るので、「寸法値」を選択します。そこにある「文字の高さ」の数値を変えることで、寸法文字のサイズが変更可能です。修正画面に表示されるプレビューを参考にしながら、使用環境に合うように数値を上下させていきます。
ここでは、寸法の文字サイズ設定を新しく追加する方法をご紹介します。
AutoCADの寸法文字サイズは、既存のサイズ設定の変更とは別に、新しく設定を追加するという方法でも変更可能です。そのために、寸法スタイルを新しく作成します。そして、複数の寸法スタイルを作成して、それぞれに異なる文字高さを設定しておくと、寸法スタイルを切り替えるだけで簡単に文字サイズを変更可能です。寸法スタイルを新規作成する場合、メニューバーや注釈タブから寸法スタイル管理画面を開くところまでは、既存サイズの変更と変わりません。管理画面では、「新規作成」を選択してください。
寸法スタイル管理画面で「新規作成」を選択したら、スタイル名を決める画面へと移ります。どのような名前でも問題はありませんが、なるべく設定の内容がわかりやすいものにしましょう。そして、既存の状態から文字サイズ以外を変更するつもりがないのであれば、開始元で既存のスタイルを設定してください。そうすると、既存のスタイルをフォーマットにして、変更ができるようになります。また、作業画面の拡大や縮小に応じて、文字サイズが変更するように設定したいのであれば、異尺度対応にチェックを入れましょう。
寸法スタイルの初期設定が終わったら、文字のサイズを変更してください。「寸法値」タブから、文字の高さの数値を変えます。任意の数値にしたら、新しい文字サイズが適用できる寸法スタイルは完成です。また、寸法スタイルの設定画面では、文字の色も変更可能です。文字サイズごとに色で認識したいのであれば、他の色を設定するのも良いでしょう。完成後は、寸法スタイル管理画面で新しく作ったスタイルを選択すると、それが反映されるようになります。
AutoCADで、文字サイズを変更した設定を呼び出すためには、「DIMSTYLE」コマンドを使用します。コマンドラインで「-DIMSTYLE」を入力すると、寸法スタイル管理画面が開きます。
そのリストに作成した、あるいは文字サイズを変更したスタイルがあるため、それを選択した上で管理画面を閉じましょう。「DIMSTYLE」コマンドは寸法スタイル管理に使えるコマンドで、文字サイズ設定を変更するために使用することも可能です。
メニューバーや注釈タブと同様の働きなので、使いやすければ「DIMSTYLE」を使用すると良いでしょう。
AutoCADでは、文字サイズを変更したり、新規作成したりした寸法スタイルは、図面と紐付けられています。そのため、別の図面では、また改めて寸法文字サイズの変更をし直さなければなりません。ただ、一度変更や作成したスタイルは、「DesignCenter」を使用するとコピーすることが可能です。
寸法スタイルをコピーするにはまず、コピー先となる図面を開きます。そして、メニューバーの「表示」タブから「パレット」パネルを選択して、「DesignCenter」をクリックして開いてください。アイコンの状態で表示されているため、少しわかりにくいかもしれません。「DesignCenter」を開いたら、寸法スタイルが保存してある場所を開きます。
寸法スタイルが複数表示されるはずなので、その中から使用したい文字サイズが含まれているものを選んでください。キーボードを使用して、複数選択することも可能です。その後、右クリックをしてから「寸法スタイルを追加」を選ぶと、図面に寸法スタイルがコピーされます。後は「DIMSTYLE」コマンドで呼び出せば、手軽に寸法文字サイズを変更可能です。
AutoCADでは、寸法の文字サイズに悩まされるのはよくあることです。文字サイズの扱いに慣れていないと、拡大や縮小と共に、寸法が見えなくなったり、過剰に大きくなったりしてしまうでしょう。それを防ぐために、寸法文字サイズの変更方法は、しっかり頭に入れておきましょう。