あらゆる業界でAI診断サービスが利用され始めていますが、ビジネスで活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?AI診断サービスを取り扱う際の注意点が気になる方もいるでしょう。今回はAI診断について解説します。
この記事を読めば、ビジネスでAI診断を活用できるようになるため、ぜひ参考にしてみてください。
AI診断とは
AI診断とは、さまざまなデータを学習したAIに診断してもらうことをいいます。
代表的なサービスとして、患者が入力した諸症状データから病名を診断するサービスが登場しています。AI診断サービスを開発すれば、不特定多数の人の診断が瞬時に行えるとして、さまざまな分野で導入されるようになってきました。
AIチャットとの違いは、診断結果を提示できるかどうかです。AIチャットに関して詳しく知りたい方は下記の記事を読んでみてください。
AI診断の仕組み
AI診断にはディープラーニングが用いられています。ディープラーニングとは、膨大な量のデータを学習して共通点を自動で学び、状況に応じて柔軟な判断を下す技術です。
正常なときのデータと異常なときのデータをAIに読み込ませることで診断ができるようになります。AIに読み込ませるデータの質と量にこだわれば、人間を凌駕するような診断サービスが生み出せます。
AI診断で実現できること
AI診断はさまざまな場面で利用されています。
顔診断
顔診断は、顔写真から似合うメイクや髪型を特定するためのサービスです。株式会社コーセーの「KOSÉ HADA mite」は、肌の水分量や油分量、キメ、シミ、シワ、赤み、くまの状態を解析し肌年齢を算出できるアプリ。
その結果をもとに、どのようなスキンケアを購入すれば良いか提案までしてくれるアプリです。このようなアプリがあれば、店舗に行かなくてもスキンケアのアドバイスが受けられるようになります。
性格診断
性格診断は、本人や恋人、友人の性格を診断するためのサービスです。近年は求人募集のミスマッチを減らすために性格診断サービスが利用されるようになってきました。
企業側が求める人物像を言語化できるAIサービスや、自社と応募者のマッチ度を測定するサービスなどが登場してきています。適材適所の人材配置が実現できるマッチングサービスとして「mitsucari」などがあり注目を浴びています。
サービス選び診断
サービス選び診断は、数多くある商品の中から、お客様に合うおすすめ商品を提案するサービスです。簡単な質問に回答するだけで、自分に合う商品を見つけることができます。
株式会社ブリジストンは、お客様のに最適なタイヤを選べる「タイヤ選びAI診断サービス」を開発して販売促進に成功しています。
病名診断
病気診断とは、患者の症状を入力するだけで窺わしい病名を特定できるサービスです。最終的な病名の特定は医師が行う必要がありますが、その場で窺わしい病名がわかって便利だと評判です。病気診断は医師の業務負担を軽減するサービスと、さまざまなものが登場しています。
外観検査診断
外観検査診断とは、製造工程で適合品と不適合品を見分けるサービスをいいます。製造ラインにカメラを取り付けておくだけで、適合品と不適合品を別ルートに流すことができ、製造スタッフの人件費が削減できると評判です。AIによる外観検査診断は、さまざまな工場で導入されています。
AI診断のメリット
AI診断サービスを導入するメリットは3つあります。
一次対応ができる
AI診断サービスを導入すれば、顧客の一次対応が自動化できます。例えば、体調不良に悩んでいる方が病気診断サービスを利用すれば、どのような病気の疑いがあるかを知ることができ、何科の病院に行けばいいか判断できるようになります。
24時間365日、お客様の好きなときに診断できるため、ビジネスの機会損失を防げるでしょう。一次対応が自動化できて、顧客満足度を上げられます。
業務効率化が図れる
AI診断サービスは、専門家の補助ツールとして活用できます。例えば、医療機関ではAI画像診断技術が利用されるようになってきており、診断支援、検査業務や診断業務の効率化に活用され始めてきました。また、製造会社では製品に欠陥がないかを検査できます。
将来の予測ができる
AI診断は、診断結果だけでなく将来の予測まで行うことができます。AIを活用して、将来、どのような病気が発症するか予測し、生活習慣の見直しを提案するなどの動きも出てきました。人間の経験と勘ではなく、データ分析による説得力の高い提案ができるようになります。
AI診断のデメリット
AI診断サービスを導入するデメリットも3つあります。
判断根拠を提示できない
AI診断サービスは、学習したデータを参考に診断結果が出ますが、根拠まで提示してくれません。例えば、医療機関のAI画像診断で「癌の可能性は70%」という結果は出せても「なぜ癌の可能性は70%なのか?」という根拠は出せません。このように、判断根拠が提示できないことがAI診断の弱点となります。
大量の学習データが必要になる
AI診断サービスを開発するためには、大量の学習データが必要になります。AI開発はIT企業に任せることはできます。しかし、IT企業がAI診断に必要なデータを集められません。
お客様もデータを集めて提供する必要があります。データを提供する際は、個人情報の取り扱いに気をつけるなど配慮が必要になります。データの準備が必要になり面倒に関してしまうでしょう。
責任の所在が不明確である
AI診断は必ず的中するわけではありません。診断結果が誤ってしまい、お客様に迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。トラブルが起きたとき、責任の所在が不明確になりがちです。そのため、AI診断サービス開発の契約を締結する際に責任の所在を明確にしておくようにしましょう。
AI診断の開発方法
AI診断の開発方法は以下の通りです。
- 要件定義
- 設計
- 開発・テスト
- 運用・メンテナンス
ここでは、各手順について詳しく解説します。
1.要件定義
まずは要件定義を行っていきます。要件定義とは、どのようなAI診断サービスを開発していくか決めることをいいます。要件定義の段階でシステム開発の工程、予算、納期まで決めておけば、設計や開発がスムーズに進めていけるでしょう。
また、AI診断サービスを開発するメリット、デメリットを考えて費用対効果が見込めるかを考えておくと後悔がなくなります。
2.設計
次にAI診断サービスの設計をしていきます。設計には「外部設計」「内部設計」があります。
外部設計 |
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内部設計 |
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3.開発・テスト
AI診断サービスの設計書が完成したら、プログラマが開発していきます。設計通りにシステムを開発していきます。
開発したサービスに不具合がないかを確かめて修正していきながら完成させていくことをいいます。テストは「モジュール単位のテスト」「複数のモジュールでのテスト」「システム全体のテスト」の順番で進めていきましょう。
4.運用・メンテナンス
AI診断サービスをリリースする前には、全てが正常に稼働するかを確認し、クライアントの要望を満たしているかを確認します。問題がなければ、サービスを公開します。
AI診断サービスを公開後は、稼働状況を監視しましょう。データの定期的なバックアップを取っておくと、システムが停止したときも安心できます。また、サービス利用者からのフィードバックをもらったら、反映させるなど適時メンテナンスを行っていきます。
AI診断の活用事例
さまざまな企業がAI診断サービスを発表しています。企業では、どのようにAIサービスが利用されているのか活用事例を見ておきましょう。
株式会社富士フィルム
株式会社富士フィルムは医療機関向けの内視鏡画像診断支援システムを開発・提供しています。膨大な臨床データを機械学習させており、内視鏡検査における病変の検出と鑑別ができます。
内視鏡医の負担軽減と検査が効率化できるだけでなく、質の高い予防医療の提供ができると評判です。業界の役に立つAI診断サービスを開発して売上を伸ばすことに成功しています。
株式会社キューピー
株式会社キューピーは、お客様の好みや気分に合ったドレッシングを見つけられる「myドレッシング診断」を開発しました。5つの質問の回答から3,000を超えるパターンを解析し、お客様にピッタリ合うドレッシングを3本提案。
お客様に新しいドレッシングを購入してもらう販売促進を目的に開発されました。キューピーの市販用ドレッシングは50種類にも及び「どれを購入すればいいかわからない」という声も上がったことから、myドレッシング診断が誕生しました。同社が今後もAIを活用していき、新たな食生活の創造に貢献していくと発表しています。
株式会社エウレカ
株式会社エウレカはマッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」を運営している会社です。
マッチングアプリで相性が良い男女が出会えるように、AIが相性の良い人を見つけ出して提案します(AIレコメンド機能)。AIを活用すれば、顕在的な希望条件だけでなく潜在的な志向も考慮したマッチングが実現可能となりました。
AIで質の高いマッチングが実現できるようになり、累計登録者数が2倍以上に増加するなどビジネス拡大に成功しています。
AIなどを活用した企業のDX推進事例を見たい方は、下記の記事を読んでみてください。
AI診断のまとめ
AI診断とは、あらゆるデータを機械学習したAIに診断してもらうことをいいます。膨大な量のデータを学習して共通点を自動で抽出し、状況に応じて柔軟な判断を下せるディープラーニングの技術の登場でAI診断が普及しました。
ビジネスに上手く活用すれば、業務効率化を図れたり、顧客満足度を上げていけます。この記事を読んでAI診断に興味を持った方は、ぜひ、これを機会に導入をしてみてください。