AutoCADの図面作成に欠かせないテキスト機能ですが、TEXT(1行文字)、MTEXT(マルチテキスト)、そしてダイナミック文字の違いや、それぞれの適切な使い分けはどのようになっているのでしょうか。
本記事では、それぞれの特徴や基本操作を解説し、効率的な編集方法や便利なショートカットキー、作業をスムーズにする自動化のテクニックまで紹介します。用途に応じた最適なテキスト機能の選び方を学び、AutoCADの作業効率をさらに向上させましょう。
AutoCADのテキスト機能とは?

AutoCADで図面を作成する際、テキストは設計意図を伝える重要な要素です。寸法や注釈、図面タイトルなど、文字情報が正しく整理されていなければ、図面を受け取った人が誤解する可能性があります。
ここでは、テキストの基本的な役割とAutoCADで使用できるテキストの種類について見ていきましょう。
文字の重要性と用途
AutoCADの図面では、さまざまな場面で文字が使用されます。図面の正確性や見やすさを向上させるためには、適切なテキストの活用が不可欠です。
例えば、以下のような用途で文字が使われます。
- 寸法記入や注記
- 図面タイトルや図面番号の表示
- 部品リストや表記情報の作成
- 施工指示や補足説明
情報が適切に配置され、明確に表現されていることで、設計意図が正しく伝わり、スムーズな作業が可能になるでしょう。
AutoCADのテキスト種類
AutoCADには、主に3種類のテキスト機能があります。
TEXTは1行ごとに独立しておりシンプルな注記に向いている一方、MTEXTはフォントやサイズ変更、段落設定が可能で、長文や整ったフォーマットが必要な場面、またダイナミック文字はコメントの入力などに適しています。
以下の表に、特徴などをまとめました。
| テキストの種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| TEXT
(1行文字) |
シンプルな1行テキスト。個別編集しやすい | 短い注記やラベル |
| MTEXT
(マルチテキスト) |
書式設定が可能。段落リスト作成可能 | 長文の説明や詳細な注記 |
| ダイナミック文字 | 1行単位のテキストで、直感的に作成・編集可能 | 図面注記やコメントの入力 |
このように、それぞれのテキスト機能には適した用途があります。
また、AutoCAD自体の基本知識を知りたい方は、下記をご覧ください。
TEXT(1行文字)とは?特徴と使い方

TEXTはAutoCADで使用できる最も基本的なテキスト機能の一つで、1行ごとに独立した文字オブジェクトを作成できます。
ここでは、TEXTの基本的な概要や作成方法、編集の仕方について解説します。
TEXTの基本概要
TEXTは、1行単位で管理されるシンプルなテキストオブジェクトです。
作成された各文字列は独立しており、個別に編集や移動が可能。短い説明や寸法記入に適しており、大量の文字情報を扱わない場合には、MTEXTよりも操作が簡単で効率的です。
また、文字サイズやフォントの設定は、事前に作成した文字スタイルに従うため、統一感のある図面を作成しやすくなるでしょう。
TEXTの作成方法
TEXTを作成する際は、作業エリア上で文字を配置する位置を指定し、入力する流れになります。
作成の手順は以下の通りです。
- ツールバーやリボンから文字記入コマンドを選択する
- 文字を配置する位置をクリックする
- 文字の高さを入力する
- 文字の角度を設定する
- テキストを入力し、確定する
作成されたTEXTは、必要に応じて個別に移動や変更が可能です。MTEXTとは異なり、編集時に専用のエディタが開かず、ダイレクトに文字の修正ができる点が特徴です。
TEXTの編集方法
作成したTEXTは、後から修正や移動が可能です。
主な編集方法は次の通りです。
- 文字の内容を変更する場合は、ダブルクリックして編集モードにする
- 文字の位置を変更する場合は、移動コマンドを使用する
- 文字の高さやフォントを変更する場合は、プロパティパレットを開いて設定を調整する
- 角度を変える場合は、回転コマンドを使用する
図面のバランスを調整しながら、必要な情報を的確に配置することができます。
TEXTのメリット・デメリット
TEXTはシンプルな構造のため、素早く作成・編集できる一方で、機能面での制約もあります。用途に応じて適切に活用することが重要です。
以下の表にメリットとデメリットをまとめました。
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 作成の手軽さ | 単純なコマンド操作で素早く作成可能 | 長文入力・整列に手間がかかる |
| 編集しやすさ | 1行ごとに独立し個別に簡単に修正可能 | 複数文字の一括変更が難しい |
| データの軽量性 | シンプル構造でデータサイズが小さく処理が軽い | 文字数が多いと管理が煩雑 |
| 配置の自由度 | どこにでも簡単に配置できる | 位置揃えは手動調整が必要 |
TEXTは短い注記やラベルの作成に向いており、素早く入力できるのが大きな利点です。一方で、複数の文字を整列させたり、書式を細かく設定したりする場合には手間がかかるため、用途に応じた適切な使い分けが求められます。
MTEXT(マルチテキスト)とは?特徴と使い方

MTEXTはAutoCADで使用できるテキスト機能の一つで、複数行の文字を入力し、さまざまな書式設定を適用できるのが特徴です。文章の整列や段落の設定、フォント変更などが可能で、長文の説明やリストの作成に適しています。
ここでは、MTEXTの基本的な概要や作成方法、編集の仕方について解説します。
MTEXTの基本概要
MTEXTは、専用のエディタを使用して文字を入力・編集できるテキストオブジェクトです。
1つのオブジェクト内で複数行の文字を扱えるため、整ったフォーマットの文章を作成しやすいのが特徴です。また、フォントや文字サイズ、色、段落の設定など、詳細な書式を適用できるため、視認性の高い注記や説明文を作成するのに適しています。
MTEXTの作成方法
MTEXTを作成する際は、作業エリア上で文字を入力する範囲を指定し、専用のエディタを使用して文字を編集します。
作成の手順は以下の通りです。
- ツールバーやリボンからマルチテキストコマンドを選択する
- 文字を入力する範囲をドラッグして指定する
- テキストエディタが開くので、文字を入力する
- 必要に応じてフォントやサイズ、段落の設定を変更する
- 入力が完了したらエディタを閉じて確定する
作成後は、エディタを再度開くことで文字の修正や書式の変更が可能です。
MTEXTの編集方法
MTEXTは作成後にさまざまな方法で編集が可能です。
主な編集方法は以下の通りです。
- 文字を修正する場合は、ダブルクリックしてエディタを開く
- フォントや文字サイズ、色を変更する場合は、エディタ内の書式設定ツールを使用する
- 段落の整列を変更する場合は、中央揃えや右揃えの設定を適用する
- 箇条書きや番号付きリストを作成する場合は、リスト機能を使用する
MTEXTは書式設定の自由度が高いため、文章を整理しながら分かりやすく配置することができます。
MTEXTのメリット・デメリット
MTEXTは多機能である反面、使用する場面によっては扱いにくいこともあります。
以下の表に、メリットとデメリットを比較しました。
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 書式設定 | フォント・サイズ・色・段落設定が可能 | シンプルな注記には不要な機能が多い |
| 文字の整列 | 自動的整列可能で見た目を整えやすい | 位置調整の際に意図しない改行が入りがち |
| 編集のしやすさ | エディタで直感的に編集可能 | シンプルな修正に手間がかかることがある |
| データの扱いやすさ | オブジェクト毎にまとまっており管理しやすい | 文字数が多いとデータが重くなりやすい |
MTEXTは、書式を統一しやすく、長文やリストを作成する際に便利な機能です。しかし、短い注記などを入力する際には不要な機能が多く、操作が煩雑になることもあるため、適切な場面で活用することが重要です。
ダイナミック文字とは?特徴と使い方

ダイナミック文字は、AutoCADで使用される1行単位のテキストで、「1行文字」とも呼ばれます。注記や短い説明を素早く入力・編集できるため、多くの設計業務で使用されています。TEXT(1行文字)と似ていますが、作成や編集がより直感的でスピーディーに行えるのが特徴です。
ここでは、ダイナミック文字の概要や作成方法、編集の仕方について見ていきましょう。
ダイナミック文字の基本概要
ダイナミック文字は、1行単位で管理されるテキストオブジェクトで、作成後すぐに編集できるのが特徴です。個別に配置されるため、短い注記やコメントの入力に適しており、作図の効率化につながります。
専用のエディタを開く必要がなく、直接修正ができるため、素早い作業が求められる場面で便利です。
6ダイナミック文字の作成方法
ダイナミック文字は、簡単な手順で作成できます。
以下の手順で作成を行います。
- 使用する文字スタイルを設定する
- 注釈タブの文字記入(TEXT)コマンドを実行する
- 文字の配置位置をクリックして指定する
- 文字の高さを入力し、Enterキーを押す
- 文字の角度を入力し、Enterキーを押す
- 文字を入力し、Enterキーを2回押してコマンドを終了する
作成された文字は、個別のオブジェクトとして管理され、後から自由に移動や編集が可能です。
ダイナミック文字の編集方法
作成したダイナミック文字は、後から簡単に修正できます。
主な編集方法は以下の通りです。
- 文字の内容を修正する場合は、ダブルクリックして編集モードにする
- 文字の位置を変更する場合は、移動(MOVE)コマンドを使用する
- 文字の高さやフォントを変更する場合は、プロパティパレットで設定を調整する
- 文字の角度を変更する場合は、回転(ROTATE)コマンドを使用する
ダブルクリックによる編集は直感的に操作できるため、素早い修正が求められる場面で非常に便利です。
ダイナミック文字のメリット・デメリット
ダイナミック文字は作業効率を向上させる一方で、用途によっては制約もあります。
以下の表で、メリットとデメリットを比較しました。
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 作成のしやすさ | 直感的な操作で素早く作成できる | 書式設定の自由度が低い |
| 編集のスピード | ダブルクリックで即時編集が可能 | 長文の入力には不向き |
| 配置の自由度 | 個別のオブジェクトとして管理できる | 文字数が多いと整理が難しくなる |
| データの軽量性 | シンプルな構造でデータが軽い | 複雑なレイアウトには向かない |
ダイナミック文字は、短い注記や図面コメントに最適ですが、長文や書式設定が必要な場合はMTEXTのほうが適しています。用途に応じて適切に使い分けることが重要です。
それぞれのテキストの違いと使い分けポイント
AutoCADには、1行ごとに独立した文字を入力できるTEXT、複数行の文字を管理しやすいMTEXT、直感的に編集しやすいダイナミック文字の3種類のテキスト機能があります。それぞれの特性を理解し、適切に使い分けることで、図面の可読性を向上させ、作業効率を高めることができます。
以下の表に、TEXT・MTEXT・ダイナミック文字の主な違いを比較しました。
| 項目 | TEXT(1行文字) | MTEXT(マルチテキスト) | ダイナミック文字 |
|---|---|---|---|
| 改行 | できない | できる | できない |
| 書式設定 | フォント・サイズの変更のみ | 太字・斜体・箇条書きなど多様な設定が可能 | ほぼ不可 |
| 編集しやすさ | 1行ずつ編集でき軽快に操作可能 | エディタから一括編集可能 | ダブルクリックで即時編集可能 |
| 配置の自由度 | 文字ごとに個別配置が必要 | まとまりのある文章を簡単に配置可能 | 1行ごとに独立し、自由に配置可能 |
| データの軽量性 | 軽い | 多機能ゆえに重くなりやすい | 非常に軽く処理が速い |
どの機能も適材適所で活用することで、作業の効率化と図面の視認性向上につながるでしょう。
AutoCADのテキスト編集を効率化する方法

AutoCADでの作図作業では、テキストの編集を効率的に行うことが重要です。文字の入力や配置、書式設定を手動で調整すると時間がかかりますが、ショートカットキーや専用コマンドを活用することで作業時間を短縮できます。また、一括編集機能を使用すれば、複数の文字を一度に修正することも可能です。
ここでは、テキスト編集を効率化するための便利なテクニックを見ていきましょう。
便利なショートカットキー一覧
AutoCADには、テキストの編集を素早く行うためのショートカットキーが多数用意されています。活用することで、コピーや移動、修正などの作業をスムーズに進めることができるでしょう。
以下の表に、主なショートカットキーをまとめました。
| ショートカットキー | 機能 |
|---|---|
| Ctrl + C | 文字のコピー |
| Ctrl + V | 文字の貼り付け |
| Ctrl + X | 文字の切り取り |
| Ctrl + Z | 操作を元に戻す |
| Ctrl + Y | 元に戻した操作をやり直す |
| Ctrl + A | すべての文字を選択 |
| ダブルクリック | 文字を直接編集 |
ショートカットキーを活用することで、テキストの修正やレイアウト変更を効率的に行うことができます。特にダブルクリックによる直接編集は、素早く修正を行いたい場合に便利です。
その他のショートカットキーを知りたい方は、下記をご覧ください。
文字の位置・サイズを素早く変更するコマンド
AutoCADでは、文字の位置やサイズを変更する際に便利なコマンドが用意されています。手動で調整するよりも、コマンドを活用することで精確な配置が可能になります。
以下の表に、主なコマンドをまとめました。
| コマンド | 機能 |
|---|---|
| MOVE | 文字を指定した位置に移動 |
| SCALE | 文字の大きさを変更 |
| ROTATE | 文字を指定した角度に回転 |
| JUSTIFYTEXT | 文字の基準点を変更 |
| SCALETEXT | 文字の高さを一括変更 |
コマンドを使用することで、文字のレイアウトを素早く整えることができます。
TEXTとMTEXTの相互変換
AutoCADでは、TEXTとMTEXTを相互に変換するための専用コマンドが用意されています。状況に応じて適切なテキスト形式に変換することで、作業効率を向上させることができるでしょう。
以下の表に、コマンドをまとめました。
| コマンド | 機能 |
|---|---|
| TXT2MTXT | 1行文字(TEXT)をマルチテキスト(MTEXT)に変換 |
| EXPLODE | マルチテキスト(MTEXT)を1行文字(TEXT)に分解 |
短い文字列をまとめて整理したい場合はTXT2MTXTを、逆に分解して個別に調整したい場合はEXPLODEを使用すると便利です。
文字の一括編集方法
AutoCADでは、特定の条件に合った文字を一括で選択し、編集することができます。手動で一つずつ修正するのではなく、クイック選択やプロパティを活用することで効率よく変更が可能です。
以下の表に、機能をまとめました。
| 機能 | 概要 |
|---|---|
| クイック選択 | 指定したフォントやサイズの文字だけをまとめて選択 |
| プロパティパレット | 選択した文字のフォントや色、高さを一括で変更 |
| FINDコマンド | 指定した文字列を検索し、一括置換 |
大量のテキストを効率よく編集し、統一感のある図面を作成できます。
AutoCADのテキスト機能を最大限活用しよう
AutoCADのテキスト機能を理解し、適切に活用することで、図面の品質を向上させ、作業効率を大幅に改善できます。TEXTとMTEXT、ダイナミック文字の違いを把握し、ショートカットキーや編集コマンドを活用することで、よりスムーズな設計作業が可能になります。
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