AutoCADの操作に慣れてくると、作業スピードが気になるものです。作業効率を上げるには、ショートカットの使用が効果的です。
この記事では、AutoCADの操作性を上げる便利なショートカットを解説します。また、ショートカットを使う上で気をつけることやカスタマイズ方法なども取り上げます。
AutoCADのショートカット一覧!
AutoCADのショートカットは、WindowsのようにCtrlキーやShiftキー、Fキーと英数字を組み合わせたものに加え、エイリアスと呼ばれるタイプのものがあります。
エイリアスを使うと、コマンドの正式名称であるアルファベットの頭文字、ないしは上から3文字を使い、目的の操作ができます。
なお、エイリアスは他のコマンドが何も実行されていない状態のときに有効で、キーを押して目的の選択肢が画面上で選択されている状態でスペースキーまたはエンターキーを押すことで実行できます。
こちらでは、エイリアスをショートカットとして考え、よく使う便利なショートカット一覧を操作の種類別に記載します。
AutoCADは、ショートカットやエイリアスなど、コマンド入力を徹底することでスピードアップが図れますので、早い段階から慣れておくとよいでしょう。
作図
- 線を引く:L
- 円を描く:C
- 円弧を描く:A
- 長方形を描く:REC
コピー・移動・削除など
- コピー:COまたはCtrlキー+C
- 移動:M
- 削除:E
- 部分削除:BR
- トリム:TR
- プロパティコピー :MA
寸法
- 寸法記入:DIM
- 幾何公差:TOL
スナップ
- 直行モード:F8キー
- スナップモード:F9キー
- 極スナップ:F10キー
修正
- 回転:RO
- ミラー:MI
- 尺度変更:SC
- オフセット:O
- ストレッチ:S
- 面取り:CHA
- フィレット:F
- ハッチング: H
図面操作
- 図面の新規作成:Ctrlキー+N
- 図面を開く:Ctrlキー+O
- 図面の上書き保存:Ctrlキー+S
- 次の図面に切り替える:Ctrlキー+Tabキー
- 前の図面に切り替える:Ctrlキー+Shiftキー+Tabキー
- ブロック作成:B
- ブロック挿入: I
- プロパティ:PR
- オブジェクトプロパティ:Ctrlキー+1
- AutoCADを終了する:Ctrlキー+Q
こちらの記事では、作図と図面に関するAutoCADの基本コマンドとショートカットキーを整理して紹介しております。中級者や上級者向けのコマンドについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
AutoCADのショートカットで気をつけること
AutoCADのショートカットを使う場合は、気をつけることもあります。ここでは、エイリアスとショートカットのデメリットを取り上げます。
エイリアスのデメリット
エイリアスは、コマンドのスペルをすべて入力しなくても目的の操作を実行できるメリットがありますが、一度に実行できるコマンドは1つに限定されます。
つまり、操作を連続して複数行ないたい場合はエイリアスが使えないということです。
また、日本語入力モードになっている場合は、エイリアスが実行されません。直前に日本語入力している場合、英数モードへの切り替えが必要になりますが、その作業を忘れてエイリアスコマンドを入力してエラーになることがあります。
ショートカットキーのデメリット
ショートカットキーは、種類によっては、かえって操作が遅くなるキーの組み合わせがあります。
特に操作が遅くなることが考えられるのは、CtrlキーやShiftキーから離れたキーが割り当てられているケースです。
CtrlキーやShiftキーは、その他のキーと同時に押さなければならないため、離れたキーと一緒に押そうとすると正しく入力できなかったり、他のキーを押してしまうことがあります。ショートカットキーの割り当てに限界があることも、スムーズな操作を妨げています。
AutoCADはマウス操作も多く、右手はふさがれている状態です。左手だけで入力できるショートカットキーの種類は限られるため、コマンドによってはスピードアップが期待できない場合があります。
AutoCADのショートカットをカスタマイズする
AutoCADのショートカットやエイリアスが便利でないと感じる場合は、カスタマイズすることで操作性を上げられるかもしれません。
ここで、AutoCADのショートカットの割り当て方法をご紹介します。
AutoCADのショートカットを割り当てる方法
まず、管理タブからカスタマイズパネルを選択し、ユーザインターフェースをクリックします。
そして、カスタマイズタブの「<ファイル名>内のカスタマイズ」ペインで、「キーボードショートカット」の前側にある+の記号をクリックして展開します。
ショートカットキーを新たに作成する場合
ショートカットキーを新たに作成したい場合は、コマンド一覧から割り当てたいコマンドを選んで、上部の「ショートカットキー」の上にドラッグします。
すでに割り当てられたショートカットキーを修正する場合は、キーボードショートカットの中の「ショートカットキー」の前の+記号をクリックして展開し、目的のものを選択します。そうすると、プロパティが開きます。アクセス内のキーのボックスの右側にある「…」ボタンをクリックすると、ショートカットキーダイアログボックスが開きます。
その中で、Ctrlキー・Shiftキー・Altキー、あるいはShiftキー+Altキーと文字キー・数字キーなどの組み合わせを選びます。
ショートカットキーの割り当てを行う場合
ショートカットキーの割り当てを行う場合は、現在割り当てられているキーがないかどうか、すでに割り当てられたものがある場合は置き換えても支障がないか確認します。
これは、割り当てたいショートカットキーダイアログボックスの「新しいショートカットキーを押す」の部分に割り当てたいキーの種類を入力して「OK」ボタンを押し、その下側に表示される「現在の割り当て」を確認するということです。
内容を確認して問題ない場合は、指定したショートカットキーがダイアログボックスのキーの右側に入力されていることを確かめたうえで「適用」ボタンを押下し、変更を反映させます。
ショートカットをカスタマイズする際の注意点
会社の限られたパソコンにAutoCADをインストールし、複数人で共有している場合は、ショートカットの変更は慎重に行う必要があるでしょう。
勝手にショートカットをカスタマイズすると、自分以外の使用者の操作性が低下し、会社全体の作業効率がダウンしてしまうことが考えられるからです。
ショートカットとともに使いたい作業効率アップに役立つ方法
作業効率アップを目指してショートカットを使っている場合は、下記の方法を併用するとさらに作業を高速化できます。
データの軽量化や動作の削減
AutoCADで使用するデータは重いこともあり、操作を重ねるうちにフリーズしたり、コマンドの起動が遅くなったりします。そのような事態を防ぐために、データ自体を軽くできる「PURGE」コマンドを使うとよいでしょう。
PURGEコマンドは、図面で使用されていないブロックや線種・レイヤー・文字スタイルなどを消すことでデータの軽量化を実現します。システム変数の設定を変更して、余分な表示や動作を減らし、パフォーマンスを上げることもできるでしょう。
一時スナップの活用
AutoCADを使う場合、オブジェクトスナップに加え、一時スナップを活用すると作業効率をアップできます。オブジェクトスナップは日常的に使用する種類だけにとどめ、そのほかのものは一時スナップで対応するのがおすすめです。
一時スナップは次のワンクリックのみに適用されるスナップで、CtrlキーあるいはShiftキーを押しながらマウスで右クリックすると作業内容を選択できます。うまくスナップを利用できない複雑な図形で活用したい便利な機能と言えます。
AutoCADは人気のソフトですが、互換ソフトに切り替えることも可能です。こちらの記事では、AutoCADと互換性のあるソフトを紹介し、それぞれの特徴やメリット・デメリットを考慮して選ぶ重要性を解説しております。
AutoCADの便利なショートカットと気をつけること
AutoCADのショートカットはキーボードだけで操作ができるため便利です。使用頻度が高いものを中心にコマンド入力を徹底すると、作業は格段に速くなるでしょう。
ショートカットを使用する際に気をつけることは、入力モードの確認です。また、すべてのコマンドが作業効率アップに役立つわけではない点を理解して使うことが重要です。