Autodesk Fusion(Fusion360)は、企業や個人、大学などにて幅広く利用されている3DCADソフトです。
今回は3Dモデリングの実践を交えながら、Autodesk Fusion(Fusion360)の使い方を詳しく解説していきます。Autodesk Fusion(Fusion360)の使い方を覚えたいと考えている初心者の方は、ぜひ最後までお読みください。
Autodesk Fusion(Fusion360)とは
始めに、Autodesk Fusion(Fusion360)の概要を解説します。Autodesk Fusion(Fusion360)は、CAD/CAM/CAEなどが1パッケージとなり多くの機能に一貫して対応できることが特徴であるソフトウェアです。
たとえば、Autodesk Fusion(Fusion360)の使い方を覚えると次のようなことができます。
- 3Dモデリング
- アセンブリ
- 2D図面の製図
- CAM
- CAE
- レンダリング
CAEやCAMを行うためには3DCADとは別のソフトが必要なことも多い中、1本で多くの機能をカバーしているAutodesk Fusion(Fusion360)は非常に魅力的。ぜひ使い方を覚えておきたいところです。
なお本記事では3Dモデリングの方法を解説しています。CAMやCAEとの違いは下記記事を参考にしてください。
Autodesk Fusion(Fusion360)の使い方 準備編
それでは早速、Autodesk Fusion(Fusion360)を使ってみましょう。Autodesk Fusion(Fusion360)を使い始めるためには、最初にソフトウェアのインストールが必要です。以下リンクより30日間の無料体験版のダウンロードができますので、確認してみてください。
なお現在、6月30日までの期間限定で特別割引キャンペーンを実施中です。Autodesk Fusion 年間ライセンスがどこよりもお得に購入できる機会ですので、ぜひご利用ください。
Autodesk Fusion(Fusion360)の特徴を詳しく知りたい方は、こちら記事がおすすめです。
Autodesk Fusion(Fusion360)の使い方 基本操作編
ソフトウェアのインストールが完了したら、実際にAutodesk Fusion(Fusion360)を使ってみましょう。3Dモデリングに入る前に、まずはAutodesk Fusion(Fusion360)の基本的な使い方を確認していきます。基本を初めに覚えた方が、3DCADの使い方をスムーズに習得できるからです。
早速、ユーザーインターフェースとファイルの取り扱い、マウス操作についてみていきましょう。動画で学習したい方は、冒頭の公式チュートリアルを確認してみてください。
1.ユーザーインターフェース
Autodesk Fusion(Fusion360)の主なユーザーインターフェースを紹介します。
- アプリケーションバー
- プロフィールとヘルプ
- ツールバー
- ブラウザ
- ビューキューブ
- ナビゲーションバーと表示設定
- タイムライン
各項目を順番に解説していきます。
①アプリケーションバー
新規デザインの作成や保存、エクスポートなど、ファイル操作に関わる作業が行えます。
②プロフィールとヘルプ
設定のカスタマイズやヘルプの閲覧、お知らせの確認が行えます。
③ツールバー
デザインやアニメーションなどのワークスペースの切り替えができます。各ワークスペースで使用するアイコンもこちらに表示されます。
④ブラウザ
原点やスケッチ、各モデルなどのオブジェクトの一覧です。各オブジェクトの表示・非表示の切り替えも、ブラウザから行えます。
⑤ビューキューブ
ビュー表示を回転させることができます。特定の向きから見たい場合に便利な機能です。
⑥ナビゲーションバーと表示設定
表示の回転や拡大縮小などの操作を行える他、表示スタイルの切り替えもできます。
2.ファイル操作
保存されているデータはデータパネルから確認可能です。データパネルは、アプリケーションバーの中から「データパネルを表示」を選択すると開けます。
プロジェクトごとにフォルダ分けができるので、階層を整えておくと目的のファイルを探しやすくなります。
作成したデータの保存は、データパネルにあるフロッピーのアイコンを押せばOKです。
3.マウスの使い方
画面表示を変更する際、マウスの使い方を覚えておくと便利です。厄介なことにCADソフトによっても操作方法が異なることがあるので、ソフトごとに使い方を覚えましょう。
Autodesk Fusion(Fusion360)でのマウスの使い方は、次の通りです。
画面表示の種類 | マウス操作 |
画面移動 | マウスホイールを押したままドラッグ |
拡大縮小 | マウスホイールのスクロール |
回転 | Shift + マウスホイールを押したままドラッグ |
Autodesk Fusion(Fusion360)の扱いに慣れれば、頭で考えなくても自然と指が動くようになります。思い通りに操作できるよう、繰り返し練習してみてください。
Autodesk Fusion(Fusion360)の使い方 実践編1
Autodesk Fusion(Fusion360)の基本的な使い方を習得できたら、いよいよ3Dモデリングに取り組んでいきましょう。
ここでは例として、オフィスデスクの引き出し形状に合わせたトレイを制作していきます。外形寸法は、縦:90mm、横:160mm、高さ:30mmとします。
手順1.外形スケッチを作成する
最初の手順は、トレイ外形のスケッチ作成です。
3DCADでは、元となるスケッチに厚さを付けることで立体形状を作成できます。設定したサイズになるよう、スケッチを引いていきましょう。
スケッチ作成画面に入る
「スケッチを作成」のコマンドで平面を選択し、スケッチ作成画面に入ります。今回は、選ぶ平面は任意で構いません。
長方形のスケッチを作成する
スケッチ画面に入ったら、「2点指定の長方形」にて一方の点を原点に設定し長方形を書きます。寸法は次で付与するので、2点目は仮置きで大丈夫です。
長方形スケッチの寸法を整える
先ほどの長方形の寸法を整えていきます。縦横それぞれの線に対して「スケッチ寸法」を適用し、寸法を配置します。縦が90mm、横が160mmに修正できたら手順1は完了です。「スケッチを終了」でスケッチ作成画面から抜けてください。
手順2.押し出しで立体にする
次に、手順1で作成したスケッチに厚さをつけ3D形状にしていきます。
ソリッドタブの「押し出し」コマンドにて、手順1で作成したスケッチを選択しましょう。スケッチを1つだけしか作成していない場合は、押し出すスケッチが自動的に選択されます。
距離に「30」と入力するか、矢印を左クリックで伸ばして直方体にします。形ができあがったら、「OK」で確定です。これで90mm×160mmの長方形が30mm押し出され、目的の寸法通りの3D形状を作成できました。
手順3.引き出しの形に合わせて、形状を調整する
外形サイズができあがったら、引き出しの形状に合うように調整を加えます。
今回の引き出しは、先端が斜めになっていたり途中に凸が出てたりしています。単純な直方体のトレイでは、上手く引き出しに収めることができません。よって、ぶつかってしまう部分を削る必要があります。
中央部のカット
真ん中に凸部の逃げを設けます。まず、「スケッチ」で側面を選択しましょう。10×4mmの長方形スケッチを、ちょうど真ん中に配置します。「2点指定の長方形」にて一方の点を下辺に置き、長方形のサイズを指定すればOKです。
先端から長方形スケッチまでの距離を「スケッチ寸法」で40mmに修正し、「スケッチを終了」にてスケッチ作成画面から抜けてください。
カットする際に使うコマンドも「押し出し」になります。上記で作成した長方形スケッチを使って押し出します。設定するパラメータは下記の通りです。
- プロファイル:10×4mmの長方形
- 方向:片側
- 範囲のタイプ:すべて
- テーパ角度:0.0deg
- 操作:切り抜き
パラメータを設定しても「OK」がグレーアウトされている場合は、押し出す向きが異なっています。「反転」を左クリックして向きを調整してください。
先端の角部をカット
次に、先端の角部をカットします。先ほどと同様にスケッチを書いて「押し出し」してもよいのですが、「面取り」コマンドを使うことで簡単に角部をカットできます。
「修正」タブの中から「面取り」を選択します。面取りしたい辺を指定すると、面取りの大きさを入力可能です。今回は15mmとします。このように、角部を斜めに切り落としたいときには「面取り」が便利です。これで、今回の引き出しに収まる外形となりました。
Autodesk Fusion(Fusion360)の使い方 実践編2
実践編1までの内容で外形まで作成できましたので、トレイの完成まであともう少しです。
手順1.シェルでくり抜く
引き出しに収まる外形を作れましたが、このままでは何も収納できないので中身をくり抜く必要があります。トレイのような形状を作る際には、「シェル」というコマンドがとても便利です。実際に使ってみた方が分かると思うので、やっていきます。
「修正」タブの中から「シェル」を選択し、トレイの上面に設定します。次に「内壁の厚さ」を入力してください。今回の内壁の厚さは2mmです。これで内側がくり抜かれました。スケッチを書いてから押し出すよりも、シェルの使い方を覚えた方が簡単ですね。
手順2.仕切りを作る
最後に仕切りを設けていきます。仕切りを設けたい場所にスケッチを追加しましょう。「スケッチ」コマンドにて上面を選択し、長方形を書きます。
今回は右端から80mmと左端から40mmの箇所に、厚さ2mmの仕切りを設けることにしました。スケッチを作成できたら「押し出し」です。「範囲のタイプ:オブジェクトまで」でトレイの底面を選択すれば、目的の面まで押し出せます。
手順3.余分な箇所をカットする
手順2で作成した仕切りが、外形からはみ出している部分があるのでカットしていきます。
まず、「押し出し」ではみ出している面を選択します。「範囲のタイプ:すべて」、「操作:切り抜き」にし、「反転」で切り抜く方向を調整すれば手順終了です。
これで引き出しトレイが完成しました。制作したデータを元に3Dプリンターで造形すれば、オリジナルトレイを作ることもできます。
Autodesk Fusion(Fusion360)の使い方習得方法
本記事のような情報やYouTube動画などを用いて3DCADを習得することもできますが、実際のところ初学者が独学で使い方を覚える難易度は高いといえます。なぜなら独学には、疑問点を解決できる学習環境がないからです。
学習につまずいたらプロから教わり疑問点を一つずつ解決していくのが、3DCADの使い方をマスターするための近道です。Autodesk Fusionセミナー講習では、2日間という短期間にもかかわらず未経験からでも応用操作までを学習できます。
セミナーの詳細は、下記のリンクよりご確認ください。
Autodesk Fusion(Fusion360)の使い方についてのまとめ
ここまでAutodesk Fusion(Fusion360)の使い方をみてきました。3Dモデリングに取りかかる前に基本的な操作方法を習得することが、Autodesk Fusion(Fusion360)の使い方をいち早く覚えるためのポイントです。
ぜひこの機会にAutodesk Fusion(Fusion360)での3Dモデリングを始めて、3DCADの魅力に触れてみてください。
