【2026】金属3Dプリンターとは?方式ごとのメリット・価格・メーカー依頼まで解説

近年、金属3Dプリンターが製造業の現場や個人利用として、急速に普及しています。
しかし、導入を検討しているものの「どの方式を選べばいいのか」「導入コストはいくらか」「個人でも使えるのか」と疑問をもつ方も多いでしょう。

そこでこの記事では、金属3Dプリンターの仕組み・材料・方式の違い・価格相場・主要メーカーまでわかりやすくまとめました。金属3Dプリンターを選ぶ際の参考にしてください。

金属3Dプリンターとは?金属を印刷できる仕組み

金属3Dプリンターとは、金属粉末や金属フィラメントを溶融・積層して立体造形を行う装置です。わかりやすく説明すると「金属を溶かして1層ずつ積み上げる溶接型のプリンター」であり、金型を使わずに金属部品を造形できます。

たとえば、これまでの金属加工で用いられる「削り出し」「鋳造」は、金型製作に数週間かかり、形状制約も多くありました。一方で金属3Dプリンターは、3Dデータから直接造形するため、試作サイクルを大幅に短縮できるほか、軽量化・一体化・部品点数削減を実現しやすくなります。

特に航空機エンジン・医療インプラント・金型冷却部品など、複雑かつ軽量化が求められる用途で利用される傾向が強まっています。

樹脂3Dプリンターとの違い

金属3Dプリンターと樹脂3Dプリンターは、作り方や用途が大きく異なります。
以下に、それぞれの比較表をまとめました。

樹脂3Dプリンター 金属3Dプリンター
材料 プラスチック(PLA・ABSなど) チタン・アルミ・ステンレスなど
つくる温度の目安 約200〜300℃ 約1,000〜2,000℃
強度 弱め(模型・試作向け) 非常に強い(実際の製品に使える)
価格 安い(数万円〜) 高い(数百万円〜)
主な用途 試作品・教育 航空・医療・自動車などの金属部品

たとえば、樹脂3Dプリンターは、プラスチック系材料で生み出せるプラモデルや日用品などに使われるのが一般的です。一方で、金属3Dプリンターは「鉄を溶かして溶接しながらつくる機械部品」など、強度や耐熱性が求められる製品を生み出せます。

また、自社(自身)に必要な金属3Dプリンターがわからないとお悩みなら、以下のサービスをご利用ください。ニーズをお伺いしたうえで、最適な3Dプリンターをご提案いたします。

金属3Dプリンターで使える金属一覧

金属3Dプリンターに用いる材料

金属3Dプリンターでは、次のような金属素材を使って造形ができます。

特徴 主な用途
チタン(Ti) ・軽くて強く、さびにくい
・生体適合性が高い
医療用インプラント、航空機部品
アルミニウム(Al) ・軽量で加工しやすい
・コストも比較的安い
自動車・ドローン部品、熱交換器
ステンレス鋼(SUS) ・強度と耐食性に優れる
・幅広い用途がある
食品機械、工具、試作品
インコネル(Ni合金) ・高温に強く、熱変形しにくい タービンブレード、ジェットエンジン部品
銅(Cu) ・熱や電気の伝導率が高い 放熱部品、電極、モーター部品
マルエージング鋼 ・高強度で耐摩耗性に優れる 金型、精密部品

たとえば、軽さ重視ならアルミ・チタン系、熱や摩耗に強い部品ならインコネルやマルエージング鋼がおすすめです。また、熱や電機の伝導率が必要な場合には銅、コスト重視の試作ならステンレスがよく用いられます。

なお、金属3Dプリンターを用いる際には、本体や材料だけでなく、出力するためのデータが必要です。詳しいつくり方を知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。

【2025】3Dプリンター用データ作成方法!モデリング時の注意点も紹介

金属3Dプリンターの方式ごとのメリット・デメリット

金属3Dプリンターの方式

金属3Dプリンターは、製品によって造形方式(つくり方のタイプ)が異なる点に注意が必要です。方式ごと「精度」「速度」「コスト」「向いている用途」が違うため、ここでは3種類の造形方式のメリットデメリットを解説します。

PBF方式 DED方式 バインダージェット方式
造形精度
造形スピード
コスト 高い 高い 安い
強度

パウダーベッド方式(PBF)

パウダーベッド方式は、金属粉末を薄く敷き、レーザーで焼き固めて積み重ねていく方式です。
医療用インプラント、航空機エンジン部品、金型、精密機構部品などに向いている方式となります。

メリット デメリット
・精度が高く、表面がなめらかに仕上がる
・小型部品や精密部品に向いている
・試作から量産まで対応できる
・造形スピードが遅め
・機械本体が高価である(数千万円〜)
・専用の粉末材料が必要になる

指向性エネルギー堆積方式(DED)

指向性エネルギー堆積方式は、金属粉末やワイヤーをノズルから噴射し、レーザーや電子ビームで同時に溶かしながら積層する方式です。溶接技術に近い仕組みで金属造形を行います。

メリット デメリット
・大きな部品も造形できる
・既存部品の修復や肉盛りにも使える
・材料切り替えが比較的容易である
・精度がやや劣る(PBFより粗い)
・表面仕上げに後加工が必要である
・設備が大きく、設置スペースが必要になる

バインダージェット方式

バインダージェット方式(別名、金属フィラメント方式)は、金属粉末に接着剤(バインダー)を吹きかけて形をつくり、焼き固めて金属化する方式です。コストを抑えやすいのが特徴であり、小ロット生産、低コスト金属の造形などに向いています。

メリット デメリット
・コストが安く、小型機でも造形できる
・個人や教育機関でも導入しやすい
・後焼結で本物の金属になる
・強度はPBFやDEDより低め
・焼結(高温焼き固め)の工程が必要になる
・収縮や歪みが出やすい

金属3Dプリンターによる制作事例

金属3Dプリンターは、すでに世の中に普及している最先端の技術であり、金属3Dプリンターを提供するメーカーでも導入事例が公開されています。参考として以下に、実際に導入した企業の制作事例を整理しました。

導入企業 目的・用途 出典
株式会社S.I コントロールズ 治具製作の樹脂対応から金属対応へ変更するために金属3Dプリンターを導入 RICOH導入事例ページ
株式会社小原工業 金型による量産が困難な義肢装具の部品を、金属3Dプリンターで製作 丸紅情報システムズ国内活用事例ページ

このように、製造の現場では人手の対応が難しい作業や、時間のかかる金型準備の負担を削減するために金属3Dプリンターが導入されています。

なお、上記のような制作事例では、3DCADなどのエンジニアリング向けソフトが活用されています。そのなかでも、Blenderを用いて金属3Dプリンターの出力を考えている方は、以下の記事をチェックしてみてください。

【2025】Blenderで作成したモデルを3Dプリンターで出力する方法を解説!

金属3Dプリンターの価格とコスト

金属3Dプリンターの初期費用とランニングコスト

金属3Dプリンターの価格は、目的や機能によって大きく変わります。

たとえば、個人向けの小型モデルは数十万円からありますが、産業用のハイエンド機では1億円を超えることも少なくありません。また、本体価格だけでなく、材料費や後処理・メンテナンス費用も考えることが大切です。

ここでは、金属3Dプリンターの価格やコスト感をわかりやすく解説します。

  • 金属3Dプリンター本体(数十万円~数億)
  • ランニングコスト(材料・後処理・メンテナンス)

個人・家庭用は数十万円から

最近は、金属フィラメント方式やバインダージェット方式が普及したことにより、個人でも扱える小型の金属3Dプリンターが登場しています。なかには、30〜100万円前後で購入できるモデルも見つかります。以下に、個人・家庭用の3D金属プリンターの特徴を整理しました。

  • コンパクトで家庭用電源でも使える
  • 試作品や小物パーツの造形に向いている
  • アルミやステンレスなどの造形ができる

ただし、焼結(焼き固め)工程が必要なタイプが多く、仕上げには少し手間がかかる点に注意しなければなりません。そのため、「まずは小規模で試したい」「教育目的で使いたい」という人に最適です。

業務用・産業用は数百万円~数億円

企業や研究機関で使われる業務用・産業用モデルは、高出力レーザーや大型造形室を備えた本格機種です。価格帯はおおむね以下のようになります。

規模 価格の目安 主なメーカー
小型試作用 約300〜800万円 Desktop Metal(丸紅情報システムズ)、Markforgedなど
中型汎用機 約1,000〜3,000万円 EOS、3D Systemsなど
大型・量産対応機 約5,000万円〜1億円以上 SLM Solutions、GE Additiveなど

航空宇宙・自動車・医療機器などの高精度部品の量産にも使われている機器がほとんどです。
特にPBF方式の高出力機は、高精度・高強度・高価格になりやすい傾向です。

材料・後処理・メンテナンスにかかるコスト

金属3Dプリンターは、前述した本体にかかる初期費用だけではなく、ランニングコストも無視できません。以下に、継続的に発生するコストを整理しました。

項目 内容 費用の目安
材料費 チタン・ステンレス粉末など 1kgあたり2〜10万円
後処理費 焼鈍・研磨・切削など 1点あたり数千円〜数万円
メンテナンス 清掃・部品交換・ソフト更新など 年間30〜100万円程度

特に材料と後処理がコストに大きく影響します。金属3Dプリンターを導入する際には、事前にライフサイクルコストを明確にしておくのが良いでしょう。

また、試作段階で導入するのではなく、まずは外部への造形依頼サービスを活用して、費用の目安(原価など)を知ることも大切です。品質やコストのバランスを図りながら導入を検討できます。

金属3Dプリンターのおすすめ国内・海外メーカー

金属3Dプリンターは世界中で開発・販売が進んでおり、メーカーによって得意分野や特徴が異なります。ここでは、日本国内と海外の代表的なメーカーをそれぞれ紹介します。

地域 メーカー例 得意分野
国内 三菱電機 高出力レーザーによる大型部品の造形に強い
ニコン 高精度カメラ技術を応用した造形精度の高さが魅力
海外 EOS(ドイツ) PBF方式のトップ企業であり、精度・再現性が高い
3D Systems 世界最古の金属3Dプリンターメーカーであり、多様な金属対応が可能

新たに金属3Dプリンターを導入する場合、国内メーカーには日本語サポートや国内補助金適用など、日本企業ならではのメリットがあります。一方で海外メーカーだと、大型造形に対応できるほか、素材ラインナップが豊富な点が強みです。

金属3Dプリンター導入が難しいなら依頼がおすすめ

外部サービスへ渡す金属3Dプリンター用のモデル

金属3Dプリンターは非常に便利な技術ですが、導入には高額な初期費用や専門知識が必要です。
そのため、いきなり機械を購入せず、造形依頼サービス(外注)を活用する企業や個人が増えています。

造形依頼サービス(外注)とは、自社で作成した3Dモデル(たとえば、上の画像のようなもの)を送るだけで、造形・出力を引き受けてくれる代行サービスです。自社で金属3Dプリンターを導入する必要がなくなるため、場所の確保や維持管理、初期費用を大幅カットできます。

以下に、依頼サービスを利用するメリットをまとめました。

  • 機械を買わなくても1点から造形できる
  • 専門オペレーターが最適条件で造形してくれる
  • 設計データのチェックや仕上げまで対応してもらえる
  • 試作物を短期間で納品できる場合もある

また、依頼サービスでは、造形方式などを自由に選べるのが魅力です。
複数のサービスを比較することにより、低価格かつ高品質、ハイスピード納品に対応できる業者を見つけやすくなります。

なお、依頼サービスに提出用の3Dモデルを準備する必要があるけれど、つくり方がわからないとお悩みなら、Autodesk Fusionを用いてデザインするのがおすすめです。以下のセミナーでは、Autodesk Fusionの基本操作や実践的な使い方をプロの講師から学べます。

セミナー名Autodesk Fusionセミナー講習
運営元GETT Proskill(ゲット プロスキル)
価格(税込)41,800円〜
開催期間2日間
受講形式対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング

金属3Dプリンターについてよくある質問

金属3Dプリンターについて、よくある質問を整理しました。

金属3Dプリンターのデメリットや欠点は何ですか?
金属3Dプリンターは機械本体が高額で、材料費や後処理コストもかかるのが欠点です。また、造形中の温度管理や粉末処理には専門知識が必要なため、導入後すぐに誰でも扱えるわけではありません。試作段階では依頼サービスを利用するのがおすすめです。
金属3Dプリンターでつくってはいけないものはありますか?
武器・銃器は銃刀法違反、硬貨などは通貨偽造罪などに問われる恐れがあります。また、特許や意匠登録された製品を無断で複製する行為も違法です。安全面や法令を守ることが前提であるため、事前に設計審査や使用目的を明確にしておきましょう。
樹脂製3Dプリンターで金属材料は使えますか?
基本的には使用できません。樹脂プリンターは200〜300℃程度の熱で樹脂を溶かす一方で、1,000℃以上で溶ける金属粉末には対応できないためです。ただし、最近では「金属フィラメント」を使った簡易的な金属造形方式も登場しています。

金属3Dプリンターについてまとめ

金属3Dプリンターは、従来の人による加工では難しかった形状を自由に作れる次世代の製造技術です。チタンやアルミ、ステンレスなどの金属素材を積層し、軽量・高強度な部品を短期間で造形できます。

一方で、機械の価格や運用コストが高いという課題もあるため、最初は外部の造形依頼サービスを活用して試すのが現実的です。実際につくってみることで、素材特性や精度、費用感を把握してみるのが良いでしょう。

金属3Dプリンターのアイキャッチ
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