AI リスキリングとは?導入する際の5つのステップとポイントを解説

【2026】リスキリングとは?導入する際の5つのステップとポイントを解説

「リスキリングとは?」「リスキリングを導入するべき理由がわからない」という方も多いでしょう。近年は、多くの業界・職種で人材不足が進んでおり、その課題を解決する鍵として注目されているのが企業による従業員の「リスキリング」です。

しかし、目的も決めないまま単にリスキリングを導入するだけでは不十分であり、失敗につながる恐れも。

そこで本記事では、DX・AI時代に必要とされる人材育成策として注目される「リスキリング」とは何かをリカレント教育との違いからわかりやすく解説します。また、企業がリスキリングに取り組むべき理由や導入時のポイント、効果的な5つのステップ、おすすめの研修サービスまで詳しく紹介します。

リスキリングとは?

リスキリングとは?

リスキリングとは、現在の職務とは異なる新たなスキルや知識を習得し、別の業務に就けるようにするための学び直しを指します。企業が主導して従業員に再教育を施し、これまで社内になかったスキルを身につけてもらうことで、変化するビジネスニーズに対応できる人材を社内で確保する取り組みです。

簡単に言えば、社員の「職業能力の再開発」とも表現でき、成長分野への人材シフトやDX推進において注目されています。

例えば、現場業務の経験が豊富な社員にAIやデータ分析のスキルを新たに習得させ、生産プロセスの自動化プロジェクトを担当してもらうケースなどはリスキリングの典型例です。

リカレント教育との違い

リスキリングと混同されやすい概念にリカレント教育があります。リカレント教育とは、学校卒業後も就労と学習を交互に繰り返しながら生涯にわたり学び続けることを指す言葉です。主な違いは以下の表をご参照ください。

項目 リスキリング リカレント
主導者 企業 個人
目的 社内で新たな職務を担える人材を育成し、組織の戦略に必要なスキルを確保すること 自身のキャリア形成や市場価値向上のため、生涯にわたり継続的に学び続けること
学習の進め方 企業内研修・社外セミナー受講など会社が機会を提供 大学や専門講座への入学、独学など個人の裁量で学習

両者はいずれも「学び直し」によってスキルを高める点では共通しています。しかし、リスキリングは企業が自社の戦略に必要なスキル習得を社員に促す施策であり、リカレント教育は働く個人が自発的に行う生涯学習ということを覚えておきましょう。

リカレント教育は以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。

【2025】企業はリカレント教育を導入すべき?導入方法や効果、ポイントを解説

リスキリングを導入するべき4つの理由

リスキリングを導入するべき4つの理由

ここでは、組織にリスキリングを導入する主なメリットを4つの観点から解説します。

  1. DX・AI推進を担える人材を社内で育成できる
  2. 事業環境の変化に柔軟に対応できる組織になる
  3. 離職率を下げられる
  4. 人的資本経営への対応として必須

①DX・AI推進を担える人材を社内で育成できる

デジタル技術の進歩やAI活用が進む現在、DXを推進できる人材の確保は多くの企業にとって課題です。しかし、高度なデジタル人材やAI人材は市場での争奪戦が激しく、外部採用だけで必要人数を満たすのは容易ではありません。そこでリスキリングを通じて自社の社員にDX・AIスキルを習得させれば、社内に不足するデジタル人材を効率的に育成できます。

社内育成であれば、もともと会社の業務知識や文化を理解した人材がベースとなるため、新しいプロジェクトへの適応もスムーズです。外部から専門人材を招く場合と比べ、社内の人脈や業務フローに慣れる時間を短縮できるという利点もあります。

②事業環境の変化に柔軟に対応できる組織になる

技術革新や市場ニーズの変化が激しい時代において、社員が常に新しい知識・スキルを身につけていれば、事業環境の変化に柔軟に対応できる組織を築けます。リスキリングによって社内に「学び続ける文化」が根付けば、新しいツールやビジネスモデルが登場しても迅速にキャッチアップして実践に移せる人材が増えていきます。

これは企業の競争力向上にも直結します。変化に適応するために必要なスキルを社内で安定的に獲得できる体制が整えば、市場の要求に遅れることなく対応し続けることが可能です。

③離職率を下げられる

従業員にとってリスキリングの機会は成長のチャンスであり、将来のキャリアパスを広げるものです。会社が積極的に学び直しを支援する環境があれば、仕事への意欲や愛着は高まりやすくなります。自身の可能性を引き出してくれる会社に留まり、社内で成長し続けたいと感じる社員が増えれば、結果的に離職率の低下につながるでしょう。

また、「最新のデジタルスキルを身につけられる」「キャリアアップにつながる研修が受けられる」といった点は、企業の採用面にも好影響を与えます。

④人的資本経営への対応として必須

昨今、人材への投資を通じて企業価値を高める経営手法の重要性が強調されており、企業は従業員のスキル向上や能力開発にこれまで以上に注力することが求められています。

人的資本経営とは、「人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営の在り方」を指します。経済産業省の「人材版伊藤レポート」では、人的資本経営の実践に向けて「人材戦略に求められる3つの視点・5つの共通要素」が示されており、その中でリスキリングは共通要素のひとつに明確に掲げられています。

人材戦略に求められる3つの視点・5つの共通要素

出典:経済産業省|人材版伊藤レポート

つまり企業におけるリスキリングは、単なるスキル教育ではなく、事業を成長領域へシフトさせ、新しい価値を生み出すための原動力となるのです。

以下の記事では、教育DXについて解説していますので、あわせてご覧ください。

【2025】教育DXとは?文部科学省の定義・メリットとデメリット・事例を解説

リスキリングを導入する際のポイント

リスキリングを成功させるためには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。闇雲に研修を実施するだけでは効果を上げにくいため、以下の観点を念頭に計画・運用することが大切です。

  1. 事業戦略との整合性があるか
  2. 研修内容がすぐに業務で使えるか
  3. 学習継続を支援できる仕組みがあるか

①事業戦略との整合性があるか

リスキリングのテーマや対象スキルを選定する際には、自社の事業戦略や将来像との整合性を最優先で検討しましょう。その時の流行りに乗って検討するのではなく、「そのスキルを身につけた人材が、自社のどの戦略目標の実現に貢献するのか」を明確にする必要があります。

例えば、今後3年間でデジタルサービスに事業転換したい企業であれば、AIやデータ分析のスキル習得を社員に促すことが戦略と合致するでしょう。リスキリングのテーマ設定は経営戦略から逆算し、優先度の高いスキルにフォーカスすることが重要です。

②研修内容がすぐに業務で使えるか

研修で学ぶ内容は、できるだけ早く日常業務で活用できる実践的なものであることが理想です。従業員は、学んだ知識が現実の仕事にどう役立つかが明確でないと意欲を保ちにくいものです。せっかく時間を割いて研修を受けても、内容が抽象的すぎたり現場とかけ離れていたりすると、「結局仕事では使えない」と感じられてしまい、定着しません。

そうならないよう、研修プログラム設計の段階で現場の課題やニーズを取り入れる工夫をしましょう。例えば、研修内で自社の具体的な業務プロセスを題材に演習を行ったり、研修直後から取り組むプロジェクト課題を与えたりすると、学んだスキルをすぐ自分の業務で試すことができます。

③学習継続を支援できる仕組みがあるか

一度研修を実施しただけで終わりにせず、社員が継続して学習に取り組めるような仕組みや環境を構築しましょう。案としては以下の内容が挙げられます。

  • 自主学習をフォローするオンラインラーニングツールの導入
  • 社内で勉強会・コミュニティを作って知見を共有し合う場を設ける

また、業務が忙しい中でも学習時間を確保できるよう、会社として時間的な支援やインセンティブを用意することも重要です。例えば、勤務時間内で「スキル習得休暇」の導入や、新たな資格取得やスキル修得を評価・報奨につなげる制度を設けるといった方法が考えられます。

リスキリングの導入5ステップ

リスキリングの導入5ステップ

では、実際に自社でリスキリングに取り組む場合、どのように進めていけばよいのでしょうか。効果的にリスキリングを導入するための5つのステップを順を追って解説します。

  1. 採用できないスキルを優先的に洗い出す
  2. 現場課題から逆算して学ぶテーマを設定する
  3. 短期成果と長期投資を分けて設計する
  4. 研修後の実務アサインを必ずセットにする
  5. 人事評価とリンクさせる

①採用できないスキルを優先的に洗い出す

まず最初に行うべきは、自社に不足しているスキルのうち外部からの採用では補いにくいものを洗い出すことです。リスキリングは社内人材の再活用策のため、「採用で即戦力人材を確保する」方が効率的なケースまで含めてしまうと、時間とコストをかけて社員を育成する意義が薄れてしまいます。

そこで、AIや高度ITスキルなど市場で人材獲得競争が激しく簡単には採用できないスキルや、社内にそのスキルを持つ人が皆無でゼロから育成する必要がある分野に優先的に焦点を当てましょう。

②現場課題から逆算して学ぶテーマを設定する

次に、リスキリングで社員に習得させる具体的な学習テーマを決めます。この際には、現場の課題から逆算して考えることがポイントです。「○○の知識を学ばせたい」という研修ありきの発想ではなく、「現場で今起きている問題を解決するにはどんなスキルが必要か」という視点からテーマを導き出しましょう。

例えば、「製造ラインの品質トラブルを減らしたい」という課題があるなら、データ解析スキルや機械学習の知識がテーマに浮上するかもしれません。現場の課題意識とリンクしたテーマ設定をすることで、研修内容と業務ニーズのミスマッチを防ぎ、研修後に具体的な成果が得られやすくなります。

③短期成果と長期投資を分けて設計する

リスキリングの計画を立てる際は、短期的に成果が見込める取り組みと、長期的な人材育成投資を分けて設計することも大切です。一度の研修やプロジェクトで全てを賄おうとせず、達成までの期間が異なる目標を二本柱で進めるイメージです。

まずは以下2つのテーマで切り分けて計画します。

  • 半年以内に成果を出したいテーマ
  • 習得に1年以上かかるが将来的に重要なテーマ

短期で成果が出そうなテーマは、研修後すぐに現場で効果を測定しやすく、経営層にもリスキリングの有用性を示しやすいでしょう。一方、長期投資のテーマは、短期では効果が見えにくいものの、取り組めば将来の競争力につながります。

④研修後の実務アサインを必ずセットにする

リスキリング研修を受けっぱなしにせず、研修後には学んだスキルを発揮できる実務の場を必ず用意するようにしましょう。せっかく新しい知識を習得しても、それを活かす機会がなければスキルは定着しません。最悪の場合、せっかく成長した社員が「この会社ではせっかくのスキルを活かせない」と感じて転職してしまうケースも。

そうならないよう、研修設計の段階から「研修後にどの部署・プロジェクトでこの人に新スキルを発揮してもらうか」を決めておきます。学んだことを現場で実践するプロセスまで完結させることで、初めてリスキリング施策は効果を発揮します。

⑤人事評価とリンクさせる

最後に、リスキリングの取り組みを人事評価制度と連動させることも忘れないようにしましょう。社員が新たなスキル取得に励んだ結果、その努力や成長が正当に評価・処遇に反映される仕組みを作るのです。

例えば、以下の施策が考えれらます。

  • 取得した資格や習得したスキルを昇進・昇給の要件に組み込む
  • 研修修了者を対象に新ポジションへの公募枠を設ける
  • 社内表彰制度で学習成果を称える

ポイントは、「スキルを身につけても評価されない」「学んでも見返りがない」という状況を作らないことです。

リスキリングでおすすめのセミナー

企業向けDX・AI人材育成研修サービス リスキリングを進めるにあたっては、社内研修のほかにも専門機関のセミナーや企業向け研修サービスを活用する方法があります。そこでおすすめなのが、「DX・AI人材育成研修サービス」です。

DX・AI人材育成研修サービスは、単なる座学ではなく、自社の実務課題を取り入れて研修内容を設計してくれるため、知識習得に留まらず現場での活用まで見据えたスキル習得が可能です。研修のゴールが明確なので、受講後すぐに業務改善やプロジェクト推進に成果を結びつけやすい点が魅力。

研修前のスキル診断から研修後の活用フォローまで一気通貫で支援してもらえるので、社内にノウハウがない場合でも安心です。

リスキリングについてのまとめ

リスキリングは、急速に変化するビジネス環境の中で企業と従業員が共に成長していくための戦略的な人材育成策です。「学び直し」によって社員一人ひとりの可能性を広げることは、DX推進やイノベーション創出の土台となり、組織全体の競争力を高めることにつながります。

本記事では、リスキリングの基本的な意味やリカレント教育との違いから、導入するメリット、成功のポイント、具体的なステップ、活用できる研修サービスまで幅広く解説しました。

重要なのは、単発の研修で終わらせず、継続的な学びの仕組みを築くことです。ぜひ今回紹介したポイントを参考に、自社の人材育成戦略にリスキリングを取り入れてみてください。

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