「生成AIを導入したものの、思ったような回答が得られない」そう感じる原因のほとんどは、AIの性能ではなく、プロンプトの質にあります。本記事では、ビジネスですぐに使える6つの実用テンプレートと、生成AIの精度を最大化する4つの書き方を解説します。
これらを活用すれば、作業時間を短縮しながら精度の高い成果物を得ることが可能です。生成AIを業務でフル活用したい方は、ぜひ参考にしてください。
生成AIにおけるプロンプトとは
生成AIにおけるプロンプトとは、AIに対して入力する指示出しや命令文のことです。生成AIに入力するプロンプトは、ユーザーがAIに対して、どのような成果物を求めているかを言語化し、実行させるための業務命令書にあたります。まずは、プロンプトを活用するうえで、前提となる以下の2つの基礎知識について解説します。
- プロンプトの種類
- プロンプトの重要性
プロンプトの基礎を把握することで、個人の業務効率化だけでなく、組織としての生成AI活用レベルを向上できます。
プロンプトの種類
生成AIに入力するプロンプトは、生成したい成果物の違いによって、主に以下の3種類に分類されます。
| 種類 | 概要・特徴 | 主な用途・生成AIツール |
| テキスト生成 | 文章・要約・翻訳を作成する |
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| 画像生成 | 言葉の指示から、画像やイラストを生成する |
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| コード生成 | プログラムコードを記述させ、開発を支援する |
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作成したい成果物に合わせて、適切な生成AIツールとプロンプトの種類を選ぶ必要があります。生成AIの種類やおすすめの生成AIについては、以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
プロンプトの重要性
業務活用において、生成AIに入力するプロンプトの品質は、回答の精度を決定づける最重要ファクターです。IT業界には、「Garbage in, Garbage out(ゴミを入れればゴミが出てくる)」という言葉がありますが、これは生成AIにも当てはまります。
指示が曖昧であれば、生成AIは平均的な回答しか返しません。逆に、論理的で明確なプロンプトを入力すれば、生成AIは専門家レベルの知見を提供してくれます。
生成AIの回答の質を高めるプロンプトの書き方

生成AIから精度の高い回答を引き出すためには、漫然と質問するのではなく、意図が伝わるようにプロンプトを構成する必要があります。具体的には、以下の4つの要素を盛り込むのが効果的です。
- 役割と目的を明確に定義する
- 制約条件を指定する
- 背景情報を与えて前提を共有する
- 記号を使って構造化して伝える
これらのポイントをおさえた指示だしを行うだけで、生成されるアウトプットの質が向上します。それぞれの要素について詳しく解説します。
役割と目的を明確に定義する
まず、生成AIに対して「誰の立場で」「何をするのか」という役割と目的を明確に指示します。生成AIは膨大なデータを持っていますが、立場を指定しないと「一般的で当たり障りのない回答」になりがちです。
例えば、「あなたはプロのWebマーケターです」や「新入社員向けの研修資料を作成してください」とプロンプトに明記することで、生成AIはその視点に立った専門的な回答を生成します。
制約条件を指定する
次に、生成AIに出力形式や量などの「守るべきルール」である、制約条件を指定します。単に「要約して」と頼むだけでは、長文で返ってきたり、難解な言葉が使われたりして、修正の手間が発生します。「300文字以内で」「箇条書きを使って」といった制約をプロンプトに加えることで、意図通りの形式で出力させることが可能です。
背景情報を与えて前提を共有する
指示の背景にある「前提条件」や「文脈」を生成AIと共有することも重要です。人間同士であれば「いつものあれ」で通じることも、生成AIには「なぜ、その作業が必要なのか」といった背景情報は伝わりません。
「この記事は30代の会社員向けです」といった情報をプロンプトに含めることで、生成AIは文脈を理解し、より的確な表現を選べるようになります。
記号を使って構造化して伝える
生成AIに複数の指示を出す際は、「#」や「■」などの記号を使い、内容を構造化して伝えましょう。長文でダラダラと指示を書くと、生成AIが重要なポイントを見落としたり、内容を混同したりする原因になります。
「#命令書」「#制約条件」のように、見出しをつけてプロンプトを区切ることで、生成AIは情報の構造を正しく理解し、処理の精度が高まります。
生成AIを実務で使う技術を身に付けるなら

ここまで紹介した4つの要素をおさえるだけでも、回答の精度は大きく向上しますが、実務でさらに複雑なタスクをこなすためには生成AIの特性をより深く理解し、意図を正確に伝える技術が必要です。以下は短期間で生成AI活用術の基本から、高度なスキルまで網羅的に学べる生成AIセミナーです。
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生成AIのプロンプト・悪い例と良い例の比較
ここでは、悪いプロンプト例と良いプロンプト例を生成AIに入力し、出力結果がどれほど変わるのか比較します。まずは、改善の余地があるプロンプト例から見ていきましょう。
悪いプロンプト例
こちらは、生成AIに目的や制約条件を伝えずに、単にしてほしいことだけを短文で投げかけたプロンプト例です。


指示が曖昧だと生成AIは文脈を理解できず、誰にでも当てはまる回答しか返しません。実務で使うには、ここからさらに人間がターゲットに合わせて書き直す必要があり、二度手間になります。
良いプロンプト例
次に、役割・制約・背景・構造化の4要素を盛り込んだ、理想的なプロンプトを生成AIに入力します。
あなたはプロのマーケターです
#背景:
Webマーケティングの知識がない新入社員に向けた研修資料を作成しています。彼らが興味を持てるよう、わかりやすく重要性を伝えたいです。
#制約:
・専門用語は使わず、中学生でもわかる言葉で説明する
・文字数は300文字程度
・重要なメリットは「箇条書き」で3点あげる
・親しみやすいポジティブなトーンで
#命令書:
上記の内容を踏まえて「Webマーケティングがなぜ、今のビジネスで重要なのか」を解説してください。

明確な指示出しを行うことで、生成AIは指示された役割の視点に立ち、ターゲットに合わせた言葉で回答します。修正の必要がなく、そのまま社内研修の資料や読み物などに活用できるレベルのアウトプットが得られます。
生成AIのプロンプト入力時の注意点

生成AIは業務を効率化する便利なツールですが、使い方を誤ると情報漏洩や権利侵害などのトラブルに発展するリスクがあります。生成AIにプロンプトを入力する際は、以下の3点に注意が必要です。
- 機密情報や個人情報は入力しない
- 著作権侵害のリスクがある指示を避ける
- 生成AIの回答をうのみにしない
それぞれ解説します。
機密情報や個人情報は入力しない
生成AIに入力するプロンプトには、企業や個人の特定につながる機密情報・個人情報を入力しないでください。一般的な無料版ツールでは、生成AIに入力されたプロンプトの内容は学習データとして利用され、他社への回答などを通じて情報が漏洩する恐れがあります。
顧客名や未公開の売上データなどを扱う際は、伏せ字にするか、ダミーデータに置き換えてから利用しましょう。
著作権侵害のリスクがある指示を避ける
特定の既存作品や、キャラクターに酷似したものを作成させるようなプロンプトを、生成AIに出すのは避けましょう。例えば、「〇〇(有名キャラクター)風のイラストを描いて」といったプロンプトを生成AIに入力すると、出力された成果物が著作権侵害に該当する可能性があります。
他者の権利を侵害しないよう、特定の固有名詞は使わず、オリジナルの表現や構成を指示してください。
生成AIの回答をうのみにしない
AIが生成した回答は、必ずファクトチェックを行ってください。生成AIは確率にもとづいて言葉をつなげているため、事実とは異なる嘘を出力することがあります。最終的な成果物の責任はユーザー自身にあるため、信頼できるソースで裏付けを取ってから業務に活用しましょう。
生成AIのプロンプトの例文・テンプレート集
一からプロンプトを考えるよりも、実績のある型を活用すれば、手間をかけずに生成AIから高品質な回答を得られる可能性が高まります。ここでは、ビジネスシーンで頻繁に使用される6つのパターンを紹介します。
- 【基本の型】深津式プロンプト
- 【推論の型】Chain of Thought(思考の連鎖)
- 文章・資料作成
- 要約・議事録・校正
- アイデア出し・企画立案
- プログラミングコード生成
ぜひ、これらのテンプレートを自社の業務に合わせて微調整し、業務効率化を実現してください。
【基本の型】深津式プロンプト
深津式プロンプトは、note株式会社の深津貴之氏が考案した、汎用的かつ強力なフレームワークです。この型の強みは、生成AIに対して「命令」と「制約」を明確に区別して認識させる点にあります。特に、複雑なタスクにおいてAIの誤解を防ぎ、精度を安定させる効果があります。
書き方のポイントは、「#命令書」「#制約条件」「#出力形式」のように記号で見出しをつけ、構造化することです。
あなたはプロの「役割」です。以下の「制約条件」と「入力文」をもとに、最高品質の「成果物」を作成してください。
#制約条件:
・文字数は「数字」文字程度
・「ターゲット」に向けたわかりやすい言葉で
・重要なポイントは箇条書きにする
#入力文:
「ここにAIに処理させたい情報を入力」
#出力形式:
「見出し」「本文」
この型に指示内容を当てはめるだけで、生成AIの回答の精度が向上し、修正の手間を最小限におさえられます。
【推論の型】Chain of Thought(思考の連鎖)
Chain of Thought(CoT)は、生成AIに段階的な思考を促すための手法です。数学的な計算や論理的思考が必要なタスクにおいて、生成AIがいきなり答えを出そうとして間違えるのを防ぐ強みがあります。書き方はシンプルで、指示の最後に「ステップバイステップで考えてください」と加えるだけです。
これにより、生成AIは推論の過程を言語化し、正答率が向上します。
以下の「課題」について、最適な解決策を導き出してください。
回答にあたっては、いきなり結論を出すのではなく、ステップバイステップで論理的に思考の過程を記述してください。
#課題:
「解決したい課題を入力」
プロンプトに一文加えるだけで、論理的な飛躍や計算ミスが減り、複雑な推論を必要とする回答の信頼性が高まります。
文章・資料作成
生成AIにメールの作成やブログ記事の執筆など、文章生成を依頼する際のプロンプトでは、トーン&マナーの指定が重要です。単に「書いて」と指示するのではなく、「誰が読むのか」「どのような感情を与えたいのか」などを指定することで、修正の手間が減ります。例えば、以下は取引先に送るメールの内容を生成させるプロンプトです。
取引先に送る「プロジェクト進捗報告」のメール文面を作成してください。
#条件:
・宛先:「相手の会社名・氏名」
・送信者:「自分の名前」
・トーン:礼儀正しいが、堅苦しすぎず信頼感のあるトーンで
・内容:「進捗状況の要点」を含める
上記のプロンプトを使えば、生成AIが相手や目的に合わせたトーンで文章を生成してくれるため、ゼロから本文を考える必要がなく、微調整だけで取引先に送信可能です。
要約・議事録・校正
生成AIに要約・議事録・校正を依頼するためのプロンプトは、新しい文章をゼロから作るのではなく、既存のテキストを正しく整理・修正することに特化しているのが特徴です。このタイプのプロンプトの強みは、膨大な資料の内容を損なうことなく、短時間で要点だけを抽出できる点にあります。
以下のように、生成AIが勝手な解釈を加えないよう、「事実のみを抽出する」「個人の感想を含めない」といった制約条件を厳格に指定します。
以下の「テキスト」を要約してください。
#制約条件:
・要点は箇条書きで3点にまとめる
・小学生でもわかる平易な言葉に言い換える
・個人的な感想や意見は含めない
#テキスト
「要約したい長文を入力」
このテンプレートを使えば、担当者が長い会議録や資料を読み込む時間を短縮でき、情報の見落としも防げます。
アイデア出し・企画立案
生成AIにアイデア出しや企画立案を依頼する際のプロンプトは、自分一人では思いつかない新しい切り口を発見することに特化しています。このタイプのプロンプトは、人間の思考バイアスを取り払い、網羅的に案を出せるのが強みです。
以下のように、「質より量を重視する」「実現可能性は一旦無視する」といった条件を加え、生成AIの創造性のリミッターを外してあげることがポイントです。
「商品・サービス」の新しい販売販促キャンペーンのアイデアを考えてください。
#条件
・アイデアを20個リストアップする
・実現可能性は一旦無視し、ユニークで意外性のある案を含める
・ターゲットは「20代女性」とする
上記のプロンプトを生成AIに投げれば、自分の思考の枠を超えた斬新なアイデアを短時間で大量に得られるため、ブレインストーミングの質が向上します。
プログラミングコード生成
生成AIにプログラミングコードの作成を依頼するプロンプトは、自分でコードを書くのではなく、「どのような処理をさせたいか」を伝えてAIに記述させるのが特徴です。このタイプのプロンプトの強みは、専門知識がなくても、Excelのマクロなどの業務効率化ツールを誰でも作成できる点にあります。
書き方のコツは、意図しない動作を防ぐため、「入力データ」と「処理の手順」を箇条書きで厳密に指示することです。
以下の処理を行うExcel VBA(マクロ)のコードを作成してください。
#要件:
・シート「Data」のA列にある空白セルを削除する
・B列の数値を昇順で並び替える
・処理完了後に「完了しました」とメッセージボックスを表示する
・コードには日本語でコメントを入れる
このプロンプトを活用すれば、非エンジニアでもルーチンワークを自動化するツールが作成でき、業務時間を短縮できます。
意図通りのコードを一発で生成する技術を学ぶなら
コード生成のような複雑な指示出しには、通常の文章作成以上に論理的なプロンプト構成力が求められます。しかし、AIの特性や原則さえ深く理解してしまえば、プログラミングの専門知識がなくても、実務で使えるツールを自由に作成できるようになります。
「コピペで終わらせず、あらゆる業務に応用できる本質的なスキル」を短期間で習得したい方は、基礎から応用まで網羅的に学べる以下の生成AIセミナーをチェックしてみてください。短期間で生成AIの知識が習得できると、人気のセミナーです。
生成AIのプロンプト作成を支援するツール
ゼロから自力で指示を考えるのが難しい場合は、プロンプト作成を支援する専用ツールの活用も有効です。主な支援ツールと手法を以下の表にまとめました。
| ツール・手法 | 特徴・強み | おすすめな方 |
| Prompt Perfect (自動最適化) |
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| PromptBase (マーケットプレイス) |
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実績のある型を導入したい |
| ChatGPT (逆プロンプト) |
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生成AIの活用では、まずは手軽なChatGPTでの逆プロンプトから試し、より高い精度が必要になった段階で、Prompt Perfectなどの専用ツールを検討するとスムーズです。
生成AIプロンプトについてまとめ
生成AIの成果を決めるのは、ツールの性能ではなく、プロンプトの質です。どれほど優秀な生成AIも、指示が曖昧では期待通りの働きができません。しかし、正しい型さえおさえれば、誰でも簡単に精度の高い回答を引き出し、修正の手間を省けます。
本記事のテンプレートを活用し、まずは一つの業務タスクで試してみてください。数分の工夫で生成AIの回答精度が大きく変わることを体感できるでしょう。