IT 【2025】スマート農業とは?補助金やメリット・デメリットをわかりやすく解説

【2026】スマート農業とは?普及しない理由・メリットデメリットをわかりやすく解説

インターネットやロボット、AIなどの最新テクノロジーを活用したスマート農業。近年は、人工衛星を使ってデータを収集・マッピングするなど、その手法も多様化しています。

この記事では、スマート農業について初心者向けにわかりやすく紹介し、メリット・デメリット、普及が進みにくい理由、日本での具体的な導入事例までまとめて解説します。現代農業を支える最新技術について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

スマート農業とは?

スマート農業とは?スマート農業とは、ITやAIなどの最新技術を使って、農業現場の課題を解決する取り組みのことです。

農林水産省は、スマート農業を以下のように定義しています。

ロボット技術やICT(情報通信技術)を活用して、超省力・高品質生産を実現する新たな農業を実現

引用:スマート農業:農林水産省

近年は、NTTグループが、ICTを活用した大規模なスマート農業を推進し、2025年10月2日には「忌避レーザー搭載ドローン」の導入を発表しました。これは、高病原性鳥インフルエンザ対策など、具体的な防疫ソリューションの実現を目指すものです。

参照:NTTグループの「農業」への取組み

スマート農業の進化を支えるAIエンジニア

「忌避レーザー搭載ドローン」のようなスマート農業の最先端技術を支えているのは、AI技術を実装できるAIエンジニアです。

AIエンジニア育成講座では、PythonによるAI実装をはじめ、センサーデータ解析、時系列データ分析といったスマート農業に必要な応用技術まで効率的に習得できます。

スマート農業の歴史と発展

日本の農業は、2000年以降、約20年間で従事者がほぼ半減し、加えて65歳以上が約7割を占めるなど、人手不足と高齢化が深刻です。こうした状況の中、作業負担を軽減できるスマート農業が注目されるようになりました。

スマート農業が広がり始めたのは、2000年代初頭です。同年、精密農業(Precision Farming)の考え方が日本に導入され、その後、以下のような流れで、急速に発展しました。

2013年

農林水産省が「スマート農業の実現に向けた研究会」を立ち上げ、ロボット技術やICTを活用した超省力・高品質農業の具体策を検討しました。

2018年

内閣府がSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の一環として、「次世代農林水産業創造技術」研究開発計画を策定しました。

2024年

「スマート農業技術活用促進法」が成立し、同年10月1日から施行されました。これは、認定を受けた農業従事者に対し、スマート農業の普及・導入を国がサポートする法律です。

参照:農林水産省「農業の持続的な発展 第2節」SIPスマート農業の実現に向けた研究会:農林水産省スマート農業技術活用促進法について:農林水産省

スマート農業の根幹である「ICT」については、以下の記事で詳しく解説しています。導入事例も多数紹介しているので、ICTについて具体的に知りたい方もぜひご一読ください。

【2025】ICTは何の略?教育・医療など身近な活用例・ITやIoT・ICとの違いも解説

スマート農業で使われる技術

スマート農業で使われる技術

ところで、現在のスマート農業では、どういった技術が使われているのでしょうか。

ここでは、スマート農業の最新技術を知るため、2025年11月に農林水産省が公表した「スマート農業をめぐる情勢について」で紹介されている技術を、3つのカテゴリに分けて解説します。

労働の省力化・軽減

まずは、農業の重労働や人手不足の課題を直接解決する「自動化技術」からお伝えします。

技術名 機能 効果
ロボットトラクター 有人・無人協調システムで耕耘作業 作業面積拡大、大規模化に貢献
自動操舵システム トラクターの直線走行を自動で制御 若手も熟練者並みの作業が可能
リモコン草刈機 リモコンで遠隔操作して圃場を除草 急斜面地の除草を容易に実現

データ収集・環境の「見える化」

続いて、センサーや衛星技術で圃場の情報をリアルタイムで収集・記録し、状況の把握を支援する技術を見ていきましょう。

技術名 機能 効果
収量センサー付きコンバイン 場所ごとの収量や水分量を自動測定 翌年の施肥計画に活用
水管理システム 圃場の水位や水温などを自動測定 スマホで手軽に状況確認
ドローン・人工衛星 上空から生育状況を把握・地図表示 施肥の適量化・収量増加

環境と経営の最適化

最後に、収集したデータに基づき、環境や経営を最適化する技術をお伝えします。

技術名 機能 効果
環境制御 ハウス内の温度やCO₂濃度等を自動制御 農産物の高品質化や収量の安定化
経営・生産管理 実績・コスト、収量予測等を記録・可視化 経営・栽培計画策定の最適化
家畜生体管理 健康状態、分娩兆候、体重などを一元管理 異常を早期察知し、生産性を安定

これら3つの技術は、それぞれ活用するのではなく、連携することで農業全体の高度化を促進していきます。

参照:農林水産省「スマート農業をめぐる情勢について」

スマート農業のメリット・デメリット

スマート農業のメリット・デメリット

続いて、スマート農業を導入するメリット・デメリットを見ていきましょう。

スマート農業を導入するメリット

スマート農業のメリットには、人手不足解消、品質安定などが挙げられます。

最新技術で人手不足を補える

スマート農業で使うセンサーやカメラは、作物の状態を自動で把握し、見回りや管理作業の負担を軽減します。加えて、運搬、草刈り、散布といった作業をロボットや自動機械が代行することで、人手不足の解消に大きく貢献します。

長期的なコスト削減につながる

スマート農業は導入時に費用がかかりますが、長期的な視点で見れば、人件費を大幅にカットできます。自動化による「人に頼らない農業」は、経営を安定させ、規模拡大を目指す上でも最適です。

単純作業を効率的にこなせる

自動運転機械や自動散布システムは、単純な作業を正確かつ効率的にこなします。また、センサーが最適な作業タイミングを見逃さず知らせてくれるため、作業ロスが減る点もメリットです。

データの活用で品質が安定する

スマート農業の導入により、温度、湿度、日射量などのデータに基づいた栽培管理が可能になります。これにより、熟練者の経験に左右されることなく品質を維持できるため、高齢化が進む現代における「技術伝承」という大きな課題を解決できます。

スマート農業を導入するデメリット

スマート農業のデメリットは、やはり導入に対する様々な障壁です。

導入コストが高い

スマート農業を実施するには、機械、システムの購入、および環境整備に高額な初期投資が必要です。長期的なメリットはあっても、短期的に経営を圧迫するデメリットが存在します。

技術が万能ではない

スマート農業で活用される自動化機器は、まだ発展途上の段階にあり、「完全」ではありません。人の判断が必要となる場面も残るため、「機器にすべて依存することはできない」という課題を抱えています。

知識がないと導入・活用できない

スマート農業の機器を導入する際、適切な機種選びには専門知識が必要です。導入後も、データ管理や操作、メンテナンスの学習が求められるため、多忙な農業現場にとって大きな負担となる可能性があります。

通信インフラがないと使えない

スマート農業は、通信環境が整っていない地域では、遠隔操作やデータ連携が安定しません。インフラ整備には追加コストがかかる上、停電や通信障害など、ネットワーク依存によるリスクも生じます。

規模の大きい農家が有利になりやすい

スマート農業で使う機器は高額で、必然的に資本力のある農家が中心となります。この状況は、効率化が進むほど大規模経営に有利な構造が強まり、小規模農家との間に格差が広がる懸念があります。

スマート農業が普及しない理由

スマート農業が普及しない理由

スマート農業が普及しない理由には、先に解説したデメリットを含め複数の要因があります。ここでは、2025年時点のスマート農業の普及率、および主な課題、そして現場ならではの課題と段階的に解説します。

スマート農業の普及率と主な課題

日本政策金融公庫「農業景況調査(令和7年1月調査)特別調査」スマート農業の導入状況については、日本政策金融公庫が2025年3月27日に発表した調査結果によると、全体で「導入済み」が44.9%でした。都府県の稲作では49.2%、酪農は43.2%と、まだ普及の余地があることがわかります。

同調査によると、スマート農業導入の課題として最も高い割合を占めたのが「初期投資費用が高い」(79.0%)、次いで「ランニングコストが高い」(34.7%)、「データの活用が難しい」(17.7%)でした。このことから、特に小規模農家や家族経営の場合、普及率はさらに下がると考えられます。

参照:日本政策金融公庫「農業景況調査(令和7年1月調査)特別調査」

現場で浮き彫りになる課題

導入率やコストの問題はすでに触れましたが、普及が進まない背景には、実際の農地や作業環境で直面する「現場ならではの壁」もあります。国や自治体の調査では、設備の性能だけでなく、農地の条件や地域の農業形態との相性など、細かな課題が明らかになっています。

ここでは、2020年度の関東地域の研究・普及連絡会議の報告を参考に、普及を妨げる具体的なポイントを見ていきましょう。

分類 課題
技術・機器 傾斜地や小区画など、特殊な農地での作業実績・データの不足
ドローン防除での農薬の飛散(ドリフト)対策、都市農業に適した体制構築
作業効率化の技術を、規模拡大や収益性に結びつけることの難しさ
経営・人材 スマート農業技術の習得、データ分析を活かせる人材育成に対する壁
リースやシェアリングなど、機器の共同利用の仕組みづくりの未整備
公的機関による、機器の導入コストや効果の公平な比較検証の不足
制度・インフラ ドローンの夜間飛行や自動運転トラクターの公道走行など、規制緩和の必要性
豚舎へのデジタル機器の設置・維持管理における防疫上の問題への対応
GPS基地局の整備が不十分なことによる、データ利用の制約
サポート 普及指導員の専門知識の習得と、JAと連携した相談・指導体制の強化
民間企業(ドローン、アプリ開発)との共同研究など、協力体制の確立

スマート農業で使える補助金

スマート農業で使える補助金

スマート農業の普及を妨げる要因の一つが導入コストの高さです。この課題解決の一環として、国や自治体は様々な補助金や融資制度を提供しています。ここでは、スマート農業で使える主な補助金をまとめてみました。

スタートアップへの総合的支援

この補助金は、農林水産・食品分野で技術開発や事業化を目指すスタートアップを、その成長フェーズに応じて支援する補助金です。

対象 スタートアップ等(原則設立15年以内)
支援内容 各研究フェーズ(シーズ創出〜試作品作成)の費用をサポート
補助金額
  • フェーズ0, 2:最大1,000万円/件(最大2年間)
  • フェーズ1:最大1,000万円/件(最大1年間)

農業支援サービス事業育成対策

この補助金は、農業支援サービス事業体の新規事業立ち上げを支援するものです。

対象 新規サービスを実施する事業者
支援内容 ニーズ調査、試行、専門人材育成などの費用
補助金額 上限1,500万円

強い農業づくり総合支援交付金

この補助金(交付金)は、農業支援サービス事業体による新規参入や、既存事業者による新しいサービス事業の提供を支援するものです。主に、農薬散布用ドローンのリース導入や取得にかかる費用を補助します。

対象 農業支援サービスを新たに実施する事業者
支援内容 農薬散布ドローンなど、農業用機械のリース導入・取得費用
補助金額 本体価格の1/2以内

雇用就農資金

この補助金は、49歳以下の新規就農者を正社員として雇用し、従業員に研修を行う事業所を支援するものです。

対象 49歳以下の新規就農者(就業期間4ヶ月~12ヶ月)を正社員雇用した事業者
要件 「働き方改革」実行計画の作成・従業員との共有
支援内容 農業技術等の実践的な研修に対する支援
補助金額 年間最大60万円(最長4年間)、特定要件(障がい者等)年間15万円加算

参照:農林水産省「農業支援サービス施策関連パンフレット」

日本でのスマート農業活用事例

最後に、日本でのスマート農業の活用事例をご紹介しましょう。

浅井農園

三重県の浅井農園は、もともと祖父が営んでいた植木農家をトマト農園として生まれ変わらせました。5代目社長が、バブル崩壊後に10分の1まで減少した収益を回復させるため、スマート農業に着目したミニトマト栽培で再起を図ったのです。

そして、オランダのセンサーやシステムを導入した経験を活かし、環境を「見える化」して人件費を20%以下に削減しました。その後、約3,000トンのミニトマトを生産する大手の農業法人へと成長し、現在はデンソーと共同開発中の収穫ロボットや自動搬送作業台車を導入しています。

参照:野菜・施設園芸|株式会社あさい農園

茨城県のリンゴ農園

茨城県のリンゴ農園は、除草作業の効率化と労働環境改善のため、ロボット草刈機を導入しました。このスマート農業機具は、1台で最大30aを自動で草刈りし、バッテリーが減ると自動で充電ステーションに戻る自立型ロボットです。

導入後は、10aあたりの年間除草作業時間を20時間から1時間へと大幅に削減しました。夏季の高温下や傾斜地での除草作業が不要となったことで、従業員の負担軽減に大きく貢献しています。

茨城県の繁殖和牛農場

茨城県の繁殖和牛農場では、子牛管理の省力化のため、哺乳ロボット(フォースターテクニク社製 CF-260)を導入しました。このロボットはミルクとお湯の混合、および個体ごとの給餌量を自動で計測・記録します。

導入の結果、手作業で1日2~3時間を要していた哺乳作業が不要になり、その労力を別の管理に充てられるようになりました。子牛の首に装着したセンサーにより、個体ごとの哺乳量を把握できるため、健康管理の精度も向上しています。

参照:​茨城県

スマート農業の未来を担うAIエンジニアを目指そう!

AIエンジニア育成講座浅井農園の事例が示すように、スマート農業の裏で重要な役割を担っているのは、データを解析して最適化するAIです。このAI技術を現場で実装し、データ分析や自動制御を可能にするAIエンジニアの需要が、スマート農業を活用する現場では急増しています。

AIエンジニア育成講座は、AIプログラミングの基礎からAIの精度を向上する応用的なプログラミングまで短期で効率的に習得できます。

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AIプログラミングの基本言語であり、セミナーでも学習するPythonについては以下の記事で解説しています。基本を分かりやすくお伝えしているので、プログラミング未経験という方もぜひご参照ください。

【2025】Pythonとは?学ぶメリットや資格・始め方を解説

スマート農業についてまとめ

スマート農業はAIやIoTなど最先端な技術で、未来の農業を築く役割を担っています。スマート農業の進化を加速させるのが、AIエンジニアの存在です。

AIエンジニアは高度な専門職であるため、まずは、基礎から学べるセミナーを活用し、無理なくスキルを段階的に身につけていきましょう。

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