AutoCADとは?特徴と価格・他CADとの違い

建築・土木分野をはじめ様々なモノづくりの現場で用いられているAutoCAD。しかし、「AutoCADの名前は聞いたことがあるけれど、具体的には良く分からない」という人もいるのではないでしょうか?そこでこの記事では、AutoCADの概要やAutoCADでできること、AutoCADのプランと価格、他の2DCADとの違いについて解説します。

AutoCADとは

AutoCAD(オートキャド)とは、コンピュータ上で動作する汎用CADソフトウェアです。CADとは、(Computer-Aided Design)の略称で、コンピュータを活用して構造物の図面作成をする機械のことをいいます。AutoCADは、2次元および3次元の図面作成に対応し、専用のコマンドやツールを使って精密な建物や製品の設計図、プロトタイプ、および技術図面などを作成することができます。

AutoCADを開発したのは、アメリカにあるオートデスク株式会社です。最初のバージョン(1.0)がリリースされたのは1982年で、以降、建築・土木現場を中心に活用されるようになりました。オートデスク株式会社は、1997年にアメリカの建築系のソフトウェア企業・Softdeskを買収し、その後CADプラットフォームに力を入れるようになりました。2016年には、従来永久ライセンスとして提供していたAutoCADのサービスを、期間を定めたサブスクリプション形式に変更しています。

AutoCADでできること

AutoCADでできることは、まず図形作成が挙げられます。作成できる図形は、直線、円、四角形などです。作成した図形は、寸法や位置を指定して正確に配置することもできます。さらに、図形の移動や回転、トリミング、伸縮、図形の結合および分割も可能です。また、作成した図面に寸法やテキスト注釈を追加することができます。その他には、図面内のオブジェクトをブロックとして保存し、再利用することも可能です。

AutoCADは様々なツールを搭載しています。ツールを活用すると、より多機能になるので非常に便利です。例えば、Architectureツールセットを使うと建築図面だけではなく設計図書も作成できます。建築設計に特化した機能を搭載したMechanicalツールセットを活用すると、パーツ一覧の生成や画層管理、部品表の作成なども行うことができます。

パネルのレイアウト、および回路図の設計、また電気制御システムのドキュメントを作る場合には、Electricalツールセットが便利です。Plant 3Dツールセットを使うと、多くの時間を要した回路図の作成やプラントのレイアウトもスピーディに実行できます。CADデータに地理情報がプラスしたMap 3Dツールセットは、プランニングや設計の際に活用されることが多いです。

AutoCADのプランと価格について

AutoCADは先述したようにサブスクリプション形式でサービスを提供しています。サブスクリプションのプランは、1カ月契約、1年契約、3年契約の3種類です。価格は、1カ月契約が8,800円、1年契約は71,500円、3年契約の場合は214,500円となっています。サービス購入後30日間であれば返金可能です。また、無償体験版もあるので、事前に操作方法や搭載している機能を確認した上で購入を決めることもできます。

購入方法は、まずAutoCADの公式ホームページにアクセスし、トップページに表示してある「AutoCAD を購入」の中から好きなプランを選択します。すると、カートに商品が追加されるので、決済に進んでください。これで購入が完了です。決済は、コンビニ決済、銀行振込、クレジット カード、PayPalから選択することができます。

AutoCADと他の2DCADとの違い

AutoCADは他の2DCADと比較して、汎用性の高さが異なります。2DCADは主に建築・土木業界で使われていますが、一方AutoCADは建築・土木業界はもちろん、機械や電気、アパレル、製造など幅広い業界で利用されています。

AutoCADと他の2DCADとの違いとしては、機能の豊富さも挙げられます。AutoCADは、図形作成や編集、レイヤー管理、寸法と注釈、ブロックと参照、3Dモデリングなど多彩な機能を搭載しているソフトです。一般的な2DCADソフトウェアよりも、多くのツールとオプションを提供しています。

AutoCADは他の2DCADよりも、カスタマイズ性と拡張性が高いことが特徴です。具体的には、ユーザーがAutoLISP や.NETなどのコマンドを用いてカスタマイズすれば、CADを自分のニーズに合わせて拡張することが可能となります。

AutoCADは、一般的な2DCADよりも互換性が高いソフトです。2DCADの場合は、独自のファイル形式を使用する場合が多いので、互換性の問題が発生することが少なくありません。しかし、AutoCADでは、他のソフトウェアと互換性が高いDWG(図面)ファイル形式を使用しています。互換性が高いファイルを使うことで、図面データの共有や相互運用性がスムーズに進みます。

AutoCADと他の2DCADとの違いとしては、メーカーのサポートが充実しているという点も挙げられます。AutoCADは、CAD業界トップの大手企業・オートデスク株式会社によって開発・サポートされているソフトウェアです。そのため、短期間でユーザーとコミュニケーションを取れるオンラインリソースやトレーニングなどのサポートが充実しています。また、AutoCAD自体が世界でトップシェアを誇るCADであるため、他の2DCADソフトウェアと比較してもサポート面の充実度が高いといえます。

AutoCADの基本知識・基本操作

今からは、AutoCADの基本知識および基本操作について簡単に解説します。「AutoCADを使ってみたいので、事前に簡単な学習をしておきたい」という人はぜひ参考にしてください。

AutoCADのファイル形式

AutoCADのファイル形式は、AutoCADの標準図面形式である「DWG」と、他のソフトウェアとの互換性が高い「DXF」があります。これらのファイルは、どちらもオートデスク株式会社が開発したベクター画像ファイルです。

ちなみに、新バージョンのAutoCADでDWGファイルを作った場合は注意が必要です。なぜなら、新バージョンのAutoCADで作成したDWGファイルは、古いAutoCADで編集・表示することができないためです。この場合は、あらかじめ古いバージョンでも使えるファイル形式に変換した上で保存しておかなくてはいけません。

AutoCADの基本操作

AutoCADの基本操作として、画面の拡大や縮小、画面移動について簡単に解説します。画面を縮小する場合は、マウスのスクロールボタンを手前に回してください。拡大する時には逆方向に回しましょう。画面移動する場合は、ズームを同時に使ってください。具体的には、移動したい中心部分の外側にカーソルを置き、マウスを使ってスクロールして拡大しましょう。すると、図面の中央に目的の領域が移動されます。

AutoCADでは、「コマンド」と呼ばれる機能を使うと、線を引く、複写する、長さを考えるなどの操作が行えます。ちなみに、コマンドを呼び出す方法は主に3パターンです。具体的には、AutoCADのメニューバーから呼び出す方法、AutoCADのホームタブにある「作成」パネルにあるアイコンから呼び出す方法、キーボードから呼び出す方法があります。

キーボードから呼び出す場合、まず描画エリアで「L」と入力してください。すると、「L」で始まるコマンドの一覧が表示されるので、その中から「LINE(線分)」を選択すればOKです。

また、メニューバーやリボンのアイコンからコマンドを呼び出す場合、マウスをアイコンの上に置くと、そのコマンドの使い方が表示されます。そのため、AutoCADの操作方法で迷った時には、まず不明点の部分にアイコンを置いてみるのもおすすめです。

互換性が高く多彩な機能を搭載したAutoCAD

AutoCADは様々なソフトウェアとの互換性が高く、かつ機能も豊富に搭載しているハイエンドな汎用性CADです。また、サポート体制も充実し、購入後は30日間返金対応もしているので、安心して利用することができます。ただし、AutoCADはサブスクリプション形式で販売しているので、事前にどの程度の期間利用するのかを考えておくと良いでしょう。