AutoCADでは、複数のオブジェクトをグループ化させて、まとめて選択することが可能です。
ただ、場合によっては、そのグループ化の解除ができないことがあります。
では、なぜグループ解除ができないのか、代表的な原因と対策について解説していきます。
AutoCADではグループ解除ができないことがある
AutoCADに備わっているグループ化は、複数のオブジェクトをまとめて選択できる機能です。
線や図形をグループ化しておけば、グループ化されているオブジェクトの一部だけを選択することで、他のオブジェクトもまとめて選択できます。
そのため、複数のオブジェクトをひとつひとつ選択する手間を省くことが可能です。
また、ひとつずつ選択する際に、必要なオブジェクトを選択し忘れたり、余計なオブジェクトを選択してしまったりすることを避けられるというメリットもあります。
基本的には、AutoCADのグループメニューを選択し、必要なオブジェクトを選んだ後、グループ名を付けるとグループ化が可能です。そして、複数のグループを作成して、使い分けるというテクニックもあります。
ただ、グループ化は常に必要というわけではありません。オブジェクトを個別に動かしたり削除したりしたい場合、グループを解除する必要があります。
AutoCADのグループを解除する基本的な方法
AutoCADのグループを解除するためには、解除したいオブジェクトを選択して、右クリックをして、グループ解除を選ぶ方法が最も手軽です。
ただ、AutoCADに元から備わっている機能や使い方次第で、その方法でグループ解除ができないかもしれません。
そうすると、必要なオブジェクトまで選択してしまい、思った通りの操作ができない恐れがあります。その場合は、原因に応じた対策をしなければなりません。
AutoCADでグループ解除ができない代表的な原因
AutoCADでグループ解除ができない代表的な原因は以下の3つの通りです。
- 多重グループ化してしまっている
- 異なるグループをまとめて解除しようとしている
- グループ化とブロック化を混同してしまっている場合もある
詳しく解説していきます。
原因①多重グループ化してしまっている
AutoCADでグループ解除ができない原因として非常に多いのは、多重グループ化してしまっていることです。
AutoCADのグループ化機能では、ひとつのオブジェクトだけではなく、すでにグループ化されているオブジェクトのまとまりを、さらに別のグループに組み込むこともできます。
そのような多重グループ化をすると、通常の手軽な方法ではグループの解除ができません。
通常の方法だと、右クリックをして出てきたメニューから、グループの解除を選択することができます。
けれど、多重グループ化していると、メニューのグループ解除がグレーアウトしてしまい、選択が不可能です。
原因②異なるグループをまとめて解除しようとしている
グループ化を多用する人は、効率化のために複数のグループをまとめて解除しようとすることがあるかもしれません。
ただ、AutoCADには、複数のグループ解除という機能は備わっていないです。
そのことを知らなければ、ひとつのグループを選んで解除できる場合と、複数のグループ解除を試みようとしてできない場合に分かれ、原因が理解できずに悩んでしまうかもしれません。
原因③グループ化とブロック化を混同してしまっている場合もある
AutoCADには、グループ化と似ている、ブロック化という機能が備わっています。
グループ化と同様に、複数のオブジェクトをまとめて選択できるようになる機能です。
ブロック化機能は、同一のブロックの修正が他のブロックに反映される点が、グループ化とは異なります。
また、解除するための方法も、グループ化とは違うので注意が必要です。
グループ化とブロック化は非常に似ているため、グループ化のつもりでブロック化をしてしまい、グループ化の方法では解除ができなくなっている可能性があります。
ブロック化の解除方法こちらの記事にて紹介しております。
AutoCADでグループ解除ができない場合の対策
ここで、AutoCADでグループ解除ができない場合の対策を解説します。
まずはメニューからグループ解除を試みる
AutoCADでグループ解除ができない場合、まずはメニューバーからツールを選択し、グループ解除を選びましょう。
右クリックではグレーアウトしてしまっている場合でも、ツールバーのグループ解除は選択できる可能性があります。
また、リボンメニューのホームタブからグループを選択し、そこにあるグループ解除を選ぶという方法も試してみましょう。
多重グループ化されていて、通常の手順では解除できない場合でも、解除できる可能性があります。
グループ解除コマンドを使用
AutoCADには、キーボードでコマンドを入力できる機能が備わっています。
そして、グループ解除用のコマンドもあるため、メニューから解除する対策方法が効かなかった場合はそちらを試してみましょう。
- まずはコマンドラインにUNGROUPと入力します。
- その後に解除したいグループを選ぶと、解除されるはずです。
AutoCADには、多重グループ化されているオブジェクトをまとめて解除する機能はありません。
そのため、多重グループ化をコマンドで解除する際には、UNGROUPコマンドの入力とグループの選択を繰り返し行いましょう。
コピーで自動解除される機能を活用する
AutoCADのグループ化は、クリップボードにコピーすると自動で解除されてしまうという機能になっています。場合によってはデメリットになってしまう機能ですが、グループ化を解除したいときには有効です。
他の方法でグループ化の解除ができなければ、グループをコピー&ペーストしましょう。そうすると、グループ化されていない複数のオブジェクトができあがります。
この方法は複数のグループに対しても有効であるため、まとめてグループ解除したい場合にも活用すると良いでしょう。
ただ、COPYコマンドを使用した場合、グループ化は維持されてしまうので、解除したい時にはコマンドを使用しないよう注意が必要です。
ブロック化されていることを疑ってブロック解除コマンドを使用
グループとブロックの違いをよく理解できていない場合、グループ化のつもりでブロック化をしてしまうかもしれません。
そうすると、グループ解除の方法では解除できないので、ブロック解除の方法を試してみましょう。
効果的な方法としては、EXPLODEコマンドの使用が挙げられます。UNGROUPコマンドと同様に、コマンドラインに入力した後、オブジェクトの集まりを選択します。
もし、誤ってブロック化されているのであれば、それで解除されるはずです。その後で、必要であれば改めてグループ化すると良いでしょう。
AutoCADのグループ機能は知っているが、グループ機能に「追加/除外」と、「グループのオン/オフ」 の機能はあることを知らない人が多いかもしれません。AutoCADのグループ機能に詳しくなると作業効率を上がります。以下の動画で詳しく紹介しておりますのでご参照ください。
AutoCADでグループを作成するときの注意点
ここからは、AutoCADでグループを作成するときの注意点について詳しく解説します。
ブロックと混同しないように
AutoCADのグループとブロックは、複数オブジェクトをまとめられる点が共通しているため、混同されやすいです。ただ、ブロック同士は修正が変更されるという、とても大きな違いがあります。
同様のオブジェクトの集まりを複数用意して、その内ひとつだけを変更したい場合もあるでしょう。
その際にグループ化ではなくブロック化してしまっていると、対象となる同じ形のオブジェクトの集まりが、全て変更されてしまいます。
そのようなことにならないよう、個別に変更するつもりであれば、必ずグループを選択するようにしましょう。
こちらの記事ではAutoCADのコマンドやショートカットキーを紹介しております。「AutoCADユーザーが知るべき中級コマンド6選」の中の「図面に関する中級コマンド」内にグループ化するコマンドが出てきますので興味のある方はご参照くださいませ。
大量のグループを作成する場合は名前を付ける
AutoCADでは、グループに名前を付ける機能が備わっています。ただ、名前は必須というわけではなく、特に設定をしなくても自動で番号が割り振られます。
しかし、大量のグループを作成する場合、どのようなグループがあるのかを把握するために、名前付けはした方が良いです。
大量のグループがあると、同様のグループを新しく作ってしまうリスクが高くなります。その結果、グループ解除の作業が大変になりかねません。
それを防ぐために、どういった目的のグループであるのか、名前で把握できることが望ましいです。
複製する際に自動解除されるされる点にも注意
AutoCADで作成したグループは、コピーすることで自動解除されます。グループ解除に活用できる機能ですが、同様のグループを新しく作成する際にはネックになってしまいます。
もし、コピーによって、グループ化されたままのオブジェクトの集まりを新しく作成したいのであれば、COPYコマンドを使用するようにしましょう。
コピー&ペースト機能を使う場合は、改めてグループ化が必要です。
AutoCADの正しい方法を用いてグループ解除
AutoCADを使用する上で、グループ解除できないという問題はよく起こります。そして、AutoCADに何かトラブルが発生したのではないか、疑いを持つ人も少なくありません。
ただ、大抵の場合は使い方に原因があるので、正しい方法を用いれば問題なく解除ができます。そのために、原因に応じた正しいグループ解除の方法を知っておきましょう。
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