3DCGにおいてガラスの表現は花形とも言える存在です。
しかし、処理が複雑そうでいままで手を出していなかったという人も居るかもしれません。
Blenderにおいて、ガラス表現は簡単にできます。
この記事では、Blenderを使ってガラスの表現を基礎から詳しく解説します。
BlenderでプリンシプルBSDFやグラスBSDFを使う方法、環境設定、モデリング、ライティング、レンダリングに関する手順を具体的な例と共に紹介。これにより、Blenderを使ってリアルなガラスの表現の基礎知識をマスターできます。
Blenderにおけるガラスの表現方法について
ガラスは3DアニメーションやCG作品において重要な要素であり、リアルなガラスの表現が求められます。
ガラスは特殊な素材で、光の屈折と反射を適切に表現することが必要です。
これにより、ガラスの透明感や反射の特性を再現し、周囲の景色を歪ませる効果を与えることができます。
Blenderには、プリンシプルBSDFやグラスBSDFなどの機能が備わっており、これら使って、ガラスをリアルに再現する方法があります。
以下では、BlenderのプリンシプルBSDFとグラスBSDF機能を使ったガラスの表現方法をご紹介します。
Blender初心者の方は以下の記事にてBlenderの学習方法やおすすめ動画を紹介しておりますので、ご参照くださいませ。
プリンシプルBSDFを使ったガラスの作成
BlenderのプリンシプルBSDF機能を使って、以下の手順でリアルなガラスの表現を実現できます。ここでは、手順をひとつづつ解説していきます。
- プリンシプルBSDFの利用
- グラスBSDFの活用
- 環境の設定
- モデリングとライト
- レンダリング設定
プリンシプルBSDFの利用
Blenderの最新バージョンでは、プリンシプルBSDFと呼ばれる高度なシェーディングモデルが導入されています。
これを使用すると、シンプルな設定だけでリアルなガラスの表現が可能です。
プリンシプルBSDFを選択し、透明度を設定、必要に応じてIOR(屈折率)を調整します。
グラスBSDFの活用
Blenderには、ガラス専用のBSDF(バッセルシェーディング関数)であるグラスBSDFも用意されています。
これによりガラスの屈折と反射をよりリアルにシミュレートできます。
グラスBSDFを利用することで、光の入射角によるガラスの見た目の変化や独特の輝きを再現することができます。
環境の設定
ガラスは周囲の環境によって見え方が大きく変わる素材です。
そのため、リアルなガラスの表現には適切な環境の設定が重要となります。
HDRI(High Dynamic Range Image)などを用いて、背景や照明を自然なものに設定することで、ガラスがシーンに馴染むようになります。
モデリングとライト
ガラスの表現には、モデリングとライティングの面でも注意が必要です。
適切な形状のモデルを作成し、ライトを配置してガラスに適切な光の反射や屈折をもたらすようにします。
レンダリング設定
レンダリング時の設定もガラスの質感に影響を与えます。
レイトレーシングやサンプリングの設定を調整して、ガラスの質感をよりリアルに描写しましょう。
BlenderのグラスBSDFを使ったガラスの作成
BlenderのグラスBSDF機能は、より高度なガラスの表現に使用されるシェーダーです。
グラスBSDFを使ったリアルなガラスの作成方法を以下の手順で解説します。
- BlenderのグラスBSDF機能とは
- Blenderで新しいマテリアルの作成
- グラスBSDFの選択
- パラメータの調整
- 環境と影の設定
- プレビューレンダーの実行
BlenderのグラスBSDF機能とは
BlenderのグラスBSDFは、リアルなガラスの外観を実現するためのシェーダーです。このシェーダーを使用することで、透明で光を屈折し、反射するガラスの表現を行うことができます。
Blenderで新しいマテリアルの作成
- オブジェクトを選択します。
- プロパティエディターの「マテリアル」タブに移動します。
- 「新しいマテリアル」ボタンをクリックして、新しいマテリアルを作成します。
グラスBSDFの選択
- シェーダーエディターに移動します。
- 「Shader」ノードを追加します。
- タイプを「Glass BSDF」に設定します。
右側から選択して設定することも可能です。
パラメータの調整
パラメーターは画面右のマテリアル設定、もしくはシェーダー画面で設定可能です。
無い場合は、「マテリアルの作成」が行われているか確認しましょう。
- 「IOR (Index of Refraction)」の値を設定します。一般的なガラスのIOR値は1.45です。
- 「Roughness」の値を調整して表面の滑らかさを設定します。0に近い値で滑らかなガラスを表現します。
- 「Transmission」の値を設定して透明度を調整します。0に近い値で不透明なガラスになります。
- 「Color」を設定してガラスの色を決定します。
環境と影の設定
- 環境の設定や背景、照明の配置に注意して、ガラスの反射や屈折に影響を与えます。
- 影の設定を適切に行い、他のオブジェクトによる影がガラスに影響を与えるようにします。
プレビューレンダーの実行
-
- シーンをプレビューレンダリングして、ガラスの表現を確認します。
- 調整が必要なら、パラメータを微調整してリアルなガラスの外観を実現します。
この手順に従って、Blenderでガラスの表現を実践できます。初心者の方も段階を追って進めることで、リアルなガラスの表現を手に入れることができるでしょう。
環境や影の設定を忘れずに行い、Blenderを使って魅力的なガラスの表現を目指しましょう。
Blenderでガラスの表現の応用
この記事を見ている人の中には、よりリアルで美しいガラス表現を学びたい人も居るのではないでしょうか。
この章では、Blenderで型ガラスのような表現や水滴、透かしを使った表現を出す方法などを解説していきます。
Blenderで型ガラスのようなデコボコをつける方法
Blenderで型ガラスのようなデコボコを表現する方法は、ディスプレイスメントマップを使用します。ディスプレイスメントマップは、オブジェクトの表面を変形させるテクニックです。
- Blender(3Dモデリングソフトウェア)を起動し、でこぼこのエフェクトを追加したいオブジェクトを選択します。
- プロパティペイン(右側のメニュー)で、モディファイアタブ(モンキーアイコン)を選択します。
- 「Add Modifier」ボタン(三角アイコンの中に+)をクリックし、メニューから「Displace」を選択します。
- 「Texture」を選択し、新しいテクスチャを作成します。テクスチャの種類は、でこぼこのパターンを表す画像やプロシージャルテクスチャを使用します。
ボリュームの吸収ノードを利用したリアルな表現ボリューム
吸収ノードを使用することで、ガラス内部の光の吸収を表現します。
- ガラスのマテリアルを選択します。
- シェーダーエディターに移動し、「Volume Absorption」ノードを追加します。
- 「Color」ノードを追加して、ガラスの色と吸収の強さを設定します。
- ガラスの密度に応じて「Density」を調整します。
これらの応用方法を利用することで、ガラスの表現をさらにリッチに、リアルにすることができます。
各手順は独立して行えるため、自分の作品に合わせて応用することで、Blenderを使って魅力的なガラスの表現を実現できるでしょう。
初心者の方も、一つずつ丁寧に試してみてください。
下記動画では、Blenderを使ってガラス感を再現した初心者向けのカクテルグラスモデリング方法を紹介しております。ご参考にしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=zTinLeXGonI
Blenderのガラス表現で上手くいかない時の解決方法
Blenderのガラスの表現で上手くいかない場合によくあるトラブルとその解決策を以下に紹介します。真っ黒になったり、透過や反射に問題が生じたりする場合には、以下の対処法を試してみてください。
真っ黒になる場合
- 環境光の設定を確認する
Blenderのユーザーインターフェース(UI)上部にあるタブで、「World」タブを選択します。
「Color」をクリックして、背景の色や環境光の色を調整します。真っ黒な場合は、環境光がオフになっている可能性があるため、明るい色に設定してください。 - ライトソースを追加して調整する
レンダリングに影響を与えるライトソースを追加します。
「Shift + A」キーを押して、メニューから「Light」を選択して、好みのライトタイプを追加します(例:ポイントライト、スポットライト、サンライトなど)。
ライトソースを選択して、3Dビューポート上で位置や向きを調整します。水滴がついたガラスに照明が当たるように配置してください。 - レンダリング設定の調整
「Output Properties」タブに移動し、画像の解像度やファイル形式などの設定を行います。
「Render Properties」タブに移動し、レンダリングの詳細設定を行います。例えば、サンプル数の増減などが画像のクオリティに影響を与えます。
透過がうまく表現されない場合
透過が上手く表現されない。オブジェクトが不透明になってしまう場合は、ガラスのマテリアルに「Transmission」ノードを追加し、透過率を調整します。0に近い値で透明度を設定します。
「Screen Space Reflections」を有効にすることで、反射と透過の相互作用を改善することがあります。
反射がうまく表現されない場合
ガラスのマテリアルに「Glossy BSDF」を追加し、反射を強化します。
環境の照明や背景を調整して、オブジェクトが適切に反射するようにします。
ガラスが影を適切に投影しない場合
ガラスオブジェクトの「マテリアル」タブに移動し、「Settings」セクションで「Shadow Mode」を変更します。一般的には「Alpha Hashed」または「Alpha Blend」が影の扱いに適しています。
影の解像度を調整して、より滑らかな影を得ることができます。
ボリュームの設定による問題
ボリュームの密度と色の設定を調整して、よりリアルなボリュームを得ることができます。
ボリュームの「Scatter」や「Absorption」の値を微調整して、より自然な表現を行います。
これらの解決策を試しても問題が解消しない場合には、オブジェクトやマテリアルの設定を再確認し、他の要因が影響していないかを確認してください。
Blenderでガラス表現をマスターしよう
Blenderを使ったガラスの表現について、プリンシプルBSDFと、グラスBSDFの2つの方法を解説しました。
Blenderでガラスの表現を作品に適応することで、作品のクオリティはより向上するでしょう。
これらのBlender知識を活用して、よりリアルなガラスの表現を楽しんでください。
Blenderの知識をより深めたい方には講座を受講することもおすすめいたします。
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