エクセルでのマクロの使い方!作成方法・基本的なコード・エラー対処法

表計算ソフトとしてさまざまな場面で使われているエクセルには、マクロ機能と呼ばれる機能があります。この機能を上手に使いこなせば、ルーティーンワークの自動化が可能になります。
今回は、マクロ機能とはどのようなものか、どのように活用すればよいのか、詳しく解説します。

マクロ機能とは

エクセルにおけるマクロ機能とは、複数の操作内容を記録することで自動的に処理を行える機能です。VBA(Visual Basic for Applications)と呼ばれるプログラミング言語を使用して作成します。

マクロ機能は操作内容の記録と実行という2つの操作で成り立っています。そのため、特定のデータの整形や計算、レポートの生成といった作業を簡略化することが可能です。
定型的な作業の負荷を軽減するのに役立つため、例えば、従業員の給与算出や売上の合算、入金額と明細との突き合わせ、伝票や請求書の印刷といった事務作業を手作業で行っている人は、マクロ機能の活用を検討するとよいでしょう。

どのようにしてマクロを作成すればいいのか

エクセルでマクロを作成する手順は以下の通りです。

1.デベロッパータブを表示

エクセルのリボンメニューから「ファイル」→「オプション」→「リボンのユーザー設定」を選択し、「開発ツール」にチェックを入れてデベロッパータブを表示します。

2.Visual Basicエディタを開く

デベロッパータブから「Visual Basic」をクリックし、VBAエディタを開きましょう。

3.新しいモジュールを挿入

VBAエディタ内で、挿入したいモジュールがある場所を選択し、「挿入」→「モジュール」を選択して新しいモジュールを挿入します。

4.VBAコードの記述

モジュール内にVBAコードを記述します。このコードが実際のマクロの処理内容です。例えば、セルの操作やデータの計算などを記述します。

5.マクロ名の付与

作成したマクロを識別するため、サブルーチン(Sub)の名前を付けましょう。例えば、「Sub MyMacro」といった具合です。

6.コードの記述と編集

マクロの本体となるVBAコードを記述します。記述したコードを編集する際には、VBAの文法や関数を使用します。

7.マクロの保存

マクロを作成したら、VBAエディタを閉じてエクセルに戻りましょう。エクセルのメニューから「ファイル」→「名前を付けて保存」を選択し、ファイルの保存先や名前を指定して保存します。

8.ショートカットキーの割り当て(任意)

ショートカットキーを割り当てたい場合は、デベロッパータブから「マクロの選択」を選び、該当するマクロにショートカットキーを設定します。

マクロ機能で使用する基本的なVBAコード

プログラミング言語であるVBAは、いくつかの基本的な要素を組み合わせることで複雑なマクロを作成できます。エクセル内の作業を効率的に自動化するには、具体的なタスクに合わせてコードをカスタマイズすることが大切です。
ここからは、さまざまなコードのなかでも特に基本的なものをいくつか紹介します。

セルに値を代入する場合

セルに値を代入するための基本的なVBAコードは以下の通りです。
この例では、セルB2に文字列 “Hello, Excel VBA!” を代入しています。

Sub SetValueToCell()
‘ セルB2に値を代入
Range(“B2”).Value = “Hello, Excel VBA!”
End Sub

このコードでは、Range(“B2”) でセルB2を指定し、そのセルの Value プロパティに値を代入しています。セルのアドレスは必要に応じて変更してください。また、代入する値も適宜変更してください。

計算を行う場合

計算を行うための基本的なVBAコードの例は次のとおりです。
この例では、セルA1とA2の値を足して、その結果をセルB1に表示しています。

Sub PerformCalculation()
‘ セルA1とA2の値を足してセルB1に結果を表示
Range(“B1”).Value = Range(“A1”).Value + Range(“A2”).Value
End Sub

このコードは、Range(“A1”).Value でセルA1の値を取得し、同様に Range(“A2”).Value でセルA2の値を取得して、それらの値を足す、というものです。
計算結果は Range(“B1”).Value に代入されてセルB1に表示されます。
この例は単純な足し算ですが、演算子や関数を使えば足し算以外のさまざまな計算を行うことも可能です。必要に応じてコードを変更し、目的に合った計算を実行しましょう。

条件分岐を行う場合

条件分岐を行うための基本的なVBAコードの例は次のとおりです。
この例では、セルA1の値が10より大きいかどうかを判定し、結果に応じてメッセージボックスを表示しています。

Sub ConditionalStatement()
Dim value As Integer
value = Range(“A1”).Value

If value > 10 Then
MsgBox “値は10より大きいです”
Else
MsgBox “値は10以下です”
End If
End Sub

このコードでは、まずvalueという変数にセルA1の値を代入し、その後If構文を使用して条件を判定しています。
もしもvalueが10よりも大きければ、”値は10より大きいです” というメッセージボックスが表示されるわけです。
そうでない場合は、”値は10以下です” というメッセージボックスが表示されます。

条件分岐はプログラムの中で特定の条件に基づいて処理を分岐させる際に使用されます。
条件式や表示するメッセージなどを適宜変更して、目的に合った条件分岐のコードを作成しましょう。

ループ処理を行う場合

ループ処理を行うための基本的なVBAコードの例を示します。
この例では、1から5までの数字を順番にセルA1からA5に代入しています。

Sub LoopExample()
Dim i As Integer

For i = 1 To 5
Range(“A” & i).Value = i
Next i
End Sub

このコードのポイントは、Forループを使用して変数iを1から5まで変化させながらループを実行していることです。各ループ内で変数iの値をセルA1からA5に順番に代入しています。

この処理は、同じ操作を複数回繰り返すために使用されます。ループの条件や処理内容は目的に合わせて変更することが可能です。
例えば、ファイル内のデータを一つずつ処理する場合や、一定回数の操作を行う場合などに利用されます。

マクロを活用することで効率化される作業とは

それでは、マクロを活用して効率的な作業方法を実現するにはどうすればよいのか、いくつか具体例を紹介します。

データ整形とレポート生成の自動化

頻繁に行うデータの整形やレポートの生成をマクロで自動化できます。
データを取得したら必要な処理をVBAコードで行い、最終的なレポートを自動的に生成するように設定しましょう。

繰り返しタスクの省略

毎回同じ手順を踏むような繰り返しタスクをマクロで自動化すれば、時間と手間を節約できます。
例えば、特定のシートのデータをコピーして別のシートに貼り付けるなどの作業です。

大量のデータの処理

大量のデータを処理する際には、マクロを使用してデータの操作や変換を効率的に行いましょう。
例えば、複数のファイルからデータを収集し、集計して結果を得る場合などです。

カスタム関数の作成

マクロ機能を活用カスタム関数を作成すれば、エクセルの関数と同様に使用できる独自の関数を作成できます。
これにより、特定の計算や処理を簡単に実行できます。

ワークフローの自動化

複数のタスクや処理を組み合わせて特定のワークフローを自動化することが可能です。
例えば、特定の条件を満たすと複数の処理が連続して実行されるようなシナリオを作成しておけば、自動的にそのワークフローが実行されます。

エラーチェックと修正

マクロを使用すれば、データのエラーチェックや修正を自動的に行えます。
例えば、特定の条件を満たすデータのみを抽出して確認し、問題があれば修正する、といったことなどが可能です。

マクロ使用時に起こりがちなエラーとその対処方法

エクセルのマクロを使用する際には、さまざまなエラーが発生する可能性があります。
ここからは、一般的なエラーとその対処方法をいくつか解説します。

実行時エラー

実行時エラーは、マクロを実行中に発生するエラーです。エラーメッセージにはエラーの番号や説明が表示されます。エラーの種類によって対処方法が異なります。エラーメッセージを読んで問題の原因を特定し、それに基づいてコードを修正しましょう。

オブジェクトが存在しないエラー

特定のセルや範囲、シートなどが存在しない場合に発生するエラーです。確認するべきは、操作しようとしているオブジェクトが正確に指定されているかどうかです。存在しない場合は、正しいオブジェクトを指定するか、必要な場合は新たに作成する必要があります。

変数が未定義のエラー

変数を使用する前に宣言がされていない場合、このエラーが発生します。変数宣言を忘れずに行うか、必要な場合は宣言を追加しましょう。

構文エラー

コードが正しい構文に従わない場合に発生するエラーです。括弧の対応や演算子の使い方などを確認し、正しい構文に修正しましょう。

範囲外参照エラー

マクロ内で範囲外のセルや行列にアクセスしようとすると、このエラーが発生します。範囲を正しく指定し、存在する範囲内の操作を行いましょう。

ファイルが開かれているエラー

マクロでファイルを操作しようとする際、そのファイルが既に開かれているとこのエラーが発生します。ファイルを閉じてから再度実行するか、マクロ内でファイルを開いている場合は適切に閉じるように処理を追加しましょう。

エクセルのマクロ機能を使いこなそう!

エクセルのマクロ機能を活用すれば、繰り返し行う作業や煩雑な計算などを自動化できます。そうすることで負荷が軽減されるだけでなく、ミスを予防することもできます。
日々の作業でエクセルを活用している人は、このマクロ機能を使いこなせるようになりましょう。

 

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