エクセルを使って、色々なファイルを作成する人は多いでしょう。中には、誰かに見られたり編集されたりすると困るものもあるはずです。
そのような場合は、エクセルファイルにパスワードを設定するようにしましょう。エクセルの機能を使えば、簡単にパスワードをかけて、限られた人にだけ権限を与えることができます。
それでは、どのようにしてエクセルファイルにパスワードを設定すれば良いのか、詳しく確認していきましょう。
エクセルでパスワード設定が必要になる場面とは
まずは、エクセルファイルのパスワード設定が必要になる代表的な例をいくつか確認しましょう。
エクセルのパスワードは大きく分けると4種類ある
エクセルファイルを開くことを制限したいのであれば読み取りパスワード、開いたファイルの編集に制限をかける場合は書き込みパスワードを使用します。
また、シートのパスワードを使用すれば、特定のシートのみ編集可能にできます。
そして、エクセル内ブックの構成や表示を固定する機能があるのは、ブックのパスワードです。
それぞれ性質が異なるので、状況に応じて使い分けることが大切です。
重要な情報が含まれたファイルを誰かと共有する場合
エクセルで作成したファイルは、メール添付やフラッシュメモリでの受け渡しなどで、誰かと共有することもあるでしょう。
その中に、ビジネスの機密情報や、誰かのプライバシーに関わる情報が含まれている場合、読み取りパスワードが必要です。
メールを誤送付したり、フラッシュメモリを紛失したりしても、パスワードがなければエクセルファイルが開かれることはありません。
作成したエクセルファイルを広く配布する時
ビジネスに関する機密ではない情報や、趣味で集めたデータなどをエクセルファイルでまとめて、配布することは珍しくありません。そのようなデータが、悪意のある第三者に改ざんされてしまった場合、情報の信頼性が損なわれてしまいます。
それを防ぐために、書き込みパスワードが役に立ちます。自身だけがパスワードを知っている状況であれば、改ざんされてしまうリスクは大幅に下がるでしょう。
また、配布したエクセルファイルの一部だけを見られたくない場合は、シートを非表示にした状態で、ブックのパスワードを設定すると良いです。
エクセルを活用してアンケートを取る場合
エクセルを使えば、大勢の人を対象にしたアンケートを取ることができます。公開したエクセルの一部に、回答を入力してもらう形です。
その際には、シートのパスワードを使用しましょう。
アンケートは、質問欄と解答欄、概要ページなど複数の項目に分かれます。質問欄や概要ページは、編集されてはいけない部分です。
シートのパスワードでは、シート全体、あるいはシート内の一部セルなどを編集不可に設定できます。
そのため、悪意のある概要ページ改ざんや、操作ミスで質問を削除してしまうといったトラブルを防げるでしょう。
エクセルでパスワードを設定する方法
それでは、エクセルでパスワードを設定する方法を、種類ごとに解説していきます。
読み取りパスワードと書き込みパスワードの設定方法
エクセルの読み取りパスワードと書き込みパスワードは、設定方法に大差ありません。どちらもファイルを保存するタイミングで設定を行います。
ファイルが完成した後で「名前を付けて保存」を選択すると、保存先を選ぶウィンドウが表示されます。
その下部にある「ツール」から「全般オプション」を選びましょう。そうすればパスワードの入力欄が出てきます。
読み取りと書き込みの2つの入力欄がありますが、必ずしも両方設定しなければならないわけではありません。入力した側だけ設定することが可能です。
そして、再確認のためのパスワードを改めて入力して保存したら、パスワードが設定されたエクセルファイルが完成します。
ブックのパスワードとシートのパスワードの設定方法
ブックあるいはシートのパスワードを設定する場合、「校閲」タブを選択します。
そして、ブックのパスワードを設定する場合は「ブックの保護」、シートのパスワードであれば「シートの保護」を選びましょう。
そうするとパスワードの入力画面が出てくるので、再入力まで済ませると設定は完了です。
シートのパスワードの場合は、入力画面でどのような制限をかけるかを選択できます。
セルごとに制限をかける場合は、「ロックされたセル範囲の選択」をしましょう。
そうすると、書式設定で「ロック」にチェックが入っているセルだけがパスワード保護されます。
パスワードが設定されたエクセルファイルを開くには
手元にあるエクセルファイルに読み取りパスワードがかかっている場合、そのままでは開くことができません。パスワード入力画面が出てくるので、そこに正しい文字や数字を入力すれば開けます。
ただ、パスワードを知らず、開けないということがあるかもしれません。そのような時にどうすれば良いのか、解説します。
ファイルの作成者からパスワードをもらう
最も安全で確実なのは、正しいパスワードを入力することです。そのため、ファイルにパスワードを設定した本人から、パスワードを教えてもらいましょう。
個人的な繋がりがある人が相手であれば、メールなどで送ってもらうと良いです。配布されているファイルの場合は、作成者に連絡して、パスワードを訊ねましょう。
また、あらかじめ送ってもらったパスワードが間違っていた場合も同様です。正しいものを送ってもらえると、問題なくファイルは開けます。
エクセルのパスワードの解析ツールを使用
エクセルの読み取りパスワードがわからない場合、後は解析ツールを使用するしか選択肢がありません。有償無償を問わず、様々なツールが提供されているので、安全性が高いものを選んで使用しましょう。
ただ、エクセルのパスワードを無理やり解読することになるので、リスクは高いです。
したがって、自ら作成したファイルのパスワードを忘れた場合や、作成者の許可を得た場合にのみ、解析ツールを使うようにした方が無難でしょう。
エクセルファイルにかけられたパスワードを解除する方法
エクセルでかけられたパスワードは、解除するまで有効です。
では、どのように解除すれば良いのか、パスワードの種類ごとに確認していきましょう。
読み込みパスワードと書き込みパスワードの解除方法
エクセルの読み込みパスワードまたは書き込みパスワードを解除する手順は、パスワードの設定時と同じです。
「名前を付けて保存」から「ツール」「全般オプション」を選択しましょう。そして、パスワード入力欄に入っているパスワードを削除して「OK」を選んでください。
後は上書き保存すれば、パスワードがかかっていないエクセルファイルとして保存されます。
ブックのパスワードとシートのパスワードの解除方法
ブックまたはシートのパスワードは、「校閲」タブから簡単に解除できます。ブックのパスワードの場合は、「ブックの保護」を選択し、パスワードを削除した状態で「OK」を押しましょう。
シートのパスワードが設定されている場合は、「シートの保護」が「シート保護の解除」に変わっているはずです。それを選択して正しいパスワードを入力すれば、設定は解除されます。
解析ツールの機能を使うという方法もある
エクセルのパスワードを解析するツールには、パスワードを解除する機能が備わっている場合も多いです。パスワードを忘れてしまったなど、正しい方法で解除できないのであれば、その機能を使うという選択肢もあります。
もちろんリスクが伴うので、最終的な手段にしておきましょう。
様々なトラブルを防げるエクセルのパスワード
エクセルで作成したファイルが、誰かの手に渡る可能性はないとは言い切れません。
そして、データを抜き取られる、予期せぬ編集の手が加えられるなど、トラブルに繋がるリスクがあります。
そういったトラブルを未然に防ぐためにも、エクセルファイルのパスワードを積極的に活用しましょう。