ビジネスシーンでエクセルを利用していると、端数処理をする機会が多くあります。
たとえば消費税などの計算後に請求書に記載する場合、端数を適切に処理する必要があります。
端数処理には四捨五入・切り上げ・切り捨てなどの方法がありますが、四捨五入は桁の省略時に誤差を小さくする方法として広く使われています。
今回はエクセルで四捨五入する方法と注意点について解説します。
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エクセルで四捨五入の設定とは
エクセルで四捨五入をするには2通りの方法があります。「関数を使用する方法」と「セルの書式設定で表示桁数を短くする方法」です。
注意すべき点としては、どちらの方法でも表示される数値は同じですが、セルに保持されるデータには違いがあります。
この違いは、四捨五入した数値を合計するときなどに誤差として現れます。
四捨五入の設定方法で保持されるデータが違う
表示桁数で四捨五入した場合は、セルに保持されるデータが端数を含む正確な値です。したがって合計すると表面上は見えない端数も合算されます。
その結果、関数で四捨五入した場合との合計値と合致せず、困ってしまうことがあります。
まずは「関数を使用する方法」と「セルの書式設定で表示桁数を短くする方法」の両方の方法を知り、それぞれがどのように違うのか確認しましょう。
数字が自動的に四捨五入される場合がある
またエクセルを使っていて、計算結果や代入した数字が勝手に四捨五入されてしまうことがあります。エクセルで四捨五入を使いたくない場合は対処する必要があります。
勝手に四捨五入される原因は「セルの横幅に合わせて自動的に四捨五入して表示する設定になっている」「残っていた過去の設定や意図しない操作で表示桁数の設定が変更されている」というパターンが大半です。
原因に応じた対処方法について説明します。
エクセルの関数を使用して四捨五入する方法
エクセルで関数を使用して四捨五入する方法を解説します。
ROUND(ラウンド)関数を使用する場合
エクセルで四捨五入するにはROUND(ラウンド)関数を使います。基本構文は=ROUND(数値, 桁数)です。
ROUND関数の引数1の「数値」は四捨五入したい元の数値を、セル番号か計算式で指定します。直接数値を入力することも可能です。
ROUND関数の引数2の「桁数」は四捨五入して、どの桁まで求めるのかを整数で指定します。
少しわかりにくいのですが、1つめの引数「数値」の一の位を「0」として、十の位や百の位のように大きい桁は負の数、小さい桁は正の数で指定します。
例えば2つめの引数に「0」を指定した場合、残す小数部分が「0桁」になるように小数第1位が四捨五入されて、整数で表示されます。
2つ目の引数に「-2」を指定すると残す小数部分が「-2桁」になるように十の位が四捨五入されて百の位以下の端数を処理した表示になります。
この「桁数」の指定が注意すべきポイントで『端数処理の結果として残したい「桁数」』を入力することです。
小数第3位を四捨五入したい場合は、結果として残したいのは小数第2位なので2つ目の引数に指定するのは「2」となります。
FIXED(フィックスト)関数を使用する場合
エクセルには、他にも四捨五入を行う関数があります。FIXED(フィックスト)関数です。
FIXED関数の基本構文は=FIXED(数値,桁数,桁区切り)で、1つ目と2つ目の引数はROUND関数と同じです。
3つ目の引数は桁区切り(カンマ)を追加するかどうか指定します。 TRUE を指定した場合は桁区切りを表示せず、 FALSE を指定した場合は桁区切りを表示します。
ROUND関数が数式の結果が数値で返されるのに対し、FIXED関数は数値の結果が文字列で返されます。
金額計算専用のYEN関数やDOLLAR関数を使用
YEN関数は数値に通貨記号(¥)と桁区切りを付ける関数です。
基本構文は=YEN(数値,桁数)、引数はROUND関数と同じです。
DOLLAR関数は通貨単位がドル表示されます。FIXED関数と同様、数値の結果が文字列で返されます。
YEN関数やDOLLAR関数は、既に入力された数の表記を円やドル表示に統一する時に役立ちます。
エクセルの表示桁数で四捨五入する方法
ここでは表示桁数を使ってエクセルで四捨五入する方法を解説します。
書式設定で表示桁数を短くする
セルの書式設定で表示桁数を短くする方法は、例えば「0.8」の小数第1位を四捨五入して「1」にしたい時、セルの書式設定を開き、「表示形式」タブの分類の「ユーザー定義」で「0」を選択します。
表示は「1」ですが、データとしては「0.8」を保持します。セルの書式設定を開いた時に「表示形式」タブの分類の「数値」を選択し、「小数点以下の桁数」を「0」にしても同じ結果になります。
この場合は、たとえば小数点以下の桁数を「3」にすると、「0.8」は「0.800」と表示されます。
ホームタブの「数値」から桁数を調整する
またエクセルのホームタブにある「数値」の「小数点以下の桁数を減らす」または「小数点以下の桁数を増やす」ボタンを使うと、小数点以下の桁数を調整し、非表示にした桁の四捨五入ができます。
手軽で便利ですが、セルの書式設定で表示桁数を短くする方法と同じで、セルに入力されている実際の数値は四捨五入される前のデータを保持します。
表示桁数を短くした数値は四捨五入前のデータを保持
一方ROUND関数は見た目だけでなくデータの数値自体も四捨五入されています。四捨五入前のデータを保持する表示桁数を短くした数値の合計と、四捨五入後のデータを保持するROUND関数を使用した数値の合計は、誤差が出ることがあります。
ビジネスシーンで見た目だけ四捨五入して、計算結果がおかしいという事態は深刻です。
売り上げデータなどを管理する場合はROUND関数を使ってデータ自体を、四捨五入することをおすすめします。
エクセルで四捨五入を使いたくない場合
エクセルに表示されている小数を勝手に四捨五入しないようには「列の幅を調整する」「小数点以下を表示する」「端数処理をする」の3通りの方法で対処します。
列の幅を調整する
幅を調整したい列の右側の境界線にマウスのポインターを当て、黒色の左右の矢印に変わったらマウスをダブルクリックしましょう。入力されている列の幅が自動で調整されます。
四捨五入せずに数値を表示したい場合は、セルの横幅を広げるか文字サイズを小さくして表示桁数を増やすことができます。
小数点以下を表示する
何らかの操作でセルの書式設定で表示桁数の設定が変更されて勝手に四捨五入されている場合は、表示桁数を増やして四捨五入しないようにすることができます。
小数をすべて表示したいセルを選択し、ホームタブの「数値」グループの「小数点以下の表示桁数を増やす」をクリックします。
ボタンを1回クリックするごとに、小数点以下の桁数が1桁増えます。表示したい桁数までクリックしましょう。
セルの横幅が狭い時は「######」と表示されるので、必要に応じてセルの横幅も調整します。
端数処理をする
勝手に四捨五入されると困る場合に、あえて端数処理をする指定方法を指定してしまうという対処法です。
ROUND系の関数を使って四捨五入、切り捨て、切り上げをします。上記2通りの方法で、四捨五入はある程度調整できますが、見えていない桁は四捨五入されてしまいます。
四捨五入させたくないし、表示もさせたくないという場合は、ROUNDDOWN(ラウンドダウン)関数を使って切り捨てましょう。
ROUNDDOWN関数の基本構文はROUND関数と同じです。
また数値の計算結果を整数にして小数第1位を切り捨てしたいなら、INT関数の方が数式はシンプルで、支払いや請求ができる金額を算出する時に役立ちます。
INT関数の基本構文は=INT(数値)です。数値は整数に四捨五入されるセルを入力します。
エクセルで四捨五入する時は保持されるデータに注意
エクセルで四捨五入する時には方法によって、セルに保持されるデータに違いがあることを理解する必要があります。
厳密な処理ができるようにチームで作業する場合には方法を統一しましょう。
また扱う数値が金額や整数のみの場合は、四捨五入をより効率的に処理できる関数もありますので活用してみてください。