イラストレーターは、フォトショップのように簡単に塗りつぶしを適用できる機能がありません。そのため、イラストレーターでは塗りつぶしができないと思っている方もいるでしょう。
しかし、イラストレーターでは、ライブペイントツールや塗りブラシツールを使うことで塗りつぶしができます。
本記事で、イラストレーターで塗りつぶしをする方法について確認していきましょう。
イラストレーターの線と塗りとは?
イラストレーターは、線と塗りで構成されている図形を駆使してデザインを行うソフトです。
塗りつぶしを行う前に、イラストレーターにとって大切な概念である、この線と塗りの特徴について見ていきましょう。
線とは
イラストレーターの「線」は、オブジェクトの輪郭部分のことを指します。
線の太さや色、スタイルは自由に設定でき、図形のアウトラインや境界を強調する際に使われます。
また、線は必ず必要なわけではなく、線をなくして塗りだけでの表現も可能です。
塗りとは
「塗り」は、図形の内部の領域を指します。図形の中を単色で塗りつぶしたり、グラデーションやパターンで装飾したりできます。
イラレでは、図形の塗りを変更してデザインを構築するため、大切な要素の一つです。
イラストレーターで塗りつぶしをする3つの方法
イラストレーターで塗りつぶしを行える機能やツールは、主に以下の3つです。
- ライブペイントツール
- 図形の塗りつぶし
- 塗りブラシツール
これらのツールや機能を使って塗りつぶしを行う方法について見ていきましょう。
方法①ライブペイントツール
ライブペイントツールは、境界線がある領域に色を塗れる機能です。作成したイラストの塗りつぶしをしたいときに使用される一般的な方法です。
以下の方法で、ライブペイントツールを適用できます。
- 塗りつぶしをする対象のオブジェクトを選択する
- オブジェクトメニュー内の「ライブペイント」から「作成」をクリックする

- ツールパネルから「ライブペイントツール」を選択する
- スウォッチパネルから適用させたい色を選択する
- 塗りをつけたい領域をクリックする

また、Shiftキーを押しながら線をクリックすることで、線に設定している色で線を塗りつぶすこともできます。
方法②図形の塗りつぶし
描画した図形の内側の領域を任意の色で塗りつぶしする方法です。以下の方法で、図形の塗りつぶしができます。
- ツールバー下部にある塗りの設定項目をクリックして、カラーピッカーから塗りつぶししたい色を設定する
- ツールバーから長方形ツールを選択する
- ドラッグで長方形を描画する

線の色が必要ない場合は、線の塗りをクリックしてアクティブにした状態で、ツールバー下部にある塗りと線の設定領域の下にある斜線のアイコンをクリックしましょう。
方法③塗りブラシツール
絵の具を塗りつぶすように、ドラッグした箇所に塗りを適用させる方法です。以下の方法で、塗りブラシツールを使えます。
- ツールバーからブラシツールを選択して、簡単なイラストを描く
- ツールバーのブラシツールを長押しして塗りブラシツールを選択する
- 塗りつぶしたい色を設定して、画面上をドラッグして塗りつぶす

ブラシツールと塗りブラシツールの違いは以下の表のとおりです。
| ツール | 説明 |
| ブラシツール | ドラッグした箇所はパスで構成される。書き足しをすると別のパスが追加される。 |
| 塗りブラシツール | ドラッグした箇所は塗りで構成される。書き足しをすると塗りが追加されて一つのオブジェクトになる。 |
感覚的に塗りをつけたい場合は、塗りブラシツールを活用しましょう。
ライブペイントツールが適用できない理由
ライブペイントツールが使えない理由として考えられるのが以下の4つです。
- 対象のレイヤーが選択されていない
- 隙間が空いている
- 塗りが設定されていない
- ロックがかかっている
これらの理由について見ていきましょう。
理由①対象のレイヤーが選択されていない
オブジェクトにライブペイントを適用していないケースでは、対象のレイヤーが選択されていないとライブペイントツールを使用できません。
オブジェクトを選択してからライブペイントツールを使うか、一度オブジェクトメニュー内の「ライブペイント」から「作成」をクリックして、ライブペイントを適用させるようにしましょう。
理由②隙間が空いている

ライブペイントツールは、パスの始点と終点がつながっていないと色をつけられません。そのため、パスが開いている場合は、パスを閉じてからライブペイントツールを適用させましょう。
しかし、なかにはパスを開いたデザインにしたいケースもあるでしょう。
そのようなケースでは、隙間オプションを設定することで、パスが開いていても塗りつぶしができるようになります。
隙間オプションは、オブジェクトメニューの「ライブペイント」から「隙間オプション」を選択することで利用できます。
塗りの許容サイズを「カスタムの隙間」に変更して、パスの隙間が検出されるまで数値を上げていきましょう。
パスの隙間が赤い線でつながれば、OKボタンで編集を確定してください。
すると、パスが閉じていない状態でも塗りつぶしができるようになります。
理由③塗りが設定されていない
ライブペイントツールでクリックする際に、塗りがなしになっていると塗りつぶしはできません。ツールバー下部にある塗りのアイコンに斜線が入っていないか確認しましょう。
塗りがなしになっている場合は、塗りのアイコンをダブルクリックすると表示されるカラーピッカーから、任意の色を設定してください。
理由④ロックがかかっている

ライブペイントツールが使えない原因の一つとして、レイヤーにロックがかかっていることが挙げられます。
ロックされているレイヤーには編集ができないため、ライブペイントツールも適用できません。
この場合、レイヤーのロックを解除する必要があります。
ロックを解除するには、レイヤーパネルから対象のレイヤーを選択した状態でレイヤー左についている鍵のアイコンをクリックしてください。
鍵のアイコンが消えたらロックは解除されます。ロック解除後、再度ライブペイントツールを使えるか試してみましょう。
イラストレーターで塗りつぶした色の配色を変える方法
イラストレーターで塗りつぶしした色の全体の配色を一括で変えたい場合は、「オブジェクトを再配色」を活用しましょう。
オブジェクトを再配色で色の配色を変える方法は以下のとおりです。
- 色の配色を変えたいオブジェクトをすべて選択する
- 編集メニューの「カラーを編集」から「オブジェクトを再配色」を選択する
- ダイアログボックスが開いたら、カラーホイールに打たれている点をドラッグで動かして色相を変更する

- パネル外をクリックして編集を確定する
全体的な色味を変えたい場合や、さまざまなカラーバリエーションを試してみたい場合は、オブジェクトを再配色を活用してみてください。
また、オブジェクトを再配色は、イラスト制作にも役立つ機能です。以下の記事では、イラストレーターでイラストを作るのに便利なツールや機能について紹介しています。
さらに、AIを使って一からイラストを生成する方法も解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
イラストレーターのグラデーションで塗りつぶしする方法
イラストレーターでは、グラデーションを使って図形の塗りつぶしができます。
図形をグラデーションで塗りつぶす方法について見ていきましょう。
ステップ①図形にグラデーションをかける

まず、ツールバーにある長方形ツールや楕円形ツールで任意の図形を作成します。
図形は対象のシェイプツールを持った状態で画面上をドラッグすることで描画できます。
続いて、描画した図形を選択した状態で、ツールバー下部にあるグラデーションのアイコンをクリックしてグラデーションをつけましょう。
ステップ②グラデーションを編集する

グラデーションのかかり具合が気に入らない場合は、ツールバーからグラデーションツールを持つと図形の上にバーが表示されるので、そのバーをドラッグしてグラデーションを調整しましょう。
続いて、グラデーションパネルからグラデーションのさらに細かな調整を行っていきます。
「種類」から、かけたいグラデーションの種類を選んでください。グラデーションパネルから選択できる種類とその説明は以下のとおりです。
- 線形グラデーション:直線的なグラデーション
- 円形グラデーション:放射状に広がるグラデーション
- フリーフグラデーション:自由な形でグラデーションを適用
グラデーションの色は、グラデーションスライダーの左右にあるポイントをダブルクリックすることで変更できます。
なお、グラデーションスライダーの下部をクリックすることで、カラーの追加も可能です。
グラデーションの調整が終わったら、デザイン全体を確認して、グラデーションが意図通りに反映されているか確認しましょう。
また、イラストレーターのグラデーションについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。図形だけでなく、文字につける方法や、グラデーションツールとグラデーションパネルの違いなどについて解説しています。
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イラストレーターの塗りはイラスト制作に役立つ機能です。
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イラストレーターで塗りつぶしをする方法のまとめ
今回は、イラストレーターで塗りつぶしをする方法について紹介しました。イラストレーターでは、図形に色を塗る際は、「塗り」の機能を使います。
塗りを使えば、単色で塗りつぶしたり、グラデーションを使用して複数の色を組み合わせて塗りつぶしたりなど、さまざまな表現が可能です。
また、塗りの色を後から変更したり、グラデーションの角度や色の配置を自由に調整することもできます。
さらに、ライブペイントツールを使えば、パスの内側にワンクリックで塗りをつけられます。
これらのテクニックを使うことで塗りを自由につけられるようになるため、デザインの幅が広がるでしょう。