3DCGソフトであるBlenderは、Windowsだけでなく、Macでも使用することができます。
基本的な機能や使い方は同じですが、Mac版はWindows版とは異なる部分があります。
では、Mac版のBlenderには具体的にどのような特徴があるのか、インストール方法や設定などと一緒に解説していきます。
Mac版Blenderの基本的な特徴
Blenderは、3DCGソフトで、3Dオブジェクトのモデリングや、テクスチャの貼り付けなどを行えます。さらに、3Dモデルを用いたアニメーション制作も可能です。
そのような多彩な機能を持っていながら、オープンソースのソフトで、無料で使用することができます。
そして、Mac版も用意されていて、特別なことをしなくてもMacのパソコンで使用可能です。
Mac版のBlenderを使用する場合、
- CPUがオクタコアの64bit
- メモリが32GB以上
であることなどが推奨されています。
また、Apple SiliconとIntelのCPUでそれぞれ、推奨されているGPUのスペックを満たすことが望ましいです。
そのような条件を満たせば、快適にBlenderを使用することができます。
Mac版BlenderのWindows版との大きな違い
それでは、BlenderのMac版とWindows版の違いを紹介していきます。
大きな違い①組み合わせることができるソフトの種類
Mac版とWindows版の大きな違いは、Blenderと組み合わせることができるソフトの種類です。
Mac版Blender
- 手軽に動画の編集ができるFinal Cut Pro
- ひと通りの音響編集に使えるLogic Pro X
に対応している点が大きいです。Blenderを使用して作成した3DCG画像やアニメーションと、それらのソフトを組み合わせることは、Mac版でしかできません。
Windows版Blender
それに対してWindows版は、主に人の動きを記録する、モーションキャプチャのソフトに対応しているのが特徴です。
つまり、手軽な編集で映像を作る場合はMac版、モーションキャプチャはWindows版と、それぞれ強みとしている分野が異なります。
大きな違い②Mac版Blenderは「Time Machine」が標準装備
また、Mac版には、標準装備されているバックアップ機能、Time Machineを使えるという強みがあります。外付けのストレージにBlenderのバックアップを作成しておくと、万が一データが破損するなどした場合にも、復元が可能です。
Time Machineは、パソコンを新調した際のデータ移行にも使えます。
移行の手順は簡単であるため、新しくBlenderを使う環境を作ることも難しくないでしょう。
大きな違い③Mac版BlenderはGPUの交換や増設が困難
ただ、Mac版は、GPUの増設がしにくい点に注意が必要です。
BlenderにとってGPUのスペックは非常に重要で、特にレンダリングをスムーズに進めるためには、少ないGPUメモリではいけません。
GPUのメモリが不足した場合、Windows版はパソコンのグラフィックカードを交換したり増設したりして、GPUを増やせます。
けれどMacのパソコンは、GPUの交換や増設ができない場合が多いです。
したがって、Blenderを使用する場合は、GPUに余裕があるパソコンを選ぶようにしましょう。
Mac版Blenderの操作の特徴
Mac版のBlenderを使いこなすためには、操作の特徴を把握しなければなりません。
では、Mac版の操作にはどういった特徴があるのか、早速主な特徴3つを確認してみましょう。
- 基本的な操作はマウスとキーボードの組み合わせ
- Magic Mouseを使用することができる
- 機種によってはトラックパッドも使える
操作の特徴①基本的な操作はマウスとキーボードの組み合わせ
Mac版の基本的な操作は、Windows版と変わりません。マウスで視点の切り替えやオブジェクトの追加などを行います。
マウスは、ホイールのスクロールでズームインとズームアウト、ホイールを押し込んだ状態で視点の切り替えなども可能です。
そして、キーボードにはモデルの移動や頂点連結といった機能のショートカットが紐付けされています。そのショートカットを駆使しながら、マウスでの造形をしていくのが基本の操作方法です。
操作の特徴②Magic Mouseを使用することができる
Macパソコンは、タッチセンサを搭載したマウス、Magic Mauseを使用することができます。
そのMagic Mouseは、Blenderの操作にも使用可能です。
タッチセンサ上で、指を上下あるいは左右にスクロールすると、視点を回転させながらの移動ができます。そして、Shiftキーを押しながらスクロールした場合は、画面の平行移動が可能です。
また、commandキーを押しながらスクロールすると、ズームインとズームアウト機能へと切り替わります。
操作の特徴③機種によってはトラックパッドも使える
ノートパソコンであるMac Bookには、指でタップやスワイプなどができるトラックパッドが、標準で装備されています。そのトラックパッドを使用すれば、マウスなしでのBlender操作が可能です。
トラックパッドは、2本指のスワイプで、回転を伴った視点移動となります。
そして、Shiftキーを押した状態で2本指スワイプをすると平行移動、Commandキーを押しながらスワイプでズームインとズームアウトが可能です。
ズームインとズームアウトは、指を使ったピンチでも可能なので、直感的な操作に向いています。
トラックパッドが備わっていないパソコンでも、外付けのトラックパッドを用意すれば、マウスの代わりにできます。
こちらの記事でBlenderの基本的なUIと設定等を紹介しておりますのでご確認くださいませ。
MacのパソコンにBlenderをインストールする方法
MacのパソコンでBlenderを使用するためには、インストールが欠かせません。
そして、インストールには、Macに標準搭載されているLaunchpadを使用すると良いでしょう。
そのためにはまず、Blenderの公式サイトからBlenderをダウンロードする必要があります。
Macのパソコンでアクセスすると、最新バージョンのMac版Blenderをダウンロードできる画面になっているはずです。
- 「Download Blender」をクリックして、ダウンロードを始めましょう。
※Windows版のダウンロード画面になっていれば、プルダウンメニューからMac版を選択すると、自動でダウンロードが始まります。 - ダウンロードが完了したら、ブラウザの履歴や保存している場所からファイルを開く
- ファイルを開くと、左側にBlenderのアイコン、右側にアプリケーションフォルダが配置されたウィンドウが出てくるので、その左のアイコンを右側のフォルダにドラッグ&ドロップ
そうすると、インストールは完了です。
問題なくインストールできているかを確かめるために、アプリケーションフォルダから一度Blenderを立ち上げてみましょう。
こちらの記事ではBlender初心者向けに基本情報から安全なダウンロード方法、基本操作まで解説しております。
MacのパソコンでBlenderを快適に使うための設定方法
Mac版のBlenderは、インストールが完了した段階では、標準設定のままです。
快適に使うには、いくつか設定を変更しなければいけません。
その変更すべき設定の中でも、重要度の高いものをご紹介します。
1.日本語の設定
Mac版のBlenderは、標準では英語表記となっています。
そのままでは使いにくいため、日本語表記に設定を変更しましょう。
- Blenderを開いて、メニューバーにある「Edit」から「Preferences」を選択
- 「Interface」タブにある「Language」のプルダウンメニューから日本語に切り替え
そうすると、Blenderの表記がひと通り日本語になります。
2.テンキーの模倣設定
Blenderは、テンキーを駆使して視点を切り替えると、操作がスムーズになりやすいです。
ただ、Mac版は標準だと、テンキーに対応していない場合があります。
テンキーを対応させるには、テンキーの模倣設定という作業が必要です。
- メニューの「編集」から「プリファレンス」を選択
- 「入力」タブにある「テンキーを模倣」にチェック
そうすると、キーボードの数字キーを、テンキーとして使えるようになります。
これは、テンキーが備わっていないMac Bookなどにも有効です。
3.マウスの設定
ホイールボタンがないマウスを使用する場合、ホイールボタンの代用ができるよう設定を変更しましょう。
- メニューの「編集」「プリファレンス」から「入力」へ移動
- 「3ボタンマウスを再現」にチェックマークを入れる
そうすると、Optionキーを押しながらの左クリックが、ホイールクリックになります。
3ボタンマウスを再現は、ホイールボタンがあるマウスでも有効です。
ホイールボタンよりもキーボードと左クリックの組み合わせの方が楽であれば、設定を変えると良いでしょう。
BlenderはMacでも問題なく使用可能
手元に推奨スペック以上のMacパソコンがあると、問題なくBlenderを使用することが可能です。
環境や機能にこだわらなければ、新しくWindowsパソコンを用意する必要はありません。
そのため、Blenderを使いたいと考えるMacユーザーは、まずはインストールしてみると良いでしょう。