いまや生成AIは業界や規模を問わず導入が進み、業務効率化や新しい価値創出の手段として注目されています。国内外の企業が独自のサービスや活用事例を打ち出し、ビジネスの現場に大きな変革をもたらしているのが現状です。
本記事では、企業の生成AIの導入および活用の事例とともに、導入時に押さえておきたい活用の注意点についても解説します。
そもそも生成AIとは?
生成AIとは、人が入力した文章や指示をもとに、新しい文章や画像、音声などを自動で生み出す人工知能のことです。
ChatGPTや画像生成AIの登場により、企画や文章作成、デザインなど幅広い分野で実用化が進んでいる背景から、企業活動に欠かせない技術として注目されています。
企業が生成AIに注目する理由とは
ここでは、企業が生成AIに注目する主な理由を以下のとおり紹介します。
- 人材不足解消
- コスト削減
- DX推進
①人材不足解消
少子高齢化や人手不足の影響で、多くの企業が業務の担い手確保に悩んでいます。そこで生成AIを活用すれば、文章作成やデータ処理、顧客対応といった作業を自動化でき、限られた人材をより高度な業務に集中させられます。
結果、労働力不足を補いながら組織全体の生産性を高める効果が期待できるのです。
②コスト削減
生成AIは業務を効率化してくれるので、人的リソースや時間の大幅な削減につながります。例えば、企画書や広告コピーの草案を自動生成すれば、従来外注にかけていた費用を抑えられます。
また、業務フローの一部を自動化することで残業や人件費の軽減にもつながり、結果として企業のコスト構造を改善できるでしょう。
③DX推進
DXの推進において重要なのは、データを活かし新しい価値を生み出すことです。生成AIは、従来では困難だった複雑な情報の整理や新しいアイデア創出を可能にします。
たとえば、顧客の声を解析して商品開発に活かしたり、マーケティング資料を自動生成したりと、業務全体のデジタル化を加速させる役割を果たします。
なお、以下の記事では、DXの概要をくわしく紹介しています。気になる方はぜひ併せてご一読ください。
企業が生成AIを導入・活用した事例9選
ここからは、企業が生成AIを導入・活用した具体的な事例を紹介します。
パルコ
渋谷PARCOは50周年の広告制作で、生成AIを全面的に活用しました。人物や背景、音楽、ナレーションまでAIで生成し、撮影を行わない新しい広告表現に挑戦しています。
制作には半年以上を要し、品質調整に苦労したものの、その革新的な取り組みは広告業界内外で大きな話題を呼び、AI活用の可能性を示しました。
Panasonic
パナソニック コネクトは、全社員約1.2万人に向け、ChatGPTをベースにした社内AI「ConnectAI」を導入しています。資料作成や業務効率化に幅広く活用され、導入から1年間で約18.6万時間の労働時間削減を達成しました。
さらにプロンプト添削機能や引用元表示も実装し、精度と信頼性を高めながら社員のAIスキル育成も進めています。
SMBCグループ
SMBCグループは2023年7月、こちらも従業員専用のAIアシスタント「SMBC-GAI」を独自開発・導入しました。Microsoftとの連携により、Azure OpenAI Serviceを活用してわずか4ヶ月で構築し、Microsoft Teams上で業務支援を実現しています。
リスク管理の徹底や専用環境での運用により、情報漏洩リスクを抑え、業務効率と安全性を両立させた先進的な取り組みです。
LINE株式会社
LINEヤフーは生成AIの社内活用を促し、全従業員(約1.1万人)が利用する仕組みを整備しました。2023年には「生成AI統括本部」と「AI倫理ガバナンス部門」を設立し、EC領域専用の「生成AIタックル室」も発足しています。
迅速な試行錯誤と多数の活用事例創出に取り組み、数年以内に生産性2倍の達成を目指しています。
セブン・イレブン
セブン・イレブンは2023年8月、「セブン・イレブンAIライブラリー」を構築し、2024年9月には全面運用を開始しました。リアルタイム在庫の確認や自然災害時の在庫対応、広告効果検証など「守り」と「攻め」のデータ活用を推進しています。
また商品企画には生成AIを活用することで、企画期間を最大で10分の1に短縮する効果も報告されています。
サントリー
サントリーは、消費者の声(VOC)を自動分類・分析する生成AIの「見える化エンジン」を導入し、顧客ニーズの洞察と業務効率化を実現しています。2023年5月から自社専用の生成AIチャットツール「ガウディ」を稼働させ、社内セミナーでの利活用促進も行って利用者数を倍増させました。
また、C.C.レモンの擬人化キャラクターを生成AIで制作し、ブランドイメージ向上に貢献しています。日本国内のマーケティングとオペレーションに革新をもたらす事例です。
アサヒビール
アサヒビールは、膨大な社内資料(PDF、Wordなど)に対応する生成AI搭載の情報検索システム「saguroot」を試験導入し、約100字の要約機能も備えています。これにより、R&Dや商品開発の現場が必要な情報へ迅速にアクセスできるようになり、意思決定のスピードが向上しています。
Azure OpenAIベースの自然言語処理技術の活用によって、業務効率化と知見活用の促進を進めています。
伊藤園
伊藤園は、生成AIを用いたパッケージデザインとAIタレントを起用したCM制作で先進的な取り組みを行っています。「お〜いお茶 カテキン緑茶」のリニューアルに際して、画像生成AIによる多数のデザイン案から方向性を見極め、決定速度を大幅に改善しました。
また、AIタレントをCMに活用し、話題性とブランド革新の両立を実現したことでも知られる事例です。
西松建設
西松建設は、生成AIを活用した建設コスト予測ツールを導入し、物価上昇などの影響要因をニュースや統計データから解析してより精度の高いコスト予測を可能にしています。この取り組みにより、発注時期の早期判断や購買戦略における意思決定が効率化され、コストリスクを低減しています。
生成AIによる予測支援は建設業界における業務効率化の新たな一歩となった事例です。ここで紹介した事例の他にも、生成AIの活用事例は多岐にわたるので、詳しくは以下をご覧ください。
生成AIを提供する企業

ここからは、生成AIを提供する企業を、国内・海外別に紹介していきます。
国内編
まずは生成AIを提供する企業、国内編として以下のとおり見ていきましょう。
| 企業名(国内) | 特徴 | 主な事業・やっていること |
|---|---|---|
| Sakana AI |
|
など |
| Preferred Networks |
|
などでプロジェクト展開 |
| ALTS | AI・バーチャルヒューマン技術に強み |
|
Sakana AI
2023年設立のスタートアップ「Sakana AI」は、進化的アルゴリズムを活用して「モデルマージ」による新しいAI生成法を開発しています。
既存モデルを繁殖させるように世代的に進化させたモデルを選び、最適なAIを効率的に構築。資金調達では2024年に約200 億円規模のシリーズAを実施するなど、日本発のAIハブを目指す企業です。
Preferred Networks
Preferred Networksは深層学習の研究・実用化に注力し、自動運転や製造、ヘルスケアなど幅広い産業展開を推進してきた企業です。
AIチップ(MN‑Core )やクラウド基盤といった技術から、生成AIモデル、ロボティクス、省エネルギー素材開発など、AI技術のバリューチェーンを社内で一貫展開しているのが特徴です。
ALTS
ALTSは、独自のパーソナルAIやAIクローン技術を開発し、「AI GIJIROKU」「altBrain」「CLONEdev」といった製品を提供しています。最近ではBytePlusとの提携により、日本市場向けの生成AIビジネスを推進し、広告や教育など多領域でDXを加速しています。
海外編
続いて、生成AIを提供する企業、海外編を見ていきましょう。
| 企業名(海外) | 特徴 | 主な事業・やっていること |
|---|---|---|
| OpenAI | ChatGPTで著名、世界最大手の生成AI研究機関 | GPTモデル群
ChatGPTなど商用API 先端AI研究 |
| Anthropic | 準大手、信頼性重視のLLM「Claude」開発企業 | Claudeシリーズ
公平性、安全性重視の生成AI開発 |
| Cohere | エンタープライズ特化型LLMの開発 |
などBtoB導入 |
OpenAI
OpenAI は、「汎用人工知能(AGI)がすべての人類に利益をもたらすようにする」ことを使命とする研究・展開型AI企業です。研究ではGPTシリーズをはじめ、テキスト・画像・音声にまたがる汎用モデルや、新たな「oシリーズ」といった推論特化型モデルを開発しています。
製品面では、開発者向けAPIプラットフォームやChatGPT、最新のCodex(コード生成・修正支援エージェント)などを提供し、AGI実現への道筋を実用面からも切り拓いています。
Anthropic
「信頼でき、解釈可能で操縦可能なAIシステム」を構築することに重点を置くAI研究・製品開発企業です。主力プロダクトであるClaudeシリーズ(Claude Opus 4.1・Sonnet 4など)は、高性能な推論能力と長文対応を特徴とし、200 K~最大1 Mトークンという広大なコンテキストウィンドウをサポートしています。
さらに、Promptエンジニアリングやツール活用、セキュアなAPI、エンタープライズへの安全な展開支援に注力し、信頼性と実用性を兼ね備えた生成AIプラットフォームを提供しています。
Cohere
2019年設立のCohereは、企業向けに特化した自然言語処理(NLP)と大規模言語モデル(LLM)を開発するカナダ発のAI企業です。API経由で提供されるこれらのモデルは、企業が持つ独自データに基づいたトレーニングが可能で、カスタマイズ性に優れています。
金融、医療、製造、エネルギーなどの規制業界での導入も進み、グローバルに利用されている期待の企業です。
企業が生成AIを導入する際の注意点

生成AIは便利で可能性の大きい技術ですが、導入にはいくつかのリスクや留意点があります。ここでは、以下のとおりご紹介します。
- セキュリティとデータ漏洩リスク
- 著作権や商標の取り扱い
- 精度のばらつきと人間による確認の必要性
セキュリティとデータ漏洩リスク
生成AIを利用する際、入力した情報が外部に保存・学習される可能性があります。機密情報や個人データを扱う場合、情報漏洩や不正利用につながるリスクがあるため、利用環境を社内専用に制限する、ログ管理を徹底するなどの対策が欠かせません。
著作権や商標の取り扱い
生成AIが出力する文章や画像には、既存の著作物と類似する表現が含まれる場合があります。知らずに利用すると、著作権や商標権を侵害してしまう恐れがあるため、利用目的や範囲を明確にし、商用利用の可否を必ず確認することが重要です。
精度のばらつきと人間による確認の必要性
生成AIの回答や出力は常に正確とは限らず、誤情報や不適切な内容が含まれる可能性もあります。業務に直接用いる前に人間の確認を挟む仕組みを導入し、重要な判断をAI任せにしないことが必要です。
信頼性を担保する体制を整えることで、安全な活用を行うようにしてください。
企業向けの生成AI導入ならDX・AI人材育成研修サービス

生成AIを導入する際に大切なのは、最新のツールを導入することだけではなく、それを実務に結びつけられる人材を育成することです。「DX・AI人材育成研修サービス」では、まずDXレベルを可視化し、課題や強みを明確にした上で、最適な研修カリキュラムをご提案します。
短期集中から中長期まで幅広く対応し、製造業・建設業に精通した経験豊富なコンサルタントが伴走するのが特徴です。導入実績は1万社を超え、実践的なスキル習得を通じて社内の生成AI活用を着実に推進できるでしょう。
最後に生成AI企業に関するよくある質問(FAQ)
最後に生成AI企業に関する、よくある質問を紹介していきます。
生成AI企業についてまとめ
生成AIは今や国内外の多様な企業によって開発・提供され、業種を問わず活用が広がっています。国内ではSakana AIやPreferred Networksをはじめとした研究・開発型企業が成長を牽引し、海外ではOpenAIやAnthropicなどのグローバルプレイヤーが存在感を高めています。
小売や製造、建設といった実業分野での導入事例も増えており、業務効率化から新しい価値創出までその用途は拡大しています。リスク管理や人材育成を並行して進め、安心して便利にAIを活用できる環境を整えていきましょう。