AutoCADにはビューポートという重要な機能があります。
ビューポートはレイアウトタブにおいてAutoCADユーザーがプロジェクトをさまざまな角度から確認し、編集するための窓口となるツールです。
この記事では、AutoCADのビューポートの基本的な使用方法、レイアウトとモデルスペースの違い、およびこれらのツールを最も効果的に使用する方法について解説します。ぜひ参考にしてください。
AutoCADのビューポートとは?
AutoCADのビューポートを使用すると、同じ図面内で複数のビューを表示できます。
- 平面図
- 断面図
- 立面図
を同時に表示し、異なる角度や拡大率で図面を確認可能です。
また ビューポート内の表示を独立してスケーリングできます。
これにより、図面の一部を詳細に表示する一方で、他の部分を縮小表示することができます。
ほかにも、特定のレイヤーを表示したり、プリントおよび出力が可能です。
レイアウトとモデルスペースでビューポートの使い方や概念は異なります。
Autocadのビューポートの基本操作
レイアウトとモデルスペースでの共通の基本操作を学びましょう。
AutoCADのビューポート内では基本的な操作として、
- ズーム
- パン
- ローテーション
が可能です。ズームではビューポート内の特定領域を拡大または縮小でき、パンで画面を左右または上下にスライドさせることができます。
ローテーションは特に3Dモデルで有用で、モデルを任意の角度で回転させることができます。
AutoCADのビューポートの基本操作①ズーム
ビューポート内でズームを行うためには、マウスのホイールを前後に回すことでズームイン・ズームアウトが可能です。また、ズームコマンド(Zコマンド)を使用することも可能です。
ズームコマンドを入力後、オプションとして ‘In’, ‘Out’, ‘All’, ‘Center’, ‘Dynamic’ などがあります。
AutoCADのビューポートの基本操作②パン
パン操作は、ビューポート内での視点の移動を行います。
マウスのホイールをクリックして保持(または中央ボタンをクリックして保持)し、マウスを動かすと視点が移動します。また、パンコマンド(Pコマンド)も利用可能です。
AutoCADのビューポートの基本操作①ローテーション
ローテーションは3Dビューで特に重要となります。
3Dビューポートでのビューを回転させるためには、3DORBITコマンドを使用します。
コマンドを入力後、マウスをドラッグすることでビューを回転させることができます。
Autocadのビューポートの設定
AutoCADのビューポートは1つだけでなく、図面内に複数設定することも可能です。
これにより異なる視点やスケールのビューポートを同時に表示することができます。
実際にビューポートを追加して、異なる視点のレイアウトを作成してみましょう。
Autocadのレイアウトとモデルスペース
AutoCADには、以下の2つの異なる作業エリアが存在します。
- レイアウト
- モデルスペース
それぞれについて、その定義と機能を理解することが重要です。
レイアウトとモデルスペースの定義と機能
レイアウト
レイアウトは、設計図をプリントアウトやPDF出力するためのページレイアウトを設定する場所です。テンプレートから枠を使用できます。
AutoCADでレイアウトを設定する方法については下記記事で詳しく解説しています。
モデルスペース
モデルスペースは、図面や3Dモデルの実際の設計作業が行われる場所です。
なので、空間は無限に広がっています。
レイアウトとモデルスペースの切り替え方法
レイアウトとモデルスペースの間は簡単に切り替えることができます。
AutoCADの下部にあるタブから選択するだけで、どちらの作業エリアにも簡単にアクセスできます。
レイアウトとモデルスペースの違いと使い分け
レイアウトとモデルスペースは、どのように使い分けられているのでしょうか。
モデルスペースでは、設計作業が行われます。
ここでは、実際の寸法に基づいてモデルが作成されます。
一方、レイアウトでは、作成したモデルをプレゼンテーションや印刷に適した形にレイアウトします。これには、ビューポートの作成と配置、スケールの調整、タイトルブロックの追加などが含まれます。
レイアウトとモデルスペースでのビューポートの使い方
ここでは実際に、レイアウト・モデルスペースそれぞれのAutoCADのビューポートの使い方を解説していきます。
レイアウトでのビューポートの使用
レイアウトでは、ビューポートを用いて効果的に図面を表示します。
以下にその方法とヒントを示します。
レイアウトビューポートの作成と調整
レイアウトでは、”MVIEW”コマンドを用いて新たにビューポートを作成することができます。
作成後にビューポートのサイズや位置を調整することも可能です。
他にも、「ビューを挿入する」を選択することで、モデルビューから任意の範囲をレイアウトに挿入することができます。
モデルビューが表示されるので、任意の範囲を選択しエンターキーを押します。
モデルスペースでのビューポートの活用
モデルスペースでもビューポートは有用です。特に、多視点の設計作業を行う場合に便利です。
モデルスペースビューポートの作成と操作
モデルスペースでは、”VPORTS”コマンドを使用して新たにビューポートを作成することができます。
作成したビューポート内では、ズーム、パン、ローテーションといった操作を自由に行うことができます。
モデルスペースでのビューポート切り替えと管理
モデルスペースでは、異なるビューポート間を簡単に切り替えることができます。
ビューポート管理ダイアログ(”VPORTS”コマンドで呼び出せます)を使えば、ビューポートの数や配置を自由に設定できます。
モデルスペースビューポートでの3Dビューの利用
3Dモデルを作成している場合、モデルスペースビューポートを使って異なる視点からモデルを観察することが可能です。これにより、モデルの3次元的な理解を深めることができます。
レイアウト(ペーパー空間)とモデルスペース(モデル空間)それぞれのAutoCADのビューポートについて上記動画で分かりやすく解説されています。
ビューポートを効果的に活用するためのコツとテクニック
ビューポートを効果的に活用するためには、以下のようなテクニックがあります。
ビューポート活用テクニック1.スケーリングと注釈
ビューポートでは、表示スケールを自由に設定できます。
これにより、ビューポート内での寸法表現が可能となります。
また、注釈スケール機能を利用すれば、注釈や寸法も自動的にスケールに合わせて調整されます。
ビューポート活用テクニック2.ビューポートのロック
ビューポートのロックは、ビューポート内のビューを固定して意図しない変更を防ぐ機能です。
ビューポートがロックされていると、ズームやパンの操作が無効化され、ビューの誤変更を防ぐことができます。
逆に、ビューポートを操作できない場合はロックされている場合があるので、解除しましょう。
ビューポート活用テクニック3.ビューポートのカスタマイズ
ビューポートの表示はカスタマイズ可能です。
異なるビューポートで異なるレイヤーを表示したり、特定のビューポートだけで特定の色を表示するなど、自由な表示設定が可能です。
また、他の記事ではAutoCADの基本操作や使い方のコツを紹介しているので、気になる方はご参考にしてください。
ビューポートで起きる問題とその解決策
ビューポートを使用する上で、以下のような問題が起きることがあります。
ビューポートが表示されない
ビューポートが表示されない場合は、まずビューポートレイヤーが非表示になっていないか確認しましょう。もし非表示になっていれば、そのレイヤーを表示させます。
ビューポートを選択できない
ビューポートを選択できない場合は、そのビューポートがロックされている可能性があります。
ビューポートを選択可能にするためには、ビューポートをアンロックする必要があります。
AutoCADビューポートの活用範囲
ビューポートはAutoCAD作業において広範で効果的なツールです。
活用の範囲を解説します。
それは設計作業の効率化、視覚的な認識の向上、そして多角的な視点からのプロジェクトの確認といった点で明らかです。
また、AutoCADのビューポートを利用することで、複数の視点やスケールのビューを同時に持つことができ、設計作業の効率化が図られます。例えば、全体図と詳細図を同時に確認しながら作業を行うことができます。
AutoCADでビューポートを使うメリット
AutoCADのビューポートを活用することで、設計者はプロジェクトの全体像と部分像を同時に把握することができます。これにより、設計者は詳細部分の設計に集中しながらも全体のバランスを見失うことなく作業を進めることができます。
ビューポートを使いこなそう まとめ
ビューポートはAutoCADでの設計作業をより効果的かつ効率的にするための機能を提供しています。その基本的な使い方から高度な活用法まで、理解と実践が重要です。
これらを身につけることで、あなたのAutoCAD作業は更に向上できるでしょう。