AIに関する幅広いスキルを証明できるG検定。G検定を取得するメリットといえば、一般的には「就職や転職で有利になる」「AIスキルを証明できる」といった点が注目されがちです。
しかし、これらのメリットはすでに多くの方が認識しているでしょう。
そこで今回は、G検定を取得する具体的なメリットに焦点を当ててみました。
企業の成功事例や合格者の体験談を紹介しながらG検定取得のメリットを検証したので、「G検定が実際にどのように役立つのか知りたい」という方はぜひご一読ください。
G検定とは?

G検定は、JDLA(日本ディープラーニング協会)が実施するAIに関する資格試験です。AIの適切な活用方法を決定し、事業応用する能力を持つ人材育成を目的として設立されました。
AIは最新スキルが求められる分野であるため、G検定では合格証に「2024#4」のように年号と期数を記述しています。これは、「合格者が〇年〇月時点のスキルを持っている」ことを明確に証明するための仕組みです。
G検定の概要
G検定の試験では、ディープラーニングやAIの基本を理解し、それをビジネスや実務に活かす能力が問われます。
G検定の概要は以下の通りです。
| 設立年度 | 2017年6月1日 |
| 受験資格 | 制限なし |
| 試験時間 | 120分 |
| 試験内容 | 知識問題(多肢選択式) |
| 受験方法 | オンライン実施(自宅受験) |
| 出題数 | 160問程度 |
| 出題範囲 | G検定シラバスより |
| 受験費用 | 一般:13,200円 学生:5,500円 |
| 開催時期 | 毎年3月、5月、7月、9月、11月の計5回 |
G検定のシラバスは、2024年11月実施の試験から改訂されています。このシラバス改訂では生成AIに関する項目も追加されているので、G検定学習をスタートする前にぜひご確認ください。
G検定の難易度
一般的に、G検定の難易度は中程度とされています。
AI関連の資格はいくつかありますが、よく比較対象に挙げられるのが同じJDLAが認定するE資格です。E資格は難易度が高く、一般的に100〜300時間程度の学習時間を要します。
一方、G検定の学習時間は30〜50時間が目安とされており、この学習時間の差からも、G検定の難易度がE資格に比べて低いことが分かるでしょう。
ただし、G検定は難易度こそ中程度とされるものの、AI関連の広範な知識が出題されます。AI関連の法律や倫理など、技術以外の分野も試験範囲に含まれているため、合格するためには十分な対策を講じなければいけません。
G検定とE資格の難易度の違いは、以下の記事で詳しく解説しています。G検定とE資格の相違点を知りたい方もぜひご一読ください。
G検定を取得するメリットは?

「G検定を取得すると就職や転職で有利になる」と考える方は多いでしょう。しかし、それだけでは、具体的にどのようなメリットがあるのかピンとこない方も多いと思います。
ここでは、実際の事例を紹介する前に、まずG検定取得による代表的なメリットから見ていきましょう。
- E資格取得への第一歩となる
- 生成AIの活用スキルが身につく
- AIプロジェクトでスムーズに意思疎通できる
①E資格取得への第一歩となる
G検定を取得すると、国内AI資格の最高峰とされるE資格の基礎スキルを習得できます。E資格は、AIエンジニアとしての実践力を証明する難関資格であり、深層学習モデルの構築・学習や機械学習アルゴリズムの実装など高度な専門スキルが求められます。
しかし、いきなり挑戦するとハードルが高く、十分な基礎がないと挫折しやすいのも事実です。
そこで、まずG検定でAIの基礎を体系的に学び、段階的に知識を積み上げることで、E資格の合格への道のりがスムーズになります。「E資格取得まで効果的にステップアップしたい」という方にとってメリットが多い資格といえるでしょう。
②生成AIの活用スキルが身につく
G検定を取得すると、生成AIの活用スキルを習得できるのも大きなメリットです。生成AIの高度な機能は、大手企業や行政機関でも積極的に採用されており、「生成AIガイドライン」を策定する企業が年々増加するなど、スキル保有者のニーズも高まっています。
近年、G検定は、生成AIに必要な技術(大規模言語モデルなど)をシラバスに組み入れました。
今後ますます発展が見込まれる生成AIに関して、G検定取得を通じて体系的に学ぶことは、日々の業務効率化や画期的なアイデア創出など、多くのメリットをもたらすでしょう。
③AIプロジェクトでスムーズに意思疎通できる
G検定を取得すると、AIプロジェクトでの意思疎通が格段にスムーズになります。
AI関連業界では専門用語が頻繁に飛び交うため、知識がないと会話の内容を正確に理解できず、エンジニア、ビジネス担当者、デザイナーといった異なる職種間で認識のズレが生じがちです。
しかし、G検定の学習を通じてAIの基本概念や用語を学ぶことで、AIプロジェクトにおける専門用語も難なく理解できます。これにより、バックグラウンドが異なるメンバーでもスムーズに意思疎通でき、専門性の高い議論にも積極的に参加できるようになるでしょう。
企業の成功事例からG検定のメリットを検証

それでは、企業の成功事例からG検定取得のメリットを検証してみましょう。
ここでは、日本を代表する金融機関の一つであるSMBCグループ(三井住友フィナンシャルグループ)の成功事例をご紹介します。
全従業員を対象としたデジタル教育の推進
SMBCグループは2021年から、「作る人だけでなく使う人も含めた全従業員デジタル教育」を掲げ、約5万人の従業員を対象にしたデジタル変革プログラムを本格的に始動しました。
このプロジェクトでは、約9割の営業担当者がデータサイエンスの学習に積極的に参加しています。プログラム完了後は、顧客との商談でディープラーニングやデータ分析について深く議論する姿が多く見られるようになり、営業活動の質が向上しました。
G検定取得による営業担当者の成長
SMBCグループの営業担当であったAさんは、自身も含め、顧客との会話の中で「ディープラーニングの理解を深める必要がある」と感じている営業担当者が多いと感じていました。しかし、G検定に合格したことで、AIに関する知識に自信を持てるようになったとのことです。
結果として、顧客とのコミュニケーションがスムーズになり、商談の質も向上しました。現在、Aさんはデータマネジメント部へ異動し、データウェアハウスの整備やデータガバナンスの検討に携わり、今後はE資格取得を目指しています。
SMBCグループの事例から分かるG検定取得のメリット
SMBCグループの事例では、G検定の取得を通じて、多くの営業担当者が「知識への自信」を深め、業務への積極性が向上したという具体的なメリットが分かりました。
顧客との商談においてもAIやデータ分析に関する議論が活発になり、営業担当者の提案の幅が広がっています。これにより、DX推進の成果が明確に表れ、企業側も「競争力強化」というメリットを享受できたといえるでしょう。
さらに、学習を進める中で「より深く理解したい」という意欲が高まり、E資格取得を目指す方まで登場しています。SMBCグループのこの取り組みは、デジタル人材育成とリスキリングの重要性を示す好例です。
合格者体験談からG検定のメリットを検証

続いて、G検定の合格体験談からメリットを検証していきます。ここでは、育休期間を活用してG検定を取得し、キャリアチェンジを実現した方をご紹介しましょう。
AI技術の進化への危機感がきっかけ
フロントエンドエンジニアのIさんは、2人目の育児休業中にG検定を取得しました。そのきっかけは、AIやノーコードツールの発展により、「今後フロントエンドの技術だけで十分なのか」という疑問から生じた不安感でした。
そこで、政府主導のデジタル人材育成プログラム「マナビDX Quest」に参加。AI入門から機械学習、AIモデル構築・精度改善までの流れを学び、その後、G検定取得を目指しました。
育児と両立しながらG検定取得
Iさんは、「マナビDX Quest」で、1日4〜5時間の学習を継続していました。学習を進める中で、より体系的な知識を得る必要性を感じ、G検定の取得を目指すことに。育児と両立しながら2週間・40時間の集中学習を行い、見事合格を果たしました。
その後、さらに知識を広げるためにデータサイエンティスト検定も取得。復帰後は、社内のサービスデザイン部門への異動を予定されています。現在は、G検定合格者限定コミュニティ「CDLE」に参加し、最新技術の情報収集、および異業種の方たちとの交流を行っています。
Iさんの合格体験談から分かるG検定取得のメリット
この合格体験談から、G検定の学習のメリットは、キャリアプラン構築の機会創出につながることが分かります。「マナビDX Quest」、そしてG検定取得を起点とし、データサイエンティスト検定取得、社内における業務の幅拡大など、Iさんのキャリアは大きく広がりました。
さらに、資格取得後は「CDLE」というコミュニティに参加し、現在も学習を継続。「CDLE」で多彩な業界の人と交流されていることから、今後のさらなる躍進が期待されます。
G検定は取得しても意味がない?
G検定は、キャリアの幅を広げる有効な資格であるにもかかわらず、ネット上では「取得する意味がない」といったネガティブなワードも目につきます。
G検定は、なぜ取得する意味がないといわれるのでしょうか?
その理由として、AI実装や機械学習モデルの構築といった実践的スキルを直接測る資格ではないという点が挙げられます。また、類似資格が多く、差別化が難しいことも一因でしょう。
しかし、Iさんの事例から分かるように、AIの基礎を体系的に学べるG検定は、AI関連キャリアの土台づくりに適しています。
G検定を取得して、その後のステップアップを目指す方には、効率的にG検定合格を目指せるG検定対策講座を利用しましょう。基礎から応用までを網羅したオリジナルカリキュラムで、一人ひとりに寄り添いながら着実な合格をサポートしています。
G検定を取得するメリットはキャリアの拡大

上記の事例から、G検定を取得することで、新たな分野に挑戦し、キャリアの選択肢を広げられることが大きなメリットであると分かりました。
キャリアアップの機会創出
G検定の学習過程は、自身の将来について真剣に考える絶好の機会です。技術の進化が速い現代社会において、「今の仕事のままでいいのか」と不安を抱える人は少なくありません。
G検定は、そうした不安を払拭し、具体的な目標を見つけるきっかけを与え、新たな挑戦への原動力となる資格です。
コミュニティによるキャリアチャンス拡大
G検定合格者を対象とした「CDLE」は、最新のAI情報に触れながら、自然と「学び続ける」姿勢を養えるメリットの多いコミュニティです。「CDLE」で得たスキルの活用はもちろん、一期一会の出会いから思わぬキャリアチャンスを得る可能性も高まります。
自己成長を促し、そしてキャリアの可能性を広げるG検定は、将来の選択肢を広げるうえでも多彩なメリットを得られる資格といえるでしょう。
メリットの多いG検定を取得するには?
では、数多くのメリットが得られるG検定を取得するには、どのように学習すれば良いでしょうか?以下で詳しく解説しましょう。
G検定の一般的な学習の流れ
G検定の学習方法としては、以下の流れが一般的です。
- G検定に関する基礎知識を書籍や学習サイトで学ぶ
- G検定の問題集に取り組む
- 問題集を2~3周する
- G検定の過去問題に挑戦する
G検定の過去問題は、複数の学習サイトで提供されており、G検定を実施するJDLA(日本ディープラーニング協会)の公式サイトでも20問公開されています。
G検定の過去問を解ける学習サイトは、以下の記事で紹介しています。G検定の過去問題と解答・解説も記述しているので、過去問の理解を深めるためにもぜひご一読ください。
効率的にG検定合格を目指すには?
しかし、これらの学習を個人で進めると時間がかかり、過去問題で学習の壁に直面する方も少なくありません。効率的に学びたい方には、短期集中型のセミナーの活用が効果的です。
GETT ProskillのG検定対策講座は、短期間でG検定のシラバスを網羅するセミナーです。
カリキュラムは、AIの基礎知識から、ニューラルネットワークの仕組み、画像認識や自然言語処理の概念、ディープラーニングの応用、強化学習(DQN)まで幅広く学び、最終ステップとして模擬試験で実力を試せます。
学習形式は会場受講、ライブウェビナー、eラーニングの3種類から選べるので、会場に足を運べない方や多忙な方もこの機会にG検定取得を目指してみましょう。
G検定のメリットについてまとめ
今回は、具体的な事例を通してG検定取得のメリットを解説しました。体験談や事例からメリットを知ったことで、G検定に挑戦しようと感じた方がいるかもしれません。
G検定は試験範囲が広いものの、プロから実践的指導を受ければ短期間で合格を目指せます。
GETT ProskillのG検定対策講座は、効率的に合格を目指せるおすすめの学習カリキュラムです。この機会にG検定取得して、データ分析や企画立案など、幅広い分野で活躍できる可能性を広げましょう。