AIが急速に発展する現代において、AIに関する知識やスキルは、ビジネスパーソンにとって必須のものとなりつつあります。
そんな中、注目されているAI関連資格が、G検定とE資格です。
しかし、G検定とE資格の具体的な違いが良く分からない方もいるでしょう。
この記事では、G検定とE資格の違いを、難易度、合格率、学習時間、そして将来のキャリアパスまで、多方面から徹底調査しました。キャリアプランに合った資格を選択するためにも、G検定とE検定の違いをしっかり理解しておきましょう。
G検定とE資格とは
G検定とE資格は、日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する人工知能に関する資格試験です。急速に発展するAI時代に、企業がAIを効果的に活用するために欠かせない人材育成を目的としています。
G検定とE資格が誕生した背景
G検定とE資格の誕生には、深刻なAI人材不足が影響しています。
2012年以降、ディープラーニングの進歩により、画像認識や音声認識など、生活を大きく変える技術が次々と登場しました。この波に乗り、多くの企業がAIをビジネスに取り入れようと試みるようになります。
しかし、技術が高度化する一方で、AIを活用できる知識やスキルを持った人材、そしてAIシステムを開発できるエンジニアは圧倒的に不足していました。
この課題を解決するため、日本ディープラーニング協会(JDLA)は、AI人材の育成と日本のAI産業の発展を目的に、G検定とE資格という2つの資格を創設したのです。
G検定とE資格の目的の違い
まずは、G検定とE資格の目的と対象者の違いから解説しましょう。
G検定の目的
G検定の目的は、AIに関する広範な知識を持つ人材を育成することです。
具体的には、AIに関する専門的な知識だけでなく、ビジネスの知識や倫理的な側面など、多岐にわたる知識を総合的に理解し、AIをビジネスに活かすための橋渡し役となる人材育成を目的としています。
G検定の「G」は、「ジェネラリスト(generalist)」の頭文字から取られています。
ジェネラリストは、「幅広い分野の知識やスキルを持つ人」という意味があるため、G検定の目的を理解するためには、この「ジェネラリスト」という言葉を理解しておくと良いでしょう。
E資格の目的
E資格の目的は、AIエンジニアの育成です。
具体的には、ディープラーニングの理論や実装に関する深い知識とスキルを備えた人材を育成し、AIモデルの開発やデータ分析システムの構築といった高度な技術的な業務を遂行できる人材の輩出を目的としています。
E資格の「E」は、AIシステムの実装や開発を担う「エンジニア(Engineer)」が由来です。
つまり、G検定がAIに関する幅広い知識を持つ「ジェネラリスト」の育成を目指すのに対し、E資格はAIの技術的な側面に特化した「スペシャリスト」の育成を目的としています。
G検定とE資格の試験内容の違い
続いて、試験時間や受験料、受験資格など、G検定とE資格の基本的な試験内容の違いを比較してみましょう。分かりやすく一覧表にまとめたので、基本的な項目の違いを明確にしたい方はぜひチェックしてください。
項目 | G検定 | E資格 |
試験時間 | 120分 | 120分 |
出題数 | 160問程度 | 100問程度 |
問題形式 | 多岐選択式 | 多岐選択式 |
受験会場 | オンライン(自宅受験) | 全国の指定会場 |
受験資格 | 制限なし | JDLA認定プログラム修了者 (受験日から2年以内) |
受験料 |
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試験頻度 | 年2回(2月・8月) | 年6回(1月~隔月) |
認定試験開始年度 | 2018年 | 2017年 |
主な対象者 | AIジェネラリスト | AIエンジニア |
G検定とE資格は、試験時間や問題形式が同じである一方、受験料、受験会場、受験資格など、さまざまな点で違いが見られます。これらは、主に、両資格が対象とする層や求められる知識レベルの違いによるものです。
G検定とE資格の難易度の違い
資格取得を検討される方にとって、難易度の違いは最も気になるのではないでしょうか。以下では、G検定とE資格の難易度の違いについて詳しく見ていきます。
G検定の難易度
G検定の難易度は、AI関連資格の中では中~易程度です。
広範なAI活用の知識を問う一方で、プログラミングや技術的スキルは求められないため、JDLA公式サイトでも「比較的取り組みやすい検定」と明記されています。
また、ITスキル標準(ITSS)ではレベル2に相当し、上位者の指導を受けながら作業ができる人材、プロとしての基本的知識や技能を有するとされています。
E資格の難易度
E資格は、上記画像から分かるように、AI実装検定S級とA級の中間に位置づけられる高難易度な資格です。
深層学習の理論から実装まで、幅広い知識と実践力が求められ、JDLA認定プログラムの受講が受験条件であることから、その高度な専門性が裏付けられています。
ITスキル標準(ITSS)ではレベル3に相当し、独力で作業を遂行し、専門性を深めたプロフェッショナルとしての能力が期待される位置付けにあります。
E資格の難易度については以下の記事でも解説しています。
G検定とE資格の合格点・合格率の違い
結論からお伝えすると、G検定とE資格の合格点・合格率に大きな違いはありません。
違いが少ない背景には、E資格の受験必須要項であるJDLA認定プログラムによる体系的な学習支援が効果を上げているという要因が考えられます。
では、以下でG検定とE資格の具体的な合格点・合格率の違いを見ていきましょう。
G検定の合格点・合格率
G検定は、明確な合格点を公開していません。
ただし、一般的に70%程度の正答率が合格ラインの目安とされており、出題数が160問程度なので、112問以上正解すると合格という計算になります。
合格率は、2024年第3回試験では73.46%で、2024年第3回の直近5回の合格率の平均は71.06%でした。
E資格の合格点・合格率
E資格も具体的な合格基準は公表されていませんが、過去の合格実績から総得点の6割強が合格ラインと推測されています。
合格率は、2023年から2024年にかけて約68%~73%の間で推移しており、2024年第1回試験では1,194名の受験者中867名が合格し、72.61%の合格率となりました。
参照:JDLA「E資格(エンジニア資格)2024#1」結果発表
G検定とE資格の学習時間の違い
次は、G検定とE資格の学習時間の違いをお伝えします。
G検定は、比較的短期間で取り組め、E資格は長期間を要する傾向にありますが、学習時間には個人差が大きいため、あくまで目安として違いを見ていきましょう。
G検定の学習時間
G検定の学習時間は、JDLA(日本ディープラーニング協会)が行ったアンケートによると「30~50時間」が最も多く、全体の39%を占めていました。次いで「15~30時間」が23.7%、「50~70時間」が15.3%という結果となっています。
このことから、G検定は短期間で対策が可能な資格であることが伺えます。試験範囲は広いですが、技術的な詳細や数式の理解までは求められないため、文系出身者やAI初心者にとっても挑戦しやすい資格といえるでしょう。
G検定の学習時間については、以下の記事でも詳しく解説しています。
E資格の学習時間
E資格は、平均50時間のJDLA認定講座を事前に受講しなければいけないため、受験者の多くが学習に長期間を要しています。
JDLA認定講座の一つである「Study AI」のアンケート調査では、E資格の学習時間として「100~200時間」が45.59%、「200~300時間」が42.65%という結果が示されました。
300時間の学習時間を確保するには、1日2時間のペースで約5ヶ月かかる計算となるため、計画的な学習スケジュールと継続的な取り組みが重要であるといえるでしょう。
G検定とE資格のキャリアパスの違い
G検定は、AIに関する幅広い知識を有することで、AI関連の様々な職種へのキャリアパスが広がります。一方、E資格は、AI開発や実装を専門とするスペシャリストとしてのキャリア形成が主となる点が違います。
では、キャリアパスから両者の違いを詳しく見てみましょう。
G検定のキャリアパス
G検定を取得すると、AIの基礎知識を活かした業務に活躍の場が広がります。
特に、AIの知識を経営や戦略に応用する以下のような職種での活用が期待されます。
ITコンサルタント
クライアント企業のニーズに応じたAIソリューションの提案、およびシステム導入の計画をサポートする仕事です。AI活用によるリスクやコスト分析も行い、最適なプランを提供します。
プロジェクトマネージャー
AI技術を活用したプロジェクトの企画・運営を担当します。G検定で得た知識を用いて、チーム間のコミュニケーションを円滑化し、プロジェクトの成功に貢献するのが主な業務です。
ビジネスアナリスト
企業のデータ分析を行い、AI活用による新たなビジネスモデルの創出を支援するのが主な業務です。G検定で学んだAIの知識を基に、ビジネス課題を特定し、最適なAIソリューションを提案します。
E資格のキャリアパス
E資格は、AI技術の専門家としてのキャリア形成に直結します。
特に、実務レベルでAIシステムの設計・開発を行うキャリアパスが一般的です。
AIエンジニア
AIシステムの構築や既存システムへのAI導入を担当します。主な業務は、ディープラーニングや機械学習のスキルを活かした、精度の高いモデル開発やアルゴリズムの最適化などです。
システムアーキテクト
AIを含む全体的なシステム設計をリードします。E資格で学んだ技術を活かし、システムの効率化や耐久性を向上させる設計を行い、ビジネスに直結する成果を創出するのが主な業務です。
研究者・技術開発者
最先端のAI技術を研究し、新たなアルゴリズムやシステムを開発します。AI技術を進化させる役割が求められるポジションであるため、深い専門知識を位借りたキャリア形成が望める業種です。
G検定とE資格の違いを比較する際の注意点
G検定とE資格の違いを見る際は、以下の点に注意して比較検討することをおすすめします。
①目的を明確にする
G検定とE資格の違いを比較する際、まず「なぜAIの資格を取得したいのか」その目的を明確にしましょう。
例えば、AIの基礎知識を学びたい場合は、G検定がおすすめです。
AIの基礎知識があり、今後AIエンジニアとして活躍したい方は、E資格が良いでしょう。このように、目的によって選ぶべき資格は異なります。
また、初心者からAIエンジニアとしてキャリアアップを目指しているのであれば、G検定からE資格へ段階的にステップアップすると、スムーズに理解が進みます。
②スキルに合わせる
G検定とE資格の違いを比較する場合は、自身のスキルを考慮することも大切です。
G検定は、AIの基礎知識を広範に問われるため、プログラミングなどの専門分野に特化した経験がなくてもチャレンジできます。
一方、E資格は、事前にJDLA認定講座を受講しなければいけません。これは、事前に一定レベルのスキルを持っていないと受験できないことを意味します。まずは、自分のスキルレベルや目標を明確にし、自分に合った資格を選びましょう。
③学習時間を考慮する
G検定とE資格を比較する際は、学習時間についても考慮することが重要です。
一般的に、G検定の学習時間は30~50時間程度で、E資格は100時間以上かかるケースが多いとされています。
学習時間の違いが生まれる理由は、求められる知識の深さや幅の違いにあります。
学習時間を効率的に活用したい方は、セミナーの受講も検討してみましょう。
セミナーでは、経験豊富な講師から直接指導を受けられるので、短期間で効率的に知識を習得したい方に最適です。
ProSkilllでは、2日で合格を目指せるJDLA認定 G検定対策講座、4日間の短期集中学習を叶えるE資格対策ディープラーニング短期集中講座を提供しています。どちらもJDLA認定の質の高いカリキュラムで、学習スタイルは3種類(会場・オンライン・eラーニング)から選択可能です。
G検定とE資格の違いについてまとめ
G検定とE資格は双方ともAIに関する知識を測る資格ですが、難易度に大きな違いがあります。この難易度の違いは、それぞれの資格が目指すところ、つまり、資格を創設した目的に由来します。
より最適なキャリアプランを描くためにも、G検定とE資格の違いをしっかり把握することが重要です。AI関連職でキャリアを構築したい方は、G検定とE資格の合格を短期間でしっかりサポートしている以下のセミナーをご検討ください。
