「@○○」という記述を見かけたことはありませんか?これは、Javaプログラムにデータを付加する機能で、「Javaアノテーション」と呼ばれています。
Javaアノテーションは、コードを分かりやすくする、コードを自動で処理するなど、プログラミングにおいてさまざまな効果を発揮します。
それでは、Javaアノテーションについてさらに詳しく分かりやすく解説していきましょう。
Javaアノテーションとは
Javaアノテーションとは、コードに「@」を付けて追加情報を書き込む機能です。
アノテーションを使いコードにメタデータ(付加情報)を埋め込むと、プログラミング時にコード検査やコード生成、または特別な処理を実行できます。
わかりやすくいうと、Javaアノテーションはコードの見通しを良くし、保守性や拡張性を高める役割を持っています。
「Javaアノテーション」を理解するにあたり、まずは以下の3項目について解説しましょう。
- Javaとは
- アノテーションとは
- Javadocとは
①Javaとは
Javaとは、プログラミング言語の名称です。
「Python」「C++」と同じくGoogle三大言語の一つで、アプリ開発やゲーム開発、Web開発など幅広く活用されています。さらに、ビッグデータ処理も得意とし、大規模なシステム開発に使われることも多い汎用性の高いプログラミング言語です。
Javaと同じく人気の汎用プログラミング言語・Pythonについて詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。
②アノテーションとは
アノテーションとは、データに情報を付加する作業のことです。
テキストはもちろん、音声、動画など幅広いデータに対応し、AI開発に欠かせない機械学習においてもアノテーションの技術が活用されています。
アノテーションとは英語で「annotation」と表記します。
本来「注釈付け」「注解」という意味がありますが、プログラミングの技術用語として使われることが多いです。
③Javadocとは
Javadocは、Javaコードに付けられたコメントから自動でテキストを生成するツールです。
例えば、開発者がコードにコメントを書いておけば、Javadocがそのコメント内容を細かく解説した文書を作成してくれます。
また、コードの意図や動作が明確になるため、複雑なコードや他の開発者が書いたコードを理解する場合に役立ちます。
Javaアノテーションの種類
Javaアノテーションの主な種類 | 内容 |
マーカーアノテーション | クラスやメソッドにマークをつけ特定の条件・機能を示す |
単一アノテーション | 一つの要素に対して情報を追加する |
フルアノテーション | すべての要素に対して情報を追加する |
型パラメータ制約アノテーション | ジェネリック型(複数のデータ型に対応する型)に条件を追加 |
型変換アノテーション | オブジェクト(データと機能のパッケージ)を別の型に変換する |
テスト関連アノテーション | テスト対象に準備・後処理を指示しする |
Javaアノテーションにも複数の種類があり、分からなくなったら上記の表を参考にしてください。
主によく使われるのはマーカーアノテーションや単一アノテーションですが、他にもJavaプログラミングを便利にするアノテーションはたくさんあります。
全て覚えておくと、Javaプログラミングの精度や他人が見た時のプログラミングの綺麗さが目立つのでとてもおすすめです。
Javaアノテーションを使ったコード例
Javaアノテーションを使ったコードは数々あります。
続いて、上記の表でお伝えしたアノテーションを使った簡易なコードを3つ紹介します。
- マーカーアノテーション
- 単一アノテーション
- フルアノテーション
①マーカーアノテーション
Javaでのマーカーアノテーションは下記のように使います。
// マーカーアノテーションの定義
@interface MyMarkerAnnotation {}// マーカーアノテーションを使用するクラス
@MyMarkerAnnotation
public class MyClass {
// クラスの内容
}
②単一アノテーション
Javaでの単一アノテーションはこのように使いましょう。
// 単一アノテーションの定義
@interface MySingleAnnotation {
String value();
}// 単一アノテーションを使用するクラス
public class MyClass {
// 単一アノテーションをフィールドに使用
@MySingleAnnotation(“This is a single annotation”)
private String myField;
}
③フルアノテーション
Javaのフルアノテーションの例はこちらになります。
// フルアノテーションの定義
@interface MyFullAnnotation {
String name();
int value();
}// フルアノテーションを使用するクラス
public class MyClass {
// フルアノテーションをメソッドに使用
@MyFullAnnotation(name = “example”, value = 10)
public void myMethod() {
// メソッドの内容
}
}
それぞれのJavaアノテーションは上記のように使います。基本的なコーディングを覚えておきましょう。
Javaアノテーションの仕組み
本項では、Javaアノテーションの仕組みについて解説します。
①Javaアノテーションの基本的な構文
Javaアノテーションは、「@」からはじまり、アノテーション型と要素値を指定する構文です。
Javaアノテーションは簡潔な構文で、型さえ覚えれば簡単にメタデータを付加でききます。
基本的な構文は次の2つです。
- @アノテーション型
- @アノテーション型()
アノテーション型の後ろに()が続く場合は、アノテーションの要素値(要素名1⇒値1, 要素名2⇒値2など)を指定できます。
要素値には、プリミティブ型(基本的なデータ型)の値、文字列、配列などを指定できます。
また、「@Annotation1」と「@Annotation2」のように、複数のアノテーションを組み合わせて使うこともできます。
②アノテーションの記述場所
アノテーションは、以下の6つの宣言の直前に記述します。
- パッケージ(ファイルのまとまり)
- クラス(データや機能のまとまり)
- メソッド(処理の集まり)
- フィールド(データを格納する変数)
- コンストラクタ(オブジェクト生成時に実行される処理)
- 変数(データを一時的に格納する場所)
このように、アノテーションは「@」の後にアノテーション名を記述し、要素値を指定し特定コード要素の直前に配置する仕組みとなっています。
Javaアノテーションの効果的な使い方
次は、Javaアノテーションの効果的な使い方について解説します。
- コード品質のチェック
- コード解析の効率化
①コード品質のチェックに使う
Javaアノテーションを使えば、コード品質を向上できます。
例えば、@Overrideアノテーションを使うと、オーバーライド(親クラスのメソッドを子クラスで独自に書き換える)に違反しているときは、「コンパイルエラー」になります。
Javaアノテーションを使うと、オーバーライドの正誤チェックができるため、「人的ミスを防ぎたい」「品質の高いコードを作成したい」という方におすすめです。
②コード解析の補助として使う
Javaアノテーションは、プログラムのコードにメモを書き込むことで、コード解析ツールの理解を促してくれます。
例えば、メソッドの役割や意図をアノテーションで説明しておけば、ツールがそれを認識して的確な指摘や警告をします。さらに、アノテーションの情報をもとに自動でテキストを生成することも可能です。
Javaカスタムアノテーションの作り方
Javaは、オリジナルのカスタムアノテーションを作ることができます。
Javaカスタムアノテーションを活用すると、既存のアノテーションに不足機能を追加できます。プログラムをより効率的に開発できる便利な手法です。
Javaカスタムアノテーションを作成する手順は以下の通りです。
①アノテーションの名前と要素を宣言する
最初に、「@interface」でアノテーションの名前と要素(メンバ変数)を宣言します。
プリミティブ型、文字列、配列などなどの要素を設定できます。
@interface MyAnnotation {
String message(); // 要素:メッセージ
int value() default 10; // 要素:値(デフォルト値あり)
}
②カスタムアノテーションを付与する
定義したカスタムアノテーションを、クラス、メソッド、フィールドなどに付与します。
要素には、引数(アノテーションの情報)を書き込みましょう。
@interface MyAnnotation {
String message(); // 要素:メッセージ
int value() default 10; // 要素:値(デフォルト値あり)
}
Javaカスタムアノテーションの特別な処理方法
自分で作ったカスタムアノテーションは、プログラム実行時などに参照されます。
その際、あらかじめ決めておいた特別な処理を実行できます。
例えば、以下のような処理の設定が可能です。
- デバッグ情報(プログラムの動作状況を説明する情報)の出力
- プログラムに入力された値の正誤をチェック
- プログラムコードの自動生成など
それ以外にも、開発者自身が考えた独自の処理を行うことができます。
このように、カスタムアノテーションを使えば、プログラムにオリジナル機能を追加できます。つまり、開発者の書き込み次第で、プログラムの動作を自由にカスタマイズできるのです。
Javaアノテーションの学習方法
最後に、Javaアノテーションのおすすめな学習方法を紹介しましょう。
Javaアノテーションについて詳しくなりたい人はぜひ下記の学習方法を試してみてください。
①公式ドキュメントを使う
Javaアノテーションは、公式ドキュメントを使って学ぶことができます。
公式ドキュメントとは、Javaの開発元・Oracleが提供しているJavaの使い方を解説したテキストのことです。Javaの開発チームが直接執筆しているため、正確で信頼性が高く、最新の仕様が確実に反映されています。
ただし、内容が専門的で若干分かりにくく、実例も少ないです。公式ドキュメントは、書籍や動画講座と併せて学習すると効果的でしょう。公式ドキュメントは、Javaの公式サイトで無料公開されています。
②学習サイトを活用する
Javaアノテーションは学習サイトを活用して学ぶこともできます。
学習サイトのメリットは、先述した公式ドキュメントより解説が分かりやすいこと、初心者や中~上級者など、それぞれのレベルに合わせて選べることです。
ただし、利用するサイトによって信頼性の差があります。
情報が不正確、または情報が古い場合があるので注意しておきましょう。
③Java系のセミナーを利用する
Javaアノテーションの学習方法には、Javaが学べるセミナーを利用することも効果的でしょう。
セミナーでは、プログラミングのプロ講師から直接指導を受けられます。
講義での質疑応答や効果的なカリキュラム、実技課題を通して、効果的にプログラミングスキルが習得できます。
ただしセミナーは利用料金や受講期間、受講スタイルなどそれぞれ異なるので、利用前にはしっかりリサーチしておきましょう。
④G検定を受験する
Javaアノテーションの学習方法として、G検定取得を目指すのも良いでしょう。
G検定は、近年注目されている人気のAI資格です。
Java言語における基礎知識やJavaアノテーションはもちろん、プログラミングに対する考え方や問題解決能力ど、AI関連の広範なスキルが身につきます。
AI研究所の「JDLA認定 G検定対策講座」は、わずか1日間の短期集中型セミナーです。
初心者でも気軽に参加できる分かりやすいカリキュラムで、個人のスキルアップや企業研修などさまざまな方が利用しています。
セミナーを利用してG検定取得を目指している方はぜひ参考にしてください。
Javaアノテーションについてまとめ
「Javaアノテーション」は難しく感じるかもしれませんが、構文はシンプルで記述も簡単です。Javaアノテーションなど、プログラミングのスキルアップには、G検定取得もおすすめですよ。
「JDLA認定 G検定対策講座」では、3つの学習方法でG検定合格を徹底サポートしています。
就職・転職にも役立つ人気のG検定を取得して、Javaアノテーションの理解を深めてみてはいかがでしょうか。
