ビジネスにおけるデータ活用とは、データを分析し、その結果を意思決定や業務改善につなげる取り組みです。ビジネスで成果を出すには、正しい手順で進めることが大切です。
本記事では、ビジネスにおけるデータ活用の進め方をご紹介します。ビジネスにおけるデータ活用の事例や成功させるポイントも解説しているので、ぜひご一読ください。
ビジネスにおけるデータ活用とは
ビジネスにおけるデータ活用とは、企業が持つさまざまなデータを集めて分析し、その結果を意思決定や業務改善、売上向上などにつなげる取り組みです。行政では、データ利活用と表記されることも多いですが、ビジネスの現場ではほぼ同じ意味で使われます。まずは、ビジネスにおけるデータ活用の基本を解説します。
- データ活用とデータ分析の違い
- データ活用が注目される背景
- ビジネスで活用できるデータの種類
ビジネスでデータ活用を進める前に、基礎を押さえておきましょう。
データ活用とデータ分析の違い
データ活用とデータ分析の違いは、ゴールをどこに置くかです。
| 項目 | データ活用 | データ分析 |
|---|---|---|
| 目的 | ビジネス課題の解決・成果の創出 | データから傾向や法則を読み取る |
| 範囲 | 目的設定から施策の実行・効果検証まで | データの集計・可視化・解析 |
| ゴール | 施策を実行して成果を出す | 分析結果から示唆を得る |
データ分析は蓄積したデータを掘り下げて事実や傾向を読み解く作業、データ活用は分析結果をビジネスアクションや意思決定に結びつける取り組みそのものを意味します。つまり、データ分析はデータ活用を実現するための手段であり、ビジネスにおけるデータ活用のプロセスの一部といえるでしょう。
データ活用が注目される背景
データ活用が注目される背景には、デジタル技術の普及とデータを活用しきれていない日本企業の現状があります。近年ではクラウドやIoT機器の普及、AIの活用によって、ビジネスにおけるデータの収集と分析が容易になりました。
しかし、総務省の調査によると、パーソナルデータを活用できている日本企業は52.8%と、約半数にとどまります。データを活かせる環境は整っているのに、それを十分に使いこなせていない企業が多いため、ビジネスにおけるデータ活用が注目されているのです。
ビジネスで活用できるデータの種類
ビジネスで活用できるデータは大きく4種類に分けられます。
| データの種類 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| オープンデータ | 国や自治体が公開しているデータ | 人口統計、気象データ、地図情報 |
| 知のデジタル化 | 企業のノウハウや暗黙知をデータ化したもの | 熟練者の技術、作業手順 |
| M2Mデータ | 機械やセンサーから自動で集まるデータ | 工場設備の稼働データ、センサーの計測値 |
| パーソナルデータ | 個人の属性や行動に関するデータ | 顧客情報、購買履歴、Webの閲覧履歴 |
いずれも膨大な量になりうるデータで、まとめてビッグデータと呼ばれます。
ビジネスにおけるデータ活用のメリット
データ活用はビジネスにさまざまな効果をもたらします。主なメリットは以下の3つです。
- 迅速かつ的確な意思決定
- 業務効率化とコスト削減
- 売上向上や新たなビジネスチャンスの創出
ビジネスにおけるデータ活用がもたらす効果を把握したい方は、参考にしてください。
①迅速かつ的確な意思決定
ビジネスにおけるデータ活用のメリットは、根拠のある判断を素早く下せるようになることです。ビジネスの現場で勘や経験に頼った判断は、担当者によって結論がぶれやすく、周囲を説得するのにも時間がかかります。売上や在庫の推移を数字で示せれば、判断の根拠が明確になり、関係者の合意も得られやすくなるでしょう。
②業務効率化とコスト削減
ビジネスでデータを活用すれば、業務のムダが数字で見えるため、作業時間やコストの削減につなげられます。例えば、工程ごとの作業時間や処理件数を集計すれば、どの業務に時間がかかっているかを特定できます。また、需要を予測して在庫の過不足を減らせば、保管コストや廃棄ロスの削減につなげることも可能です。
③売上向上や新しいビジネスチャンスの創出
売上向上や新しいビジネスチャンスの創出につなげられるのも、ビジネスにおけるデータ活用の利点です。例えば、購買履歴から売れ筋商品を把握して仕入れを増やせば、販売機会を逃さず売上を伸ばせます。
また、問い合わせ内容を分析すれば、提供していない商品やサービスへのニーズが見つかり、新しいビジネスチャンスにつながるでしょう。
ビジネスにおけるデータ活用の成功事例

データ活用は、業務効率化やコスト削減など、ビジネスにおいてさまざまな成果をもたらしています。本章では、ビジネスにおけるデータ活用の代表的な事例をご紹介します。
- 食品ロスを72.8%削減
- 設備稼働率を25%向上
- 見積作成時間を2時間30分短縮
それぞれ見ていきましょう。
食品ロスを72.8%削減
老舗食堂ゑびやは、データにもとづく来客予測で、食品ロスを72.8%削減しました。同社は過去の売上実績や気象情報、周辺の宿泊データなどをAIで分析し、翌日の来客数を予測しています。予測をもとに仕入れや仕込み量を調節した結果、廃棄の削減に成功しました。
※出典:公益社団法人関西経済連合会|ICT・IoT・AI等活用事例集
設備稼働率を25%向上
三友製作所は、設備の稼働データを見える化し、設備稼働率を25%向上させました。同社は生産管理システムの導入により、作業者ごとのやり方の違いをデータで確認できるようにしています。そして、そのデータをもとにムダを省き、優れた作業方法を標準化しました。
※出典:公益社団法人関西経済連合会|ICT・IoT・AI等活用事例集
見積作成時間を2時間30分短縮
最後は、ベテランのノウハウをデータ化して、見積作成時間を1件2時間30分短縮したIBUKIです。同社はベテランの考え方を言語化してデータとして蓄積し、それをAIに学習させることで、見積を自動で作成できるようにしました。その結果、複数の担当者が見積を作成できるようになり、ベテランの負担も軽減されました。
※出典:公益社団法人関西経済連合会|ICT・IoT・AI等活用事例集
製造業の事例をより多く知りたい方は、以下の記事でご紹介しているので、あわせてご覧ください。
ビジネスでデータ活用を進める手順
ビジネスでデータ活用を進めるときは、以下の手順で取り組むのが基本です。
- 目的と課題を明確にする
- データを集める
- データを整理する
- データを可視化・分析する
- 施策を実行する
- 効果を検証して改善する
順に見ていきましょう。
①目的と課題を明確にする
まずは、何のためにデータを活用し、ビジネス上のどのような課題を解決したいのかを明確にします。目的が曖昧だと、集めるデータや分析の方向が定まらず、期待どおりの成果を得られにくくなります。
問い合わせ対応の時間を半分にしたい、営業の成約率を10%上げたいなど、具体的な数値目標を決めておくと、効果を測りやすくなるでしょう。
②データを集める
目的と課題が決まったら、ビジネス課題の解決に必要なデータを社内外から集めます。問い合わせ対応の時間を短縮したいなら、問い合わせの件数や内容、対応にかかった時間などのデータが必要です。
社内のデータだけで足りない場合は、国や自治体のオープンデータも活用しましょう。
③データを整理する
次に、集めたデータを分析に使える形に整えるデータクレンジングを行います。表記ゆれや重複、空欄などがあると、データを正しく集計できないためです。取引先名が「(株)ABC」と「株式会社ABC」で混在している場合は、どちらかに統一します。
データクレンジングの基本を学びたい方は、GETT Proskillのビジネス向けデータ活用セミナーがおすすめです。表記の統一やデータ結合など、実務で使えるデータの管理手法を基礎から学習できます。
④データを可視化・分析する
整えたデータは、グラフや表にして見える化し、その傾向や原因を読み取ります。例えば、問い合わせ内容をグラフにすると、件数の多い項目が一目でわかります。そして、対応時間のデータと比べれば、どの問い合わせに時間がかかっているのかを特定でき、改善すべきポイントが見えてくるでしょう。
Excelでグラフや表を作る方法については、以下の記事で解説しているので、参考にしてください。
⑤施策を実行する
分析でビジネス上の課題が見えたら、改善のための施策を実行します。時間のかかる問い合わせの多くが同じ内容なら、よくある質問をQ&Aにまとめたり、回答のテンプレートを用意したりするとよいでしょう。
⑥効果を検証して改善する
施策を実行したら、最初に決めた数値目標と比べて効果を検証します。Q&Aを用意したあとに、問い合わせの対応時間がどれだけ減ったかを確認し、半分に届いていなければ、原因を分析して施策を見直しましょう。施策の実行と検証、見直しを繰り返すことで、ビジネスにおけるデータ活用の精度が高まっていきます。
ビジネスでデータ活用を成功させるポイント
ビジネスでデータ活用を成功させるには、取り組み方に工夫が必要です。特に意識したいポイントは、以下の3つです。
- 小さく始めて段階的に広げる
- セキュリティ対策を徹底する
- データを扱える人材を育成する
それぞれ見ていきましょう。
①小さく始めて段階的に広げる
ビジネスにおけるデータ活用は、最初から全社で大規模に取り組むのではなく、小さく始めるのがポイントです。まずは1つの部署や業務に絞り、手元にあるデータで成果を出してから、対象を広げていきましょう。小さな範囲であれば、うまくいかなかった場合でも修正しやすくなります。
②セキュリティ対策を徹底する
ビジネスでデータ活用を進める際は、セキュリティ対策を徹底することが大切です。データを扱う社員が増えると、誤った更新や情報漏えいのリスクが高まるためです。まずは誰がどのデータを管理し、どう扱うのかというルールを決めましょう。
特に顧客情報を扱う場合は、アクセスできる社員を限定するなど、より慎重な管理が求められます。
③データを扱える人材を育成する
ビジネスでデータを扱える人材の育成も欠かせません。総務省の調査でも、ビジネスにおけるデータ活用の課題として、データを取り扱う人材の不足を挙げる企業が多く見られます。研修やセミナーなどを活用し、社員がデータを扱うスキルを身につけられる体制を整えましょう。
ビジネス向けデータ活用セミナーでスキルを高める
ビジネスにおいて、社員のデータ活用スキルを高めたいなら、GETT Proskillのビジネス向けデータ活用セミナーがおすすめです。同セミナーでは、データを分析に使える状態に整え、正しく管理し続けるための方法を学べます。ポイントは以下のとおりです。
- 初心者でも基礎から無理なく学べる
- 実践的な演習で学んだ内容をすぐに業務で活かせる
- eラーニングなので自分のペースで学べる
個人的には、データクレンジングだけでなく、入力規則や運用ルールによる品質管理まで学べる点に魅力を感じました。一度整えたデータが再び崩れない仕組みを作れば、データを整える手間が減り、分析や施策の検討に使える時間が増えます。その結果、ビジネスでデータ活用を成果につなげやすくなるでしょう。
| セミナー名 | ビジネス向けデータ活用セミナー |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 11,000円〜 |
| 受講形式 | eラーニング |
データ活用ビジネスについてまとめ
ビジネスにおけるデータ活用とは、データを分析し、その結果を意思決定や業務改善などにつなげる取り組みです。ビジネスで成果を出すには、目的と課題を明確にしたうえで、データの収集から施策の実行、効果の検証まで順に進める必要があります。
特に、データクレンジングはビジネスにおけるデータ活用の成功を左右する重要な要素です。データクレンジングの基本を身につけたい方は、当記事でご紹介したセミナーの受講を視野に入れてみてはいかがでしょうか。