IT 【2026】製造業DXとは?進まない理由や課題点・成功事例10選・展示会も紹介

【2026】製造業DXとは?進まない理由や課題点・成功事例10選も紹介

AI・ITをはじめとしたデジタル技術の進化や、中国のレアアース輸出制限、中東情勢の悪化による原油不足など、製造業を取り巻く環境は技術・社会の両面で目まぐるしく変化しています。

本記事では、こうした状況下で注目されている「製造業DX」について解説します。製造業DXが進まない理由、製造業DXの成功事例も紹介するので、「製造業DXを自社でも取り入れたい」という企業様は、ぜひご一読ください。

製造業DXとは?

製造業DXとは?

製造業DXとは、デジタル技術を活用し、製品やサービス、ビジネスモデルそのものを刷新して、持続的な成長力を築く取り組みです。「製造業DX」というと、「最新ITやAIを導入すること」と取られがちですが、これはあくまで製造業DXの一端にすぎません。

「DX」とはそもそもデジタル技術を通じて事業の仕組み自体に変革を起こすことを意味します。つまり、デジタル技術を用いて、その先にある「ビジネスモデルの変革」を成し遂げて初めて製造業DXが完結するのです。

製造業を取り巻く現状と国際情勢の変化

製造業を取り巻く環境の急激な変化への対処

近年、各国の保護主義的な政策強化など、絶え間なく変化する世界情勢の中、製造業においてもその影響は避けられず、先行きの予測は極めて困難です。

2026年版「ものづくり白書」によると、事業者に大きな影響を与えた国際情勢の出来事の上位は以下の3つでした。なお、()内は影響を受けたと回答した事業者の割合です。

  • 2025年の米国関税措置(47.4%)
  • 2022年以降の米国による対中半導体規制強化(18.0%)
  • 2025年の中国レアアース輸出制限(17.9%)

不安定な国際情勢の中、経済安全保障の取り組みを実施している企業の割合は、2024年度の38.2%から、2025年度には55.6%へと大幅に増加しており、多くの企業がリスクへの対応を強化している現状も明らかになりました。

このように、刻一刻と変化する国際リスクに立ち向かう手段こそが、製造業DXなのです。

参照:2026年版ものづくり白書

製造業DXが必要な理由

製造業DXが必要とされる理由は、上記のような社会情勢への適応に加え、深刻化する人材不足への対応や、製品・サービスの向上など、さまざまな目的があります。

製造業DXが必要である理由の詳細は、以下の表にまとめました。

項目 理由
労働力不足 団塊世代の大量退職、団塊ジュニア世代の高齢化による人手不足の加速
技術継承 熟練技術者の退職が進む中、属人化してきた技術を次世代へ残す必要性
顧客対応 データが散らばった従来の方法では、ニーズの多様化や短納期化に対応不可
ニーズの変化 新たなサービス(リアルタイムデータを用いた運用・保守など )へのニーズの高まり

このように、製造業でのDX推進の必要性は多岐にわたりますが、「DXを推進できる人材がいない」という企業様もいらっしゃるでしょう。

カスタマイズプランで効率的に製造業DXを進めよう!

DX研修・人材育成サービスは、会社全体のDXレベル測定からスタートし、60を超える豊富なカリキュラムから貴社に最適な研修プランをご提供します。DX人材育成も迷わず進められる総合的な支援サービスです。

以下の記事では、「そもそもDX人材とは?」という疑問を解決できるよう、定義や、具体的な職種を分かりやすく解説しているので、DX人材育成計画時のヒントにぜひお役立てください。

【2026】「DX人材がいない」ではもう遅い?今こそ企業が備えるべき人材戦略とは

製造業DXが進まない理由は?

製造業DXを進める際には、経営層と現場の温度差、DXへの理解不足などいくつもの障壁が存在します。ここでは、製造業DXが抱える課題点をもとに、進まない理由を解説しましょう。

  1. トップと現場がうまく噛み合っていない
  2. 縦割りの組織ではDXが進みにくい
  3. ツールを導入することが目的になっている

①トップと現場がうまく噛み合っていない

トップと現場という両輪がうまく噛み合わないことが、製造業DXが進まない理由の一つです。たとえば、製造業DXを進めるにあたり、トップが「DXを進めたい」と考え、一方的にDXを推進しても現場にはなかなか浸透しません。

反対に、現場だけが「やってみよう」と動いても、会社全体にその意思が広がらなければ、DXは進みません。こうした企業内の温度差が、製造業DXを進めるうえでの課題となっています。

②縦割りの組織ではDXが進みにくい

日本企業では、組織が縦割り(部門ごとに仕事や目標が異なる)になっているケースが多く見られます。特に製造業では、設計、生産、品質、販売など部門が多岐にわたるため、業務やデータも部門ごとに分かれがちです。

その結果、部門をまたいだ情報共有が進みにくく、DXを進めても部門ごとの取り組みにとどまり、会社全体の変革につながりにくいことが課題となっています。

③ツールを導入することが目的になっている

製造業DXが進まないのは、「デジタルツール導入=DX」という勘違いです。デジタルツール導入はDX化への手段であり、具体的には以下のようにDXの第一段階「デジタイゼーション」にすぎません。

①デジタイゼーション 個別業務や紙のアナログデータのデジタル化
②デジタライゼーション プロセス全体のデジタル化による業務効率化
③デジタルトランスフォーメーション(DX) ビジネスモデル自体の変革

つまり、「最新デジタルツールを導入すれば、自ずと製造DXが完結する」というわけではなく、自らで業務プロセスを改革する姿勢がなければ、製造業DXは道半ばで頓挫してしまうのです。

製造業DXの成功事例5選

製造業DXの成功事例5選

製造業のDXには、さまざまな壁や試練が存在しますが、それを乗り越えて見事に成果を上げている成功事例も数多くあります。ここでは、経済産業省などが選定した「DX銘柄2026」の中から、「製造業DX」に関連する上位5企業をご紹介しましょう。

企業名 主な製造業DXの特徴
①ブリヂストン AI×シミュレーションで新製品開発、デジタル人材拡大
②ミスミグループ本社 AI認識×無人製造で量産対応を強化
③キリンホールディングス 生成AIで商品開発を高速化(嗜好AIなど)
④旭化成 全社的なDX教育・生成AI活用の基盤構築
⑤花王 AI需要予測で生産最適化・個別提案「My Kao」の開発

①ブリヂストン

ブリヂストンは、2026年に「DXグランプリ」に初選定され、DX銘柄には7年連続で選定された製造業DXをけん引する企業です。同社は、「タイヤを作って売る」から「タイヤを使う段階で価値を生み出す」といった目標をもとに、独自の製造業DXに取り組んでいます。

具体的には、製造現場から得た市場・顧客データや経験則、開発データに、AIやシミュレーションなどのデジタルを融合しました。そこで誕生したタイヤが、次世代型の「BLIZZAK WZ-1」、空気補填がいらない「AirFree」です。

さらに製造業DXの一環として、2024年末時点で約1,750人のデジタル人材を、2026年末には2,000人レベルまで増やす計画も進めています。

参照:株式会社ブリヂストン

②ミスミグループ本社

ミスミグループ本社は、「AI×ものづくり」を全ての事業環境の前提と位置づけた取り組みを評価され、2026年に「DXグランプリ」に選定されました。ブリヂストンと並ぶ、製造業DXを代表する企業の一つです。

同社では、3DCADデータのAI認識や無人製造などの製造DXに取り組み、少量多品種・短納期という従来の強みに加え、量産ニーズにも対応できる「無限大のものづくり」へと事業領域を広げました。

こちらの製造業DXで特徴的なのは、いずれもAIを活用していることです。加えて、経営トップがDXを主導し、デジタル人材の育成にも継続的に取り組んでいることです。今後も、この製造業DXを通じて「世界のものづくり産業を支える基盤」の実現を目指しています。

参照:株式会社ミスミグループ本社

③キリンホールディングス

ビールや飲料で有名な製造業を代表するキリンホールディングスは、長期経営構想「Innovate2035!」と「KIRIN Digital Vision 2035」など独自の取り組みが評価され、2026年に「DX銘柄」に選定されました。

同社の製造業DXでは、生成AI活用を推進し、2025年にはグループ全体のAI利用率が70%以上、AIによる業務代替率も10%を超えました。

これにより、消費者の「おいしさ」を分析する「嗜好AI」を開発し、主力商品「晴れ風」の商品開発にも活用。DXを商品開発に取り入れ、新たなキリンブランド構築につなげています。

参照:キリンホールディングス株式会社

④旭化成

2021年以降、6年連続で「DX銘柄」に選定された旭化成は、AI・データ活用の基盤整備やDX人材の育成、3事業領域をまたいだ無形資産の活用などを軸に、製造業DXを全社で進めています。

DX人材の育成では、全社員を対象に5段階の「オープンバッジ制度」を導入。生成AIにも力を入れており、社内に蓄積されたノウハウや品質情報などを共有・活用しています。さらに、社員向けのセミナーやハンズオンも実施し、生成AIの活用を全社へスピーディーに広げています。

参照:旭化成株式会社

⑤花王

花王の製造業DXでは、AIで販売実績、商品の特性やSNSの動きを分析し、新商品の発売前から販売後までの需要を予測しています。必要な分だけ生産することで、欠品や作りすぎによる在庫の増加・廃棄を抑えるといった製造業DXを推進しています。

さらに、製造業DXの取り組みの一つ「My Kao」では、Web上の行動履歴や購買履歴などを分析し、一人ひとりに合わせた提案を実施。生活者の反応を商品・サービスに活かすことで、生産から販売までをデータでつなぐ製造業DXを進めています。

参照:花王株式会社

製造業でDXを成功させる3つのコツ

製造業でDXを成功させる3つのコツ続いて、上記の事例を踏まえて製造業でDXを成功させるコツを3つ解説しましょう。

  1. 中長期的な視点で取り組む
  2. 経営層と現場が同じ方向を向く
  3. DX人材を社内で育成する

①中長期的な視点で取り組む

2026年版ものづくり白書では、製造業において経済安全保障上のリスクを抑えるには、短期的なコスト削減にとらわれず、中長期的な観点で経営判断を行うことが示されていました。

先ほどの成功事例の一つ、製造業を代表するブリヂストンのDXでは、タイヤを「作って売る」だけでなく、タイヤを使う段階まで含めていたように、製造業DXは、将来の事業環境を見据えて取り組むこと、一時的な業務改善で終わらせないことが重要なのです。

参照:2026年版ものづくり白書

②経営層と現場が同じ方向を向く

製造業DXを進めるには、経営層がDXの方向性を示し、現場とともに目的を共有することも重要です。DX銘柄グランプリに選ばれた「ミスミグループ本社」では、経営トップがDXを主導し、3DCADデータのAI認識や無人製造などの取り組みを進めていました。

もし、「製造業DXを一部の担当者だけに任せている」という状況であれば、製造業におけるDX成功の妨げになっているといえるでしょう。

③DX人材を社内で育成する

製造業DXを成功させるには、導入したデジタル技術を使いこなせる人材、DXを推進できるリーダーも必要です。製造業でのDXを外注任せにしていると、社内にDXのノウハウが蓄積されず、トラブルや仕様変更にも迅速に対応できません。加えて、継続的な外注コストもかかります。

旭化成がDX人材の育成に際し、社員向けのセミナーやハンズオンを実施しているように、外部に任せきりにせず、自社でDXを継続できる体制を整えることが成功のポイントです。

自社に最適なプランで製造業DXを加速させよう!

DX研修・人材育成プログラムしかし、社内で製造業DXを推進できる人材を増やしたくても、「自社だけでセミナーやハンズオン研修を企画するのは難しい……」という企業様もいらっしゃるでしょう。

そんなときにおすすめなのが、自社の課題に合わせて研修をプランニングできるDX研修・人材育成サービスです。

当研修のカリキュラムは、AI・IT・プログラミングなどの専門分野から、全社員向けのDXリテラシーまで60以上。学習形式も自社のニーズに合わせてカスタマイズできます。さらに、研修には厚生労働省の「人材開発支援助成金」を活用できるため、費用を抑えながら、必要なDX人材を効率的に育成できます。

DXに対応する研修会社は、他にも数多くあります。以下の記事で複数紹介しているので、多くのDX研修で比較したい企業様はぜひご一読ください。

【2026】おすすめのDX研修会社10選!自社に合った選び方と比較ポイントを解説

製造業DXの進め方

製造業DXはどのように進めたらいいのでしょうか。まずそこで迷う方もいるかと思います。

製造業DXは、いきなりゴールを目指すのではなく、以下の4つのステップで着実に進めていくことが重要です。では、製造業DXの基本的な流れをお伝えしましょう。

  1. デジタルツールの導入
  2. デジタル情報の活用
  3. 業務の効率化
  4. 新たなサービスの創出(DX)

ステップ1. デジタルツールの導入

製造業DXは、まずデジタルツールを導入することからはじめましょう。これは、紙を使った現場の生産記録や検査データといったアナログ情報を、パソコンやタブレットで入力する形に変換するといった取り組みが該当します。

ステップ2. デジタル情報の活用

製造業DXでは、デジタルツールを使って入力したデータが蓄積されたら、次にデータを業務改善や効率化に活用してください。たとえば、製造実績(稼働率や停止時間)を見ながら生産量を調整する、不良品の記録から作業方法を見直すなどです。

ステップ3. 業務の効率化

続いては、部門や工程をまたいでデータを共有し、工場全体の生産効率を高める仕組みを作りましょう。これにより、「生産計画や設備の稼働状況をリアルタイムで共有」「状況に合わせて生産計画を変更」といった業務が実現します。

ステップ4. 新たなサービスの創出(DX)

製造業DXの最終ステップでは、ここまで蓄積したデータやノウハウを活用し、製品やサービス、新しいビジネスの形を生み出します。具体的には、製品の使用データをもとに、個々の顧客に合わせた保守・サービスを提供するといった取り組みです。

製造業DXについてまとめ

迫りくる超人手不足社会や見通しのつかない世界情勢の中、その解決策として製造業でのDX推進の必要性は高まる一方です。

しかし、製造業のDXは縦割り組織が多く、加えて上層部と現場でのコミュニケーション不足など、いくつもの障壁があるのも事実です。製造業DXの進め方に迷ったときには、ぜひプロのノウハウを上手く活用して失敗のないDX推進を目指しましょう。

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