AI(人工知能)やディープラーニングに関する分野の成長は近年凄まじく、多くの企業が人材獲得に躍起になっています。
人材獲得競争の中エンジニアを目指す者にとって注目されている資格が「E資格」です。
E資格とはどんな資格で、試験の難易度や合格率はどの程度なのでしょうか。
また、資格取得のための対策方法はあるのでしょうか。以下で解説します。
AIエンジニアの最高峰資格!E資格とは?
E資格とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA, Japan Deep Learning Association)が認定する、AIエンジニア向けの資格のことです。
資格認定の開始は2018年で、世界初のAIエンジニア認定資格と言われています。
E資格の目的は、AIおよびディープラーニング実装における優秀な人材を増加させることです。
2024年6月の段階において、E資格は国内におけるAI関連の最高難易度の資格として広く認知されています。
以下の記事にてE資格の取得で目指せる職業とその年収を詳しく紹介しております。
E資格試験の試験要項
E資格試験の試験要項は以下の通りです。
なお、試験申込はJDLAの公式ホームページ上から行えます。
受験費用 |
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受験会場 | 日本各地 |
出題範囲 |
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試験日程 | 毎年2月中旬および8月下旬の2回 |
試験形式 | CBT(Computer Based Testing)による四肢択一 |
試験時間 | 120分 |
E資格とG検定との違い
E資格と似てる資格にG検定がありますが、G検定の方がE資格より一般的なAIの知識が問われます。E資格は、AIエンジニアに関しての技術や知識が問われますが、G検定はディープラーニングの知識をビジネスに活用できるような人が取得できる資格です。
自分が今後どのようなキャリアを積みたいかによって受ける資格を考えると良いでしょう。
難易度が高い?E資格の合格率
試験の合格率はどの程度なのでしょうか。
実際に行われた試験の合格率は次のようになっています。
開催回 | 受験者数(申込者数) | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2018年(1回目) | 337人(342人) | 234人 | 69.44% |
2019年(1回目) | 387人(396人) | 245人 | 63.31% |
2019年(2回目) | 696人(718人) | 472人 | 67.82% |
2020年(1回目) | 1,042人(1,076人) | 709人 | 68.04% |
2020年(2回目) | 新型コロナウィルス感染症により中止 | ||
2021年(1回目) | 1,688人(1,723人) | 1,324人 | 78.44% |
2021年(2回目) | 1,170人(1,193人) | 872人 | 74.53% |
2022年(1回目) | 1,327人(1,357人) | 982人 | 74.00% |
2022年(2回目) | 897人(917人) | 644人 | 71.79% |
2023年(1回目) | 1,112人(1,131人) | 807人 | 72.57% |
2023年(2回目) | 1,065人(1,089人) | 729人 | 68.45% |
2024年(1回目) | 1,194人(1,215人) | 867人 | 72.61% |
最も合格率が低かったのは2019年(1回目)の63.31%、最も高かったのは2021年(1回目)の78.44%です。2021年から2023年(1回目)の合格率はすべて70%を超えています。
以上のことから、E資格試験は合格率が高い試験であるといえます。
E資格の難易度が高い理由
しかし、合格率だけで試験の難易度を推し量ることは難しいでしょう。
事実、E資格は次のような理由から、難易度が高い資格とされています。
E資格の難易度が高い理由1.受験資格が必要
E資格試験を受験するには受験資格が必要です。
これはE資格試験がCBTによる四肢択一の試験方式のため、受験者の実技レベルが確かめられないことが理由です。
受験資格を設けることによって、受験者が十分な実技レベルを有していると推定しています。
受験資格は「JDLA認定プログラム」を試験日の過去2年以内に修了していることです。
JDLA認定プログラムとは、審査によって『ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力を持つ人材を育成する講座』とJDLAに認められたディープラーニング講座のことを指します。2023年10月の段階で16のプログラムが認定されています。
JDLAプログラムを修了させるまでには、おおむね3カ月から6カ月の期間が必要です。
このように受験に際してハードルが設けられているため、当然ながら資格取得までの難易度は高いといわざるを得ないでしょう。
E資格の難易度が高い理由2.合格基準が明らかにされていない
多くの試験では合格基準が明らかになっているため、受験対策が取りやすくなっています。
しかし、E資格試験は合格率は公開されているが、合格基準は明らかにされていません。
合格基準を知るにはJDLAが公開している合格者の割合や合格率、平均点数から推測するしかないのが実情です。推測では出題の約60%以上を正当しなければ合格には至らないと考えられています。
問題数は全部で100問。その半分が深層学習の分野から出題されています。
120分の間に100問もの問題を解答し、さらにその60%を正解しなければならないのは容易なことではありません。しっかりとした事前準備が必要な難易度の高い試験といえるでしょう。
JDLAによると各教科の平均得点率は次の通りです。
- 応用数学:58.90%
- 機械学習:66.16%
- 深層学習:61.17%
- 開発環境:63.26%
※2024年8月に開催予定の「E資格2024#2」より、シラバスが改訂となるため4科目から「数学的基礎」「機械学習」「深層学習の基礎」「深層学習の応用」「開発・運用環境」の5科目となります。
E資格の難易度が高い理由3.常に新しい知識が問われるため出題予想が難しい
E資格はAIやディープラーニングといった知識に関する試験です。
これらは開発・成長のスピードが早く古い知識はすぐに陳腐化してしまいます。
E資格試験におけるシラバスは、新しい知識に対応するために1年から2年で更新されています。
合格を目指すのであれば、常に新しい知識をインプットしなければなりません。
新しい知識の問題は、過去の例題や問題が参照できないことから、出題予想が非常に難しくなります。
E資格の難易度が高い理由4.そもそもの難易度設定が高い
E資格で出題される問題は、基本的に難易度が高いものが多いです。
そのレベルは、高度IT人材を目指す方がよく受験する「応用情報技術者試験」よりも高く設定されているそうです。なお、応用情報技術者試験の合格率は20%前後とされています。
E資格を合格するには?合格のための対策方法!
難易度が高いE資格試験に確実に合格するには、どのような対策方法を取るべきなのでしょうか。効果的と考えられる以下の4つの対策方法を紹介します。
- 認定プログラムは試験対策になる
- 市販の問題集を利用する
- シラバスの変更点を重点的にチェックしておく
- E資格対策講座を利用する
E資格対策方法①認定プログラムは試験対策になる
認定プログラムをしっかりと修めることは、E資格試験合格への最大の近道となるでしょう。
認定プログラムではディープラーニングの理論だけでなく、数学的基礎・機械学習・開発環境についても触れるからです。それらはすべて試験の出題範囲です。
E資格試験における点数源となるでしょう。
加えて認定プログラムの多くでは、講師などによる学習サポートが受けられます。
分からないポイントがあるときは、積極的に質問するようにしてください。
また、学習の際に用いられる想定問題や例題は試験対策に大変有用です。
何度も繰り返し解くようにしましょう。
E資格対策方法②市販の問題集を利用する
JDLAは過去問題を公開していません。
そのため過去問題を利用した学習はできません。
しかし、E資格試験を想定した問題集は市販されています。
学習に有効活用するようにしましょう。
E資格対策方法③シラバスの変更点を重点的にチェックしておく
どのような試験対策でも共通することですが、新しく変更になったポイントは非常に出題される率が高いものです。これはE資格試験においても同様のことが言えます。
頻繁にJDLAホームページをチェックして、シラバスに変更がないか確認しておきましょう。
例えば、2022年第2回試験ではシラバスが変更になり、フレームワークを利用した実装についての内容が付け加えられました。
また、2024年8月に開催予定の2024年第2回試験より、シラバスが改訂となり「数学的基礎」「機械学習」「深層学習の基礎」「深層学習の応用」「開発・運用環境」の5科目となります。
E資格のシラバスについて以下の記事にて詳しく解説しております。
E資格対策方法④E資格対策講座を利用する
認定プログラムとは別に、E資格対策講座を利用するのもおすすめです。
プログラムだけでは足りない受験対策が充実しているからです。
例題なども試験を想定していることが多いので、より高い学習効果が期待できます。
最もおすすめなE資格対策講座
認定プログラムを受講しながら同時にE資格対策講座も受講するには、多くの時間を割かなければなりません。そこでおすすめなのが、AI研究所の「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」です。
16の認定プログラムの1つでありながら、E資格試験対策に重点を置いた講義が受けられる講座です。この講座を受講すれば、認定プログラムの修了も同時に目指せるので、時間的な負担が小さくなるでしょう。E資格対策ディープラーニング短期集中講座の特徴は次のとおりです。
- 前提知識不用で受けられるカリキュラム
- 1カ月の短期集中で学習ができる(eラーニングなら最短4日)
- 全572ページのテキストがあるので自習にも最適
- 会場受講・ライブウェビナー・eラーニングが選べる
なお、最短4日のeラーニングを用いれば、学習に必要な時間を大幅に短縮できます。
ほかの認定プログラムを受けた上で、試験対策としてE資格対策ディープラーニング短期集中講座を受講するのもよいでしょう。
E資格の合格率 まとめ
JDLAが認定するE資格は、AIやディープラーニング人材の需要に応じて、これからも注目の度合を増していくでしょう。
E資格は難易度が高い試験ではありますが、E資格対策講座を利用するなど、合格を確実に近づけるための対策はいくつもあります。興味がある方は資格取得を目指しましょう。
なお、E資格試験の出題の多くが知識問題です。
何度も想定問題や例題を繰り返し、知識を完全に定着させてから試験に臨むようにしましょう。