「データサイエンティスト検定に興味はあるけれど、どのような資格なのかわからない」「取得すると就職や転職、スキルアップに本当に役立つのか知りたい」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
データ活用の重要性が高まるなかで、データ分析やAI、統計、ビジネス活用の基礎力を証明できる資格として、データサイエンティスト検定が注目されています。
そこで本記事では、データサイエンティスト検定の概要や取得するメリット、試験対策に必要な学習方法までわかりやすく解説します。
データサイエンティスト検定とは?

データサイエンティスト検定とは、一般社団法人データサイエンティスト協会が実施している試験です。
アシスタント・データサイエンティストに求められる実務能力と知識、ならびに数理・データサイエンス・AI教育のリテラシーレベルの実力を有していることを証明するものとして位置づけられています。
データサイエンティストの初心者や興味を持つ大学生・専門学校生まで、幅広い層が対象となっている点も、データサイエンティスト検定が入門資格として支持される理由といえるでしょう。
データサイエンティストの仕事内容や必要なスキルについては以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
試験の概要
データサイエンティスト検定は、年に2回程度のペースで実施されています。試験は全国の試験会場で受けられるCBT方式(コンピューターを使った選択式試験)を採用しており、受験資格は設けられていません。具体的な試験概要は、以下の表のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験形式 | 選択式問題(CBT方式) |
| 試験会場 | 全国の試験会場 |
| 問題数 | 100問 |
| 試験時間 | 100分 |
| 受験資格 | なし |
| 受験費用 |
|
合格すると、受験者マイページからダウンロードできる合格証明書に加え、スキルを対外的に示せるデジタル形式のオープンバッジが取得できる点も、データサイエンティスト検定の魅力のひとつです。
出題範囲と過去問の傾向
データサイエンティスト検定の出題範囲は、2025年に更新されたスキルチェックリストver.6に基づいており、大きく4つの領域から構成されています。それぞれの領域でどのような内容が扱われるのかを、以下の表をご覧ください。
| 出題領域 | 主な出題内容 |
|---|---|
| 基盤 | 行動規範(データ・AI倫理、コンプライアンス)、論理的思考、課題定義、データ理解・可視化、ITセキュリティ |
| データサイエンス | 数学的理解(線形代数・微積分)、統計・仮説検証、データ準備・可視化、機械学習・深層学習、自然言語処理や画像認識、大規模言語モデル |
| データエンジニアリング | 環境構築、データ収集・蓄積・加工、プログラミング(SQLなど)、ITセキュリティ、AIシステム運用、生成AI活用 |
| 価値創造 | 技術・社会潮流の洞察、課題の再定義、事業・モデル設計、ガバナンス・倫理設計、効果測定・改善 |
協会が公開している模擬問題を見ると、全10問のうち「価値創造」が4問、「データサイエンス」が3問、「データエンジニアリング」が2問、「基盤」が1問という内訳になっており、近年は事業設計や倫理を扱う「価値創造」分野の比重が高まっている傾向がうかがえます。
合格率
データサイエンティスト検定を受験するうえで気になるのが、どのくらいの人が合格しているのかという合格率でしょう。協会が公表している過去の実施結果を見ると、合格者には正答率約8割程度が一つの目安として設定されており、近年は40%台で推移しています。
以下の表は直近で開催された5回の推移をまとめています。
| 実施回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第12回 | 約2,400名 | 1,001名 | 約42% |
| 第11回 | 約3,560名 | 1,529名 | 約43% |
| 第10回 | 約2,200名 | 956名 | 約44% |
| 第9回 | 約2,720名 | 1,188名 | 約44% |
| 第8回 | 約3,300名 | 1,474名 | 約45% |
直近の第12回の合格率は約42%となっており、データサイエンティスト検定は2人に1人弱が合格する試験と考えるとイメージしやすいでしょう。決して誰でも簡単に通る試験ではありませんが、しっかり対策すれば十分に合格を狙えるレベルといえます。
データサイエンティスト検定の取得に必要なスキル

データサイエンティスト検定では、主に以下5つのスキルが求められます。協会が定めるスキル体系をもとに、データサイエンティスト検定の合格に必要となる主な領域を一つずつ見ていきましょう。
- 価値創造
- データサイエンス
- データエンジニアリング
- 基盤
- 融合
①価値創造
価値創造は、データやAIを使って実際のビジネス課題を解決し、新たな価値を生み出していく力を指します。
データサイエンティスト検定では、技術や社会の潮流を読み解く洞察力や、課題の再定義、事業・モデルの設計、倫理やガバナンスへの配慮といった幅広い観点が問われます。
単に分析手法を知っているだけでなく、それを事業の成果につなげる発想が重視されるのが特徴です。近年のデータサイエンティスト検定では、この価値創造分野の出題比重が高まっている傾向にあり、ビジネス的な視点を欠かさず学んでおくことが合格のポイントになります。
②データサイエンス
データサイエンスは、統計や数学の知識を土台に、データから意味のある情報を引き出す力です。データサイエンティスト検定では、線形代数や微分・積分といった数学的な理解、統計数理や仮説検証、データの準備・可視化、自然言語処理や画像認識、大規模言語モデルまで、幅広いテーマが出題範囲に含まれています。
データサイエンティスト検定の中核ともいえる領域であり、扱う範囲が広いぶん、苦手分野を作らないよう一つひとつ丁寧に押さえていくことが求められます。
③データエンジニアリング
データエンジニアリングは、データサイエンスの成果を実際に使える形に落とし込み、システムとして動かす力を指します。データサイエンティスト検定では、環境構築やデータの収集・蓄積・加工、SQLをはじめとするプログラミング、ITセキュリティ、生成AIの活用といった内容が検定では問われます。
分析の前段階となるデータの整備や、分析結果をサービスに組み込む工程を担う重要な領域です。データサイエンティスト検定の学習を通じて、データを安全かつ効率的に扱う基礎力が身につくため、エンジニア志望でない方にも実務で役立つ知識を習得できる分野といえるでしょう。
④基盤
基盤は、データサイエンティストとして活動するうえで土台となる、共通の素養を扱う領域です。データサイエンティスト検定では、データやAIを扱う際の行動規範や倫理、コンプライアンス、論理的思考、ITセキュリティといった内容が含まれます。
専門的な分析スキル以前に身につけておくべき基本的な姿勢や考え方を問うものであり、どの分野にも共通して関わってきます。データサイエンティスト検定の対策では見落とされがちな部分ですが、他の3領域の理解を深めるうえでも欠かせない基礎となります。
⑤融合
融合は、これまで挙げた各領域を切り離して捉えるのではなく、組み合わせて活用する力を意味します。実際の現場では、データサイエンスの知識、エンジニアリングのスキルだけで課題が解決することはほとんどなく、ビジネス力・データサイエンス力・データエンジニアリング力を横断的に発揮することが求められます。
データサイエンティスト検定は、こうした複数のスキルをバランスよく備えているかを確認する試験です。一つの領域に偏らず、各分野のつながりを意識しながら学ぶことで、データサイエンティスト検定が目指す総合的な実務能力に近づくことができるでしょう。
データサイエンティスト検定を学習する方法
ここでは、データサイエンティスト検定の代表的な学習方法を3つ紹介しますので、ご自身の学習ペースや予算に合わせて取り入れてみてください。
- 公式テキストや参考書で学習する
- 模擬問題や過去問で出題傾向をつかむ
- 対策講座やオンライン学習を活用する
①公式テキストや参考書で学習する
データサイエンティスト検定の学習で、まず取り組みやすいのが市販のテキストや参考書を使った独学です。協会が監修する公式テキストをはじめ、出題範囲に対応した対策書籍が複数販売されており、これらを軸に進めれば全体像をつかみやすくなります。
テキストは自分のペースで何度も読み返せるうえ、費用も比較的抑えられるのがメリットです。データサイエンティスト検定は統計や数学、エンジニアリングなど扱う領域が広いため、一冊を繰り返し読み込んで基礎を固めることが大切です。
②模擬問題や過去問で出題傾向をつかむ
テキストである程度知識をインプットしたら、データサイエンティスト検定の模擬問題や過去問を使ったアウトプットに移りましょう。データサイエンティスト検定では、公式サイトで模擬問題を公開しており、どのような難易度・形式で出題されるのかを確認できます。
問題を解くことで、自分の理解が不十分な分野が明確になり、復習すべきポイントが見えてきます。データサイエンティスト検定は100分で100問を解く形式のため、時間配分の感覚を身につけておくことも重要です。
③対策講座やオンライン学習を活用する
独学だけでは不安という方は、データサイエンティスト検定の対策講座やオンライン学習サービスの活用がおすすめです。データサイエンティスト検定に対応した講座は、専門の講師による解説を受けられるため、独学ではつまずきやすい統計や機械学習の分野も理解しやすくなります。
費用はかかりますが、効率よく体系的に学べる点がメリットです。データサイエンティスト検定の合格までの期間を短縮したい方や、学習の進め方に迷っている方は、こうしたサポートを上手に取り入れるとよいでしょう。
おすすめのデータサイエンティスト検定対策講座
GETT Proskilのデータサイエンティスト検定対策講座は、データ分析に必要な知識を基礎から身につけたい方におすすめのセミナーです。
統計学やPythonの基礎に加え、データの前処理や分析の流れ、分析結果を改善するための考え方まで実践的に学べます。データサイエンスをこれから学びたい方はもちろん、DX推進やデータ活用に携わる方にも役立つ内容です。実務に活かせるデータ分析スキルを身につけたい方は、ぜひご参加ください。
| セミナー名 | データサイエンティスト検定対策講座 |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 550円〜 |
| 受講形式 | eラーニング |
データサイエンティスト検定に関するよくある質問

ここでは、データサイエンティスト検定についてよくある質問を取り上げ、1つずつ回答していきます。
ネット上では「データサイエンティスト検定は意味ない」といった声を見かけることもありますが、目的次第といえます。データサイエンティスト検定はあくまで見習いレベルの知識を証明する入門的な資格のため、この資格だけで高度な専門職に就けるわけではありません。
ただし、データ活用の基礎を体系的に学べることや、自分の知識レベルを客観的に示せること、就職・転職やキャリアの第一歩として活用できることなど、メリットは十分にあります。
データサイエンティストを目指すうえで、データサイエンティスト検定以外にも関連する資格はいくつか存在します。
代表的なものとしては、AIやディープラーニングの知識を問う「G検定」、ITの基礎全般を扱う「ITパスポート」、統計の実力を測る「統計検定」、Pythonのスキルを証明する「Python3エンジニア認定試験」などが挙げられます。
中でも特に取得しておきたいのが、G検定です。G検定を取得するための学習過程で、AIの仕組みや機械学習、ディープラーニングの知識など、データサイエンティスト検定に関連するスキルを身につけられます。
AI・IT系のおすすめ資格については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
データサイエンティスト検定についてのまとめ
データサイエンティスト検定は、これからデータ分野に踏み出す人にとって、挑戦する価値が十分にある資格だといえます。確かに見習いレベルを証明する入門的な位置づけであり、この資格ひとつで専門職への道が約束されるわけではありません。
しかし、重要なのは合格そのものよりも、その過程で価値創造からデータサイエンス、データエンジニアリング、基盤まで、データ活用に必要な知識を網羅的に学べることにあります。
何から手をつければいいかわからないという状態を抜け出し、学ぶべき領域の全体像をわかることが、データサイエンティスト検定の価値といえるでしょう。