IT DXの成功事例5選!成功要因・進め方・人材育成のポイントも紹介

【2026】DXの成功事例5選!成功要因・進め方・人材育成のポイントも紹介

企業の競争力を左右する経営テーマとしてDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されています。自社でもDX推進の成功事例を参考にしたいと考える方は多いのではないでしょうか。

しかし「何から手をつければよいのか分からない」「自社に近い成功事例が見つけにくい」と悩む担当者もいるかと思います。

そこで、本記事ではDXの成功事例5選と成功事例から学べる成功要因、自社に活かす進め方、人材育成のポイントなどを紹介します。成功事例を読み解くコツも交えて解説するので、最後まで読めば経営層への提案にそのまま使える成功事例の公式選定企業情報も得られます。ぜひ参考にしてください。

DXとは?成功事例を知る前におさらい

DXとは、データやデジタル技術を活用して顧客視点で新たな価値を創出し、そのためにビジネスモデルや企業文化そのものを変革する取り組みのことを指します。経済産業省の定義によると、DXは単なるIT化や業務効率化にとどまらず、組織・プロセス・企業文化までを根本から見直す変革活動とされています。成功事例を読み解くうえでも、まずはこの基本定義を押さえておくことが欠かせません。

DX推進が注目されている背景には、少子高齢化による人手不足、グローバル競争の激化、需要変動の拡大といった課題があり、企業が競争優位性を維持するための重要なテーマとなっています。こうした背景を踏まえて成功事例を読むと、各企業がDXに取り組んだ動機がより鮮明に見えてきます。

DXの基本的な定義からメリット・注意点・推進ステップまでを体系的に押さえておきたい方は、下の記事も合わせて読んでみてください。製造業・小売・金融業界の成功事例も網羅されているため、本記事と読み合わせることでDXへの理解が深まります。

【2026】DXとは?メリット・注意点・成功ポイント・成功事例などを徹底解説

DXにおける成功の定義

DXにおける「成功」とは、単純なツール導入ではなく、デジタル技術を活用して企業価値そのものを向上させることを指します。成功事例として取り上げられる企業は、いずれもこの定義に沿った成果を上げている点が共通しています。

経済産業省と東京証券取引所が共同で実施している「DX銘柄」では、DX推進の仕組みを社内に構築し、実際に成果を上げている企業が選定基準となっています。つまり、DX銘柄に選ばれた企業はそのまま成功事例として活用できる存在といえます。

例えば大企業の優れた成功事例を表彰することで、業界全体のDX推進を加速させる狙いがあります。一方、中堅・中小企業向けの「DXセレクション」では、デジタルガバナンス・コードに沿った取り組みでDXによる成果を創出しているかが評価ポイントです。中堅・中小規模の成功事例を探す際は、このDXセレクションが最も信頼できる情報源となります。

成功事例と呼ばれるDXには、売上向上や新規事業の創出、組織文化や働き方の変革といった具体的な成果が伴っています。ツール導入で完結するのではなく、企業価値の向上まで踏み込めて初めて成功事例と呼べるといえるでしょう。

デジタル化・IT化事例との違い

DXとデジタル化の違いが分からないまま施策を進めると、本来の目的を見失う可能性があります。成功事例を正しく理解するためにも、デジタル化の3つの段階をここで整理しておきましょう。

段階 内容 具体例
デジタイゼーション 紙やアナログ情報をデジタル形式に変換 紙の書類をPDF化、FAXをメール化
デジタライゼーション 特定の業務プロセスをデジタル化 Excel管理を業務システムに移行
DX デジタルで企業文化やビジネスモデルそのものを変革 データ活用で新規事業を創出

紙の書類をPDF化しただけではDXとは呼べず、ビジネスモデルや企業文化の変革まで踏み込んでこそ、初めてDXの成功事例と呼べる取り組みになります。逆にいえば、後述する成功事例はすべてこの段階を満たしている企業ばかりです。経営層への提案資料を作成する際は、この違いを冒頭で整理しておくと、議論の方向性がぶれにくくなるでしょう。

中堅・中小企業のDX成功事例5選

中堅・中小企業のDX成功事例

ここからは中堅・中小企業のDX成功事例を5つ紹介します。それぞれの成功事例に特徴や成果があるため、自社の業種・規模に近い事例を参考にしましょう。

企業名 業種 主な成果
後藤組 総合建設業 書類60%削減・残業20%減
浜松倉庫 倉庫業 生産性30%向上
西原商事ホールディングス 廃棄物処理業 ドライバー97%が業務改善を実感
コプロス 総合建設業 独自工法のデジタル化で事業拡大
eWeLL 訪問看護SaaS 在宅医療業界をリード

今回取り上げる成功事例の選定基準は、経済産業省の公式選定を受けていることと、中堅・中小企業の規模感に近いことの2点です。紹介する5社の成功事例はいずれも「DXセレクション2024・2025」または「DX銘柄2024」の選定企業のため、経営会議の提案資料としても活用できます。

①「全員DX」で書類60%削減・生産性37%向上|後藤組

最初に紹介する成功事例の後藤組は、山形県米沢市に本社を構える総合建設業で、大正15年創業・従業員150名規模の中堅企業です。「DXセレクション2025」では最高賞であるグランプリを受賞しました。

特筆すべきは、専任のDXチームが技術面を支援しつつ、現場社員自身がノーコードツールを使って業務アプリを内製している点。「全員DX」をテーマに掲げ、Google Workspaceやkintoneを活用しながら現場主導での変革を実現しています。

その結果、現場事務所の書類を約60%削減したほか、2024年実績で人時生産性を前年比37%向上、残業時間を前年比12%削減するなど、具体的な成果を達成しました。さらに社内認定資格制度といった人材育成の仕組みも整備しています。

DXを「手段」として捉える組織文化づくりの成功事例といえるでしょう。

②基幹システム刷新で生産性30%向上|浜松倉庫

次に紹介する成功事例の浜松倉庫は、静岡県浜松市に本社を置く1907年創業の老舗倉庫会社で、「DXセレクション2024」のグランプリを受賞した企業です。

DX推進をスタートした2015年時点で、社内にDX人材はいませんでした。それでも中山社長の強い意志のもと、若手管理職を中心にボトムアップでDXプロジェクトを始動し、2016年〜2018年にかけて基幹システムの刷新を実施しました。

その結果、生産性を30%向上、新倉庫の必要要員10名分を捻出することに成功。従業員のマインドチェンジにもつながったとのことです。短期的な成果を求めず、腰を据えて従業員に考えさせる経営姿勢が審査員から高く評価された成功事例です。

③自社開発システムで現場業務を効率化|西原商事ホールディングス

3つ目に紹介する成功事例の西原商事ホールディングスは、福岡県北九州市八幡西区に本社を構える企業です。傘下に廃棄物収集運搬の西原商事、中間処理・リサイクルのビートルエンジニアリング、システム開発のビートルマネージメントを持ち、九州エリアを中心に事業を展開しています。「DXセレクション2024」では準グランプリを受賞しました。

同社は、自社開発した廃棄物情報管理システム「bee-net」を中核に、業界に先駆けて廃棄物処理の情報管理をクラウド化しました。さらに収集運搬ドライバー向けアプリ「Beetle Assist」も開発し、現場での入力データをシステムと連携させることで、従来は事務員が手入力していた伝票・報告業務を効率化しています。

「bee-net」の登録は、2010年時点の約600事業場から2024年時点で約2万2,500事業場へと大幅に増加。自社の現場課題をシステム化し、そのノウハウを同業他社にも展開していくモデルは、現場主導でDXを進めたい企業にとって参考になる成功事例です。

④場所打ち杭工法のデジタル化で事業領域を拡大|コプロス

4つ目に紹介する成功事例のコプロスは、山口県下関市に本社を構える1946年創業の総合建設業で、従業員数128名の中堅企業です。「DXセレクション2025」では準グランプリを獲得しました。

特に注目すべきは、独自開発の立坑構築工法「ケコム工法」をデジタル化し、新たな事業領域へ拡大している点。現在は「インフラ×DX」「再生可能エネルギー(バイオガスプラント事業)」「地方創生×木造建築」の3領域に注力しています。

同社のDXは最初から順調だったわけではなく、過去の失敗を経て今の成功にたどり着いた点も大きな学びです。スモールスタートで試行錯誤しながら進める姿勢は、これからDXに挑む担当者にとって貴重な教科書となるでしょう。

コプロスのような伝統産業におけるDX成功事例は、製造業にも応用できる点が多くあります。製造業特有の課題や推進ステップ、具体的な成功事例を体系的に押さえておきたい方は、下の記事も合わせてご覧ください。

【2026】製造業DXとは?製造業における課題やDX推進を成功させるポイントも解説

⑤訪問看護SaaSで在宅医療の現場を変革|eWeLL

最後に紹介する成功事例のeWeLL(イーウェル)は、大阪府に本社を構える東証グロース市場上場企業で、「DXセレクション2025」の優良事例に選定された企業です。

同社の主力サービスは、訪問看護ステーション向けクラウド型電子カルテ「iBow(アイボウ)」。訪問看護の現場では紙のカルテや手書き記録が依然として多く、看護師が事務作業に追われる構造的な問題がありました。iBowはその課題に向き合い、日々の看護記録から保険請求までを一連の流れで効率化しています。

その他、請求業務を支える「iBowレセプト」や、診療報酬請求業務を代行する「iBow事務管理代行サービス」なども展開しています。2025年度「ポーター賞」、看護DXアワード「home nursing賞」、経済産業省「DXセレクション2025 優良事例賞」など、社外からの評価も豊富です。

日々の看護記録のDXを基盤に、保険請求までを一気通貫で支える独自のビジネスモデルは、自社のDXノウハウを業界全体へ展開する成功事例といえます。

DXの成功事例に共通する5つの成功要因

DXの成功事例に共通する5つの成功要因

DX推進を任され、自社でも成果を出したいと考える担当者の多くが「成功している企業と自社では何が違うのか」という疑問を抱くでしょう。

実は、業界や企業規模に関係なく、DXの成功事例には以下のように共通する5つの要因が存在します。

成功要因 概要
経営層の強いコミットメント トップ自らが学び、予算と権限を担当者に委譲する
明確なビジョンと目的設定 ツール選定前に「DXで何を実現したいか」を言語化する
スモールスタートで小さな成功を積み上げる 特定部署・特定業務から着手し、段階的に拡大する
現場を巻き込む推進体制づくり 現場社員がDXの主役になる仕組みを設計する
DX人材の育成と外部パートナー活用 社内育成と外部活用をハイブリッドで組み合わせる

これらの5つの成功要因を俯瞰すると、成功事例に共通するのは導入するツールではなく、組織としてDXを推進する土台が整っているかどうかにあります。

経営層が方向性を示し、現場が主体的に動き、人材育成によって変革を継続できる体制を築くこと。このサイクルが噛み合って初めて、DXは一過性のプロジェクトではなく持続的な成功事例へと昇華します。

DX推進担当者は、これら5つの要因を自社の現状に照らして点検し、不足している領域から優先的に補強することが重要といえるでしょう。成功事例の真似ではなく、共通要因を自社向けに翻訳することが本質的なアプローチです。

DX成功事例の裏側にある失敗パターン

DX推進担当者が成功事例だけを参考にしていると、プロジェクトがうまく進まないかもしれません。成功事例の裏側には、その何倍もの失敗事例があることを知っておきましょう。

経営層への提案資料を作成する際は、成功事例の要因だけでなく、失敗パターンとその回避策まで提示できると説得力が大きく高まります。DXに失敗した企業に共通する4つのパターンを整理すると、以下のようになります。

失敗パターン 回避策
目的が曖昧なままツール導入を進めてしまう 「目的→課題→手段」の順で検討し、ツール選定前に目的を言語化する
経営層と現場の温度差で頓挫する 経営層・中間管理職・現場の3層を巻き込み、双方向の情報共有を設計する
DX人材不足で内製化が進まない 外部研修・パートナー活用と社内人材育成をハイブリッドで進める
単発のIT導入で終わり、変革につながらない ツール導入後も「何が変わったか」を継続的に問い、業務・組織まで踏み込む

失敗パターンに共通するのは、いずれも「ツール導入」という目に見えやすい部分に意識が偏り、目的設定・組織体制・人材育成といった土台への投資を怠っている点です。成功事例との最大の違いは、まさにこの土台への投資意識にあるといえます。

DXは本来、業務プロセスや企業文化までを変革する取り組みであり、ツールはその手段に過ぎません。DX推進担当者は、自社の取り組みがこれらのパターンに陥っていないかを定期的に点検し、早期に軌道修正することが重要といえるでしょう。

DXの成功事例を自社に活かす5ステップ

DXの成功事例を自社に活かす5ステップ

成功事例や失敗パターンを理解した後、DX推進担当者が次に直面するのが「具体的にどう進めればよいか」という実行段階での課題です。DXの成功事例を自社に活かす5ステップは以下のようになります。

ステップ 取り組み内容
①自社の課題と目的を明確化する 現状業務の棚卸しを行い、経営戦略と連動したDXビジョンを言語化する
②類似業界・規模のDX成功事例をベンチマークする DX銘柄・DXセレクションの公式レポートから自社に近い事例を分析する
③スモールスタートで実証実験を行う 3ヶ月以内に成果が見える小さな領域でPoC(概念実証)を実施する
④成果を可視化し、社内へ展開する 定量・定性の両面で成果を整理し、社内勉強会で横展開する
⑤全社的な推進体制と人材育成を整備する DX推進室の設置、社内資格制度、外部研修の活用で組織化する

成功事例を自社に活かすためには、目的の明確化からスモールスタート、全社展開へと段階的に積み上げることが重要です。特に人材育成は、成功事例をスムーズに自社に落とし込むために欠かせない取り組みです。

DX研修・人材育成サービスでは導入企業10,000社を突破し、スキルチェックテストでレベルを可視化したうえでハンズオン研修やワークショップを実施しています。人材開発支援助成金の活用にも対応しているので、ぜひ検討してみてください。

DXの成功事例に関するまとめ

DXは、デジタル技術を活用して企業に新たな価値をもたらす取り組みですが、成果を出すためには成功事例から再現性のある進め方を理解することが欠かせません。成功事例だけを参考に独自に進めることも可能ですが、途中でつまずいたり、必要な要素を体系的に押さえられなかったりすることが多いものです。

その点、本記事で解説したDXの成功事例・成功要因・失敗パターン・5ステップを踏まえれば、ツール導入に頼らず「ビジョン設定・推進体制・人材育成」の3要素を軸に、短期間で効率的にDXを推進できます。今回紹介した5つの成功事例は、いずれも経営層への提案資料にそのまま転用できる公式選定企業ばかりです。

自社の課題やフェーズに合わせて成功事例を翻訳し、取り組みを設計することで、学んだ知見を経営層への提案や全社展開、現場改善などに役立てられるでしょう。まずは自社に最も近い成功事例を1つ選び、そこから動き出すことをおすすめします。

DXの成功事例5選!成功要因・進め方・人材育成のポイントも紹介
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