エクセルで表を作っていると、「同じものを何度も入力しているなあ」と気づくことがあります。こうしたとき、あらかじめ入力できる値を選べるようにしておくと、入力時間を削減できますし、タイプミスを防ぐこともできます。
みなさんも他の人が作ったエクセルに、小さなプルダウンボタンが付いているのを見たことがありませんか?難しそうに見えるプルダウンですが、実は簡単に設定できます。
この記事ではプルダウンの設定に使うエクセルの機能、「データの入力規則」について解説していきます。
エクセルのプルダウンが役立つ場面とは?
エクセルのプルダウンはどのようなときに設定するとよいでしょうか?
よく使われるのは、データの入力者が複数いるときです。
例えば、エクセルでアンケートフォームを作成する場合などが想定できます。
同じエクセルファイルであっても、複数の人に入力をお願いすると、「◯」を「まる」と書く人がいたり、「丸」と書く人がいたり、誤って「まれ」と書いてしまう人が出たりします。
これでは集計時の手間が増えてしまいます。
このときエクセルのプルダウンを設定しておけば、入力できる値を統一できるので、入力方法の違いやタイプミスを防ぐことができます。
エクセルプルダウンの作り方
エクセルのプルダウンには主に次の2つの作り方があります。
どちらを選ぶかは、プルダウンで表示する選択肢の数によって変わります。
今回の記事では、プルダウンの選択肢が少ない場合と多い場合のプルダウンの作り方を解説していきます。
エクセルのプルダウンの作り方1.選択肢が少ない場合
プルダウンで選べる項目の種類が少ない場合に適した方法です。
例えば出欠を尋ねるなら◯か✕の二択です。
あるいは、曜日も月曜から日曜までの7つしかバリエーションがありません。
また、今後増えることもなさそうです。
こういった場合は、「入力規則」の設定画面で、プルダウンの選択肢を直接入力する方法が便利です。
このやり方は比較的短時間で設定できますが、入力項目のバリエーションが多い場合や、入力項目が増える可能性がある場合には適していません。
そうした場合は、このあと解説するもう一つの作り方を選んでください。
それでは早速、選択肢が少ない場合のプルダウンの作り方を解説します。
今回は出席フォームを作ることにしましょう。プルダウンの選択肢は「◯」か「✕」です。
完成イメージはこのような形です。
【STEP1】入力箇所を選択し「データの入力規則」ボタンをクリックする
それではプルダウンを作ってみましょう。
まず、プルダウンボタンを表示させたいセルを選択します。
下の図だとセルB3からセルB7です。
複数のセルを選択するときは「Shift」キーを押しながら矢印キーを押すと簡単です。
図のようにプルダウンボタンを出したい場所をすべて選択したら、「データ」タブから「データツール」ボタンを押します。すると「データの入力規則」というボタンが出てきますので、クリックしてください。
【STEP2】入力値の種類を選択する
次に、プルダウンで選べる項目の入力をします。
そもそもデータの入力規則とは、セルに入力できる値に制限をかけるエクセルの機能です。
今回は、「あらかじめ指定した選択肢から選ぶ」という制限を設定しようとしています。
ですが他にも、「整数しか入力できないようにする」や「10文字までしか入力できないようにする」といった制限もできます。
こうした制限のルールを「入力規則」といいます。
データの入力規則ボタンを押すと、下の図のようなウィンドウが開きます。
ここから、今回は「リスト」を選んでください。
【STEP3】プルダウンボタンの表示設定をする
次のような画面が出てくればうまく進んでいます。
右側に
- 空白を無視する
- ドロップダウンリストから選択する
という2つのチェックボックスが出てきます。
これは両方ともチェックを入れてください。
こうすることで、このあとのSTEPで指定した値をプルダウンボタンで選べるようになります。
【STEP4】プルダウンボタンの選択肢を設定する
いよいよプルダウンボタンで選択できる値(入力値)を設定します。
今回は「◯」か「✕」のふたつだけです。
「元の値」の箇所に「◯,✕」と入力します。下の図を参考に入力してください。
間に「,」を入れれば、他の選択肢も追加できます。
例えば「◯,✕,△」と入力しておけば、プルダウンの選択肢に△を追加できるわけです。
ここまで入力したら、OKボタンを押してウィンドウを閉じてください。
【STEP5】プルダウンの動作をテストする
以上でプルダウンの設定は終了です。
プルダウンがうまく動作するかテストしてみましょう。
エクセルの表にもどって、プルダウンボタンを押してみてください。
下の図のように「◯」「✕」という選択肢が表示されていれば成功です。
エクセルのプルダウンの作り方2.選択肢が多い場合
プルダウンで選べる項目の種類が多い場合は、「入力規則」の設定に少し工夫をします。
具体的には、入力項目のリストを別のセルに作って、そのリストを参照するという設定を行います。少し複雑ですが、入力項目の数が多くて手入力が難しい場合や、入力項目が今後増える可能性がある場合には、こちらの方が結果的に便利です。
ここまで解説したやり方は、選択肢が少ない場合はそれほど手間はないのですが、入力したい選択肢が大量にある場合や、今後選択肢が増える可能性があるときにはおすすめできません。
なぜなら、すべての選択肢を「,」でつないだり、いちいちウィンドウを開いて新しい選択肢を入力しなおしたりする必要があるからです。
そこでおすすめしたいのが、別の場所に選択肢を入力しておいて、その場所の内容とプルダウンの選択肢が連動するように設定する方法です。
それではやってみましょう。
【STEP1】1から3までは選択肢が少ない場合と同じ
まず、STEP1から3まではここまで説明したやり方と同じです。
つまり、下記の3つを行います。
- 【STEP1】入力箇所を選択し「データの入力規則」ボタンをクリック
- 【STEP2】入力値の種類を選択
- 【STEP3】ドロップダウンを設定
ここまで行うと、データの入力規制の設定ウィンドウが開いた状態になります。
【STEP4】プルダウンの選択肢としてセルを設定する
ここからは新しいやり方です。
「元の値」と書かれた入力欄の右側に「↑」のようなボタンがありますね。
これをクリックしてください。
すると、「データの入力規則」と書かれた横に細長いウィンドウが開きます。
下の図の中央付近にあるウィンドウです。
カーソルを動かしてみてください。セルを選択できるようになっています。
今回はD列を選択してみましょう。
上の図の赤い部分、Dの文字のあたりをクリックすると、D列全体を選択することができます。
上手くいかない場合は「=$D:$D」と入力してください。
ここまで終わったら、下の図を参考に、赤い丸で囲んだ場所にある「↓」のようなボタンを押してください。
すると元のウィンドウにもどりますので、OKを押して閉じます。
「元の値」の箇所に「=$D:$D」と入力されていることを確認しておいてくださいね。
【STEP5】D列に選択肢を入力する
エクセルシートに戻って、D列に選択肢を入力していきます。
試しに、Aさん、Bさん、Cさん…のように入力してみましょう。
間違って別の列に入力しないように気を付けてください。
D列に入力された値だけが、プルダウンで選択できる値になります。
【STEP6】プルダウンの動作をテストする
ここまで終われば完成です。プルダウンがうまく動作するかテストしてみましょう。
B列に表示されるプルダウンを押してみます。
図のように、「Aさん、Bさん…」の選択肢が表示されたでしょうか?
表示されていれば成功です。
エクセルのプルダウンを作るときのコツ
ここまで2通りのプルダウンの作り方を解説してきましたが、少し工夫をするとより見栄えのよいプルダウンの設定が可能です。
エクセルプルダウンのコツ1.プルダウンボタンの選択肢を別シートに移しておく
今回の記事では、プルダウンボタンの表示箇所(B列)と、プルダウンの選択肢(D列)が同じシート内にありました。
ですが、もし誤って他の人がD列を変えてしまうと、選択肢も変わってしまいます。
また、見栄えもあまりよくありません。
実は、プルダウンの選択肢設定用のセルは、別シートにあっても動作します。
なのでプルダウンの選択肢だけ別シートに作っておいて、そのシートを編集できないようにロックしておけば、上記の心配は不要です。
エクセルプルダウンのコツ2.プルダウン用の選択肢を一気に作る方法
既に入力されたデータがあって、そこからプルダウンボタン用の選択肢を作りたいという場合もあると思います。
例えば図のように名前のリストがあるけれど、重複があって全部で名前がいくつあるのかわからない場合などです。
そうした場合は「重複の削除」ボタンを使ってみましょう。
選択肢として使いたい列を新しいシートにコピーして、「データ」タブの「データツール」ボタンから「重複の削除」を選びましょう。
重複したデータが削除されて、選択肢用のリストを一気に作ることができます。
エクセルのプルダウンの作り方まとめ
この記事ではプルダウンの作り方を解説してきました。
プルダウンの設定に使うエクセルの機能「データの入力規則」は、データ収集や分析をぐっと楽にしてくれる機能です。
今回紹介したように、データの入力者が複数いるときには、入力内容の統一に役立ちます。
また自分だけが使うエクセルだとしても、いちいち同じ内容を入力する手間を省くことができます。
今回の記事では入力項目のバリエーションが少ない場合と、入力項目が増える可能性がある場合の2通りのプルダウンの作り方を説明しました。
一見すると複雑に見えますが、実は途中までは同じ作り方で、異なるのは最後の選択肢の設定だけです。できるだけ細かく解説していますので、迷ったらひとつ前のSTEPに戻ってみてください。
ひとつできれば、あとは簡単です。さまざまな場面で応用してみてください。